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参議院文教科学委員会において著作権法改正の審議が始まった。全国消団連では再度アピールを公表した。



2004年4月15日


著作権法改正の「音楽レコードの還流防止措置」(第113条第5項関係)について
消費者の視点を踏まえた慎重な審議を求めます
 

全国消費者団体連絡会

 3月5日に著作権法改正案が閣議決定され、今通常国会に上程、審議されることになりました。

 「音楽レコードの還流防止措置(いわゆる「レコード輸入権」)」については、レコード業界利益のために消費者に不利益をもたらすものであり、私たちは、今通常国会には法案提出を行わず、消費者団体を含めて関係者で慎重に論議をすべきだと主張してきました。多くの消費者団体や日弁連がこの法案について慎重な対応を求めていたにもかかわらず、性急な法案提出がされたことについて、きわめて遺憾と言わざるを得ません。「音楽レコードの還流防止措置」は、知的財産推進計画において「消費者利益等の観点を含めて総合的に検討」とされていましたが、消費者の意見が経過的にも内容的にも反映されていません。国会審議では、ぜひ消費者利益を反映した議論をお願いしたいと存じます。

 今回の法案を見ると、本来この措置をそのものを暫定的なものにすべきという議論があったにもかかわらず、それがまったく反映していません。私たちは、基本的にこの措置の導入に反対ですが、仮に導入する場合でも、日本経団連の意見書にもあるように、時限的な措置であることを明確にすべきです。

 また、内外無差別の原則から洋楽の輸入盤においてこの措置が利用された場合に、洋盤の値上がりにつながる懸念も払拭されていません。

 さらに、発売からの期間も7年を超えない範囲というのはあまりに長くて意味がありません。仮に発売からの期限を設けるとしたら、音楽用CDの再販期間で目安になっている半年程度にすべきであると考えます。

 いずれにしても、今回の内容は、アーティストの権利保護に名を借りた業界過保護の最たるものといわざるを得ません。レコード、音楽用CDの再販制度を法的に認めている国は、世界の中で日本だけといわれており、日本の消費者は世界でももっとも高い音楽用CDを買わざるをえない状況にあります。その上さらにこうした輸入規制措置を設けることは、他国や他の産業でも例をみない二重の保護措置であり、自由貿易の原則にも大きく反するものといえます。国会の審議においては、世界で唯一といわれるレコードの再販制度についての見直しを含めて、慎重な審議をぜひお願いしたいと思います。