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全国消団連は、特定商取引法改正に関するパブリックコメント募集に対応し、下記の意見書を提出しました。



2004年1月19日

経済産業省 商務情報政策局
消費経済政策課 御中

全国消費者団体連絡会
住所 東京都千代田区六番町15
プラザエフ6階
電話 03-5216-6024
FAX 03-5216-6036

パブリックコメントへの意見(報告書素案(論点整理))
 

 報告書素案でもふれられているように、各地の消費生活センターなどに寄せられる苦情相談は急増し、PIONETで集計されている件数は、2002年度において約87万件となっており、その内の6割以上が、特定商取引に関するものになっています。

 こうした中、特定商取引法の果たすべき役割は大きく、消費者被害の未然防止と被害救済を前進させるために法律改正をすすめる方向性を示した今回の「報告書素案(論点整理)」を基本的に評価いたします。

 報告書素案では、「販売目的隠匿型勧誘等の禁止」「不実告知及び故意の事実不告知に関するルールの強化」「個人ビジネス勧誘取引に関する民事ルールの整備」などを掲げています。今回の報告書素案に盛り込まれたこれらの措置は、いずれも必要であり、早急な法改正を要望するものです。

 その上で、消費者団体として特に強調したい点ならびに、要請事項について以下申し述べます。

1.販売目的隠匿型の勧誘の禁止に賛成します。法的効果として契約取消権も認められるよう求めます。

 本来であれば、平穏な生活を確保するという意味合いから、不招請の訪問販売を認めないということも必要と考えますが、今回、特に多発している問題への対応ということで、販売目的隠匿型の勧誘を禁止することに賛成いたします。販売目的隠匿型の勧誘については、消費者にとって「不意打ち」の勧誘となるため正常な判断をしにくくなるという大きな問題があります。今回は、そうした勧誘行為を明確に禁止することは、その不当性を明らかにし、取り締まりにつなげていく意味で重要と考えます。なお、違反に対しては、行政処分だけでなく、契約取消権も必要です。

2.「重要事項」の内容の具体的例示について

 消費者の判断に影響を及ぼす事項について、事実と異なる内容を告げたり、不利益情報を故意に告げないことによって、消費者を誤認させる行為は、消費者契約法において、取消権の付与という形で一定の手当がされています。しかし、同法では「重要事項」に取引の必要性などに関する事項が含まれる旨が明確にされていないといった不十分さが指摘されてきました。

 今後の消費者契約法の見直しへの影響という観点からも、今回、特定商取引上の重要事項について、その内容を具体的に例示し、「契約の締結を必要とする事情」が含まれることを明確にすることが提言されていることの意義は大きいと考えます。

3.取消権の付与

 報告書素案では、一定の取引類型において、不実告知、故意の事実不告知、断定的判断の提供により消費者が誤認した場合に、取消権を付与する旨が盛り込まれています。従来、取り締まりルールに違反する行為があった場合でも、民事的な効力と直接に結び付けられてきませんでした。このことが被害救済を難しくする1つの要因でした。報告書素案のように、取り締まりルール違反の行為に対して、取消権の付与などの民事的効果を付与するというスタイルが、消費者被害の救済を促進する上で重要だと考えます。

 なお、取消権の考え方ですが、工事などですでに着工後の取消しの場合など原状復帰相当の措置も含むようにし、実質的な救済がはかられるようにすべきです。

4.個人ビジネス勧誘取引に関する民事ルールの整備

 個人ビジネス勧誘取引に関する民事ルールの整備について賛成します。

  なお、「個人ビジネス勧誘取引」という名称ですが、消費者契約であることが明確になるような名称に見直していただきたいと思います。消費者契約法で解決できる事例もありますが、相談現場では消費者取引でないと主張する事業者もいると聞きます。そのような相談現場への影響を考えたとき、事業取引のような印象を与える名称は好ましくないと考えるからです。

5.連鎖販売取引における中途解約時の返品ルールを定めることに賛成します。

 事業者の中には、業界の自主基準で対応しているので法定化は必要ないとの意見もあるやに聞いていますが、アウトサイダーの事業者も多い中、中途解約時の返品ルールがなければ、消費者被害の実質的救済は困難であることを強く主張いたします。
 

6.執行手続規定の整備

 消費者が商品やサービスに関する情報を収集する際に、その第一歩となるのが広告であり、誇大・虚偽の広告表示については、迅速な摘発が求められます。昨年の景品表示法改正では、期限を示して客観的な根拠の提示を事業者に求め、それがない場合には虚偽・誇大表示と見なす方式が導入されました。この方式は、きちんとした根拠を持たずに過大なメリットを表示する事業者を迅速に取り締まる上で有効と考えられます。報告書素案は、この方式を特定商取引法においても取り入れる方向を示しており評価いたします。

終わりに

 特定商取引法は指定商品・役務制をとっていますが、昨年5月に発表された「21世紀型の消費者政策の在り方について」(国民生活審議会消費者政策部会報告書)では、指定商品・役務制について、新たな商品・サービスへの対応という見地から、その在り方について早急な検討を求めています。この点については、従来より消費者団体も強く要望してきたところであり、今後すみやかに検討が行われるよう要望します。