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9月9日食品安全委員会で論議される「日本におけるBSE対策についての見直し・中間まとめ(案)」に対して、今回要望書を提出しました。マスコミ報道も、「米国牛肉再開問題」に直結した報道が多い中、今何が問われているのかを柱にした要望書としました。



2004年9月8日

食品安全委員会
委員長 寺田 雅昭 様

全国消費者団体連絡会
事務局長 神田 敏子

「日本における牛海綿状脳症(BSE)対策について
中間とりまとめ(案)」についての意見

 9月6日の食品安全委員会・プリオン専門調査会において「日本における牛海綿状脳症(BSE)ついて 中間取りまとめ(案)」が討議された結果、「結論」部分の書き方が議長一任とされ、まとめられました。最終段階の「中間まとめ(案)」の内容は拝見していませんが、当日のプリオン専門調査会資料と討議内容を受けて、以下のように意見を述べます。

  1. これまで日本で行なわれてきた様々なBSE対策によって、BSE感染牛を摂取することによる人へのBSEプリオンの感染リスクを、直接的に低減させていることへの評価が述べられています。これまでのBSE対策が、個別の不十分性はありつつも、全体的には有効に作用していることと理解します。

  2. SRM除去について、せき髄の残存、又は枝肉汚染の可能性、ピッシングによる中枢神経組織による汚染の可能性があり、「常にSRM除去が確実に行われていると考えるのは現実的ではない」との評価が述べられています。これは、現段階でのSRM除去対策の不十分性を指摘しているものであり、食品安全委員会からリスクマネジメント機関に対して、早急なリスク低減対策を求めるべきだと考えます。
     また、「SRMとされる組織以外に異常プリオンたんぱく質が蓄積する組織が全くないかどうかは、(中略) 現時点では判断することができない。」としています。このことは、現在の知見で設定されているSRMの除去が完全に行われても、異常プリオンたんぱく質の除去が完全にできない可能性があることを示していると考えます。

  3. これまでの検査では、21ヶ月齢以上のBSE感染牛が確認されており、20ヶ月齢以下での感染牛が確認されていません。検査法の検出限界については、今後その検出限界の改善や研究が進められ、検出感度を高めていくことこそが求められていると考えます。マスコミ報道のように、安易に20ヶ月齢以下を検査から除外してもよいと導き出すことはできません。

  4. この間マスコミが、米国牛肉輸入再開交渉と関連付けて報道しています。しかし、食品安全委員会での議論は、この標題にあるように、あくまで日本におけるBSE対策についてのまとめであり、米国牛肉に関連付けてまとめているわけでないと受け止めています。このことを食品安全委員会として改めて表明すべきだと考えます。

  5. 「終わりに」にも明記されているように、リスク機関への要望として、「国民とのリスクコミュニケーションを十分に行った上で、BSE対策の決定を行うことが望まれる」と述べています。上記のマスコミ報道の中では、特段に重要な意味を持つもとの考えます。食品の安全・安心が国民にとって最も関心が高く、国民の健康だけでなく、社会的な影響も大きいことを考えると、食品安全委員会からリスクマネジメント機関に対して強調して要請されることが重要なことと考えます。