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2004年1月21日

内閣府国民生活局消費者調整課 御中

全国消費者団体連絡会
東京都千代田区六番町15
プラザエフ6階
電話03-5216-6024
FAX 03-5216-6036

公益通報者保護法案(仮称)の骨子(案)に関する意見
 

 企業の不祥事が多発し、その中には公益通報によってはじめてあきらかになったものも少なくないことを考えると、公益通報者を保護できる制度がぜひ必要です。企業内の違法行為や不正行為などについて、初期の段階で通報と適切な対応が行われれば、大きな社会的被害を未然に防止できます。しかし、通報を行うことによって職場で不利益な扱いをされるおそれがあれば、通報にはなかなかふみきれないでしょう。公益通報者が本当に保護される制度をつくる必要があります。

 しかし、12月10日の国民生活審議会消費者政策部会に付された制度案では、保護の対象となる案件が犯罪行為などの事実に限定されているにもかかわらず、外部通報が保護される要件が大変厳しくなっています。本来、犯罪行為などの事実であれば、直接、外部に通報されても仕方のないケースではないでしょうか。要件明確化を追求したうえに、内部通報が優先されるよう配慮した結果、バランスが悪い制度設計となっており、公益通報を制約する結果となりかねません。外部通報の要件を広げるといった修正が最低限必要と考えます。以下、項目ごとの意見を述べます。

1.保護の対象となる案件を犯罪行為等の事実に限定しているのは問題であると考えます。

 前期の国民生活審議会報告書では、法令違反となっていました。法令違反でも、狭すぎると考えていましたが、今回、「犯罪行為等の事実」に限定されています。通報が必要なものは、犯罪行為だけとは限りません。また、法令は、後追いでできるのが常です。対象となる案件を「公益通報者保護」という名称にふさわしいものに広げる必要があります。

2.内部通報に関して、保護される条件を付す必要はないと考えます。

 内部通報は、様々な通報を受け付け、不祥事が発生することを事前に防止することに主眼があります。これらの点から、内部通報に特段の条件を付す必要はないと考えます。

3.外部通報の要件については、イ〜ホをはずして一般的規定だけで十分と考えます。

 外部通報の要件については、「犯罪行為等の事実が生じ、又は生ずるおそれがあると信ずるに足りる相当の利用がある場合」というような一般的規定だけで十分と考えます。外部通報として認められる条件として、イ〜ホを限定列挙しており、このいずれかに該当しなければ保護の対象とならない制度となってしまいます。

 犯罪行為などの事実であってもこのような外部通報要件が課せられることが、その他の事案の外部通報を保護の対象とするかどうかという裁判所の判断に大きな影響を及ぼすおそれがあります。外部通報の要件の緩和は絶対に必要です。

4.この制度の対象とならない通報について、一般法理にもとづいた保護が図られるべきであり、反対解釈がされてはならない事を法文化しておくべきです。

5.行政機関に通報し、行政機関が必要な調査と措置をとることが規定されていますが、行った調査と措置の内容について、一定期間の後に通報者に報告される制度とするべきです。

6.施行期日以前の事案に関する公益通報も、制度の対象になるようにすべきです。

7.制度運用にあたっては、通報先を選択する前の段階において、法律専門家や公益通報者支援団体などに相談できるようにしておくことが必要です。