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意見書

2004年8月23日

総務省総合通信基盤局
電波部電波政策課 御中
 

電波有効利用政策研究会最終報告書(案)
「電波利用料制度の見直しについての基本的な考え方」について


全国消費者団体連絡会

1. 一般の消費生活にも深く関係し、消費者負担にもつながる問題である以上、消費者代表が参加した場で、消費者の視点も踏まえて検討されるべきであると考えます。消費者不在で結論を出すべきではないと考えます。

 本報告書(案)でも述べられているとおり、電波は国民共有の資源であり、国民全体の問題として真摯に検討されるべきものと考えます。特に、現在のように情報通信社会が拡大してきている中では、電波が重要な役割を果たすことは明らかであり、一般の消費生活にも深く関係してきているものと認識しています。

 そうした中で、本報告書(案)で、電波利用料について、その基本的な考え方を大きく見直そうとしており、特に、納付義務者の特例措置の見直しとして、一般の消費者が電波を利用する無線LANや情報家電等の免許不要局からも電波利用料を取ることについて言及され、消費者負担につながる問題であるにも関わらず、その議論が行われた電波有効利用政策研究会及びその下の電波利用料部会に、消費者を代表する者が一人も含まれていないことは理解に苦しむところです。

 消費者代表が不在であり、消費者の視点に基づく論議なしに、消費者負担につながる問題について結論を出すべきではないと考えます。

2. 10年間で7倍以上に膨れ上がっている電波利用料の使途について、本当に利用料で負担すべきものなのかどうかを含めて厳格な検証が必要です。実態は収入の急速な拡大にあわせて、支出が拡大しているように見えます。これまでの使途の具体的かつ厳格な検証と徹底した支出の効率化・見直しなしに、使途や財源の拡大、事実上の特別会計化を進めるべきではないと考えます。

 本報告書(案)では、電波利用料の使途について、現在の電波行政費用だけではなく、研究開発やデジタルデバイド解消のための費用に充てることが書かれていますが、本来、納付義務者の範囲の拡大を議論する前に、これまでの使途の具体的かつ厳格な検証と支出自体の見直しを行うべきです。そもそも、携帯電話の普及によって、収入が500億円以上も増大しているのに対し、支出が同じペースで拡大することが理解できません。本来、支出を抑えることで、免許局の負担の軽減を図ることが基本であると考えます。また、政府全体として特別会計の見直しを基本方針として進めているにもかかわらず、電波利用料の使途拡大は事実上の『電波特別会計』化する恐れがあります。

 したがって、消費者としては、十分に議論や検証がなされていない段階において、電波利用料の納付義務者の拡大や使途の拡大には反対します。

 いずれにしても、今後の望ましい情報通信社会を目指していく中で、電波制度のあり方も含めた情報通信制度全般について、消費者代表も含めた場において、使途を含む現状の厳格な検証とそれに基づく十分な議論がなされることが必要と考えます。