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9月9日の食品安全委員会において、「日本における牛海綿状脳症(BSE)対策について中間とりまとめ」が確認されました。「中間とりまとめ」では、これまでの日本の様々なBSE対策によって、人への感染リスクを低減させてきていることへの評価が述べられています。全体的には日本のBSE対策が有効に作用してきたと理解していますが、個別の対策では不十分な点も残しています。そこで、今後のBSE対策について、厚生労働大臣と農林水産大臣宛てに、以下のような意見書を提出しましたので、ご紹介します。 |
2004年9月15日 厚生労働大臣 坂口 力 様 全国消費者団体連絡会 「日本における牛海綿状脳症(BSE)対策」に関する意見書 9月9日の食品安全委員会において「日本における牛海綿状脳症(BSE)対策について 中間とりまとめ」(以下「中間とりまとめ」)が確認されました。「中間とりまとめ」においては、これまで日本で行われてきた様々なBSE対策によって、BSE感染牛を摂取することによる人へのBSEプリオンの感染リスクを、直接的に低減させてきていることへの評価が述べられています。これまでのBSE対策が、個別の不十分性はありつつも、全体的には有効に作用していることと理解します。その上で今後のBSE対策について、以下の事項を要望いたします。 1.SRM除去について 「中間とりまとめ」では、SRM除去について、せき髄除去工程における脊髄の残存、又は枝肉汚染の可能性、ピッシングによる汚染の可能性など「常にSRM除去が確実に行われていると考えるのは現実的ではない」との評価をしています。これは、現段階でのSRM除去対策の不十分性を指摘しているものであり、引き続きSRM除去の全頭ヘの実施と交差汚染防止の指導など早急なリスク低減対策を進めてください。 2.BSE検査について これまでのBSE検査では、21ヶ月齢以上のBSE感染牛が確認されており、「中間とりまとめ」では「20ヶ月齢以下の感染牛を現在の検出感度の検査法によって発見することが困難である」としていますが、20ヶ月齢以下においてBSE感染牛が存在しないとはいっておりません。したがって、現時点においてその対象からはずすという、明確な根拠には当たらず、一部のマスコミ報道のように、安易に20ヶ月齢以下を検査から除外してもよいと導き出すことはできません。検査法の検出限界について、検出感度を高めていくことこそが重要であり、今後その検出限界の改善や研究を進めてください。 3. 「リスク牛の検査」「飼料の管理及び規制」「トレーサビリティ制度」等 BSE対策としてBSE検査とSRM除去の2重の安全対策に加え、「リスク牛の検査」は今後も実施し、「飼料の管理及び規制」は、2001年10月以降に生まれた牛からBSE感染牛が出ていることから実効性の確保を求めます。「トレーサビリティ制度」の実効性のさらなる担保と検証をお願いします。 4. 米国産牛肉輸入再開問題について BSE対策にかかわる問題では、「全頭検査」のみがクローズアップされた論議や報道になっており、日本におけるBSE対策の見直しが、即米国産牛肉再開となるような報道も一部マスコミでされています。日本のBSE対策見直しと米国産牛肉輸入再開問題とはまったく別であることと受け止めています。日米間でBSEについての考え方に隔たりがあるとともに、米国のBSE対策についても、国としての安全対策やその実効性が不十分な状況にあると思います。米国産牛肉輸入再開については、日本と同等の安全対策を求め、あらためて米国輸入牛肉の安全性を食品安全委員会でリスク評価することが必要です。安易に進めないようにしてください。 5.リスクコミュニケーションについて 「中間とりまとめ」の「おわりに」に、リスク管理機関への要望として、「国民とのリスクコミュニケーションを十分に行った上で、BSE対策の決定を行うことが望まれる」と明記されています。上記のマスコミ報道の中では、特段に重要な意味を持つものと考えます。食品の安全・安心が国民にとって最も関心が高く、国民の健康だけでなく、社会的な影響も大きいことを考えると、丁寧かつ十分なリスクコミュニケーションを重ね、消費者の理解と納得を得るように透明性の高いリスクコミュニケーションを行ってください。 ※昨日9月13日に熊本で12頭目のBSE感染牛(5歳2ヶ月)が発見されました。
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