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司法制度改革推進本部事務局本部へ「裁判員制度の概要について(骨格案)」についてのパブリックコメントを提出いたしました。



2004年2月13日

司法制度改革推進本部事務局本部 御中

全国消費者団体連絡会

裁判員制度の概要について(骨格案)への意見
 

 全国消費者団体連絡会は、これまで司法制度改革推進本部事務局本部へ提出した意見書を踏まえ、「裁判員制度の概要について(骨格案)」について、以下のとおり意見を述べるここととします。
 (下の項目は、コメントする「骨子案」の項目に沿って記述)

1 基本構造

(1)合議体の構成

 裁判官と裁判員の人数は、「裁判官2人裁判員6人以上」とすることが必要です。

 裁判官3人では、現行と何ら変わりなく裁判官主導型になりかねません。

 それでは、必要な裁判官の人数は何人でしょうか。検察官と弁護人がそれぞれ意見を出し合い裁判官がどちらかを選択することを考えれば、裁判官は1人でもよいと考えます。しかし、裁判官1人では多くの作業量をこなさなければならない事になり、そのような意味においては、最低2人は必要であると考えます。

 また、実質的国民参加を備えた制度というには、国際的に民間人が裁判官の3倍以上の人数が常識であるとも聞きます。

 市民の一般常識が生かされ、裁判員が自由に自分の意見を述べ、様々な意見交換討議の後、正当性を持った意見が最終的な判断とされるためには、裁判員の数は少なくとも裁判官の3倍以上とすることが、「司法の民主化」「市民による司法参加」と言えるのではないでしょうか。

(2)裁判員、補充裁判員の権限

  ア. 裁判員の権限

   (ア)裁判員は、有罪・無罪の決定及び量刑に関し審理及び裁判をするものとします。

(3)評決

 有罪・無罪の評決については、裁判員のみで行う独立評決制度とし、全員一致をめざして評議を行う制度とするべきです。ただし、裁判員が有罪と決定した場合であっても、全裁判官が一致して無罪と判断した場合は、無罪とする制度とします。

(4)対象事件

 導入当初は、重大な刑事事件を対象とすると審議会意見書で確認されていますが、運用状況をみながら、行政訴訟もその対象とするよう早期に検討すべきです。また、その他の刑事事件や、民事事件への拡大についても検討すべきです。

2 裁判員及び補充裁判員の選任

(1)裁判員の要件

 裁判員の選任については、特に、検討会座長試案では25歳以上とされていましたが、裁判員資格が20歳以上とされた点を評価します。欠格事由や就職禁止事由をさらに絞り、できるだけ多くの市民が裁判員となれるようにすべきです。また、裁判員候補者を無作為抽出とし、裁判員選定手続により裁判員を選定する提案に賛成します。

 今後の課題として、少年事件に限り20歳未満の裁判員参加の検討が必要と考えます。そのような制度が海外では成果をあげていると聞いています。

(2)欠格事由

 継続的に多様な職務につく可能性のある公務員と同様の基準で、裁判員の欠格事由を定める必要はないと考えます。万が一不適切な裁判員候補が選出されたとしても、忌避の制度によって対応できるものと考えられるからです。

3 裁判員の義務及び解任

(3)裁判員及び補充裁判員の義務

 裁判員制度の改善につながるような情報まで制限することは、国民の知る権利を侵害することにつながりかねないことから「国民の知る権利を侵さない」旨の規定は必要と考えます。

 平成15年度10月28日座長(案)7罰則(2)裁判員等の秘密漏洩罪は、例え裁判員のプライバシーなど守るべきものがあるにせよ、秘密漏洩罪秘密の範囲が広すぎることや、懲役刑などの罰則が、裁判員の発言を萎縮させ、国民の司法への参加が阻害されるおそれがあります。

4 公判手続等

(1)総論

 国民が裁判員としての義務をはたしやすくなるよう集中審理を行い、裁判の長期化を避ける必要があります。ただし、現在のような公判手続きのまま、集中審理だけを導入したのでは、被疑者弁護活動が困難になるだけです。十分な集中審理が行えるようにすべきです。

(7)証拠調べ手続き等

 公判前の証拠開示制度を導入し、弁護側・検察側とも十分な準備のもとに審理に臨めるようにすべきです。また、公判における口頭主義・直接主義を実質化し、裁判員が膨大な調書に目を通す必要がないようにするべきです。また、公判審理に裁判員が集中できるよう、リアルタイムで公判内容が確認できる速記録を採用すべきです。

 供述調書及び取り調べの信用性については、録音、ビデオの導入などをはかり、裁判員の求めに応じて確認できるように準備しておくべきです。