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文化審議会著作権分科会報告書のとりまとめをうけて全国消団連では事務局長名で、文化庁に意見書を提出。
レコード輸入権の性急な立法化を止め、慎重な検討を行うよう要請しました。



2004年1月14日

文化庁長官 河合隼雄 様

全国消費者団体連絡会
事務局長 神田 敏子

「日本販売禁止レコード」の還流防止措置に関して
今通常国会への法案提出を行わないよう求めます。
〜文化審議会著作権分科会報告書のとりまとめをうけて〜
 

 本日、文化審議会著作権分科会において報告書がとりまとめられました。

 この報告書のとりまとめにあたっては、2週間という短期間ではありましたが、意見募集が行われました。そして、「日本販売禁止レコード」の還流防止措置(以下、レコード輸入権と表記)に関しては、約1000件もの意見が寄せられ、その30%程度が反対意見でした。賛成意見は、レコード業界関係者や販売店の関係者から多くが出されています。一方、反対意見は、消費者団体のほかにも消費者個人から多様な意見が出されています。

 私ども消費者団体が、レコード輸入権が検討されているのに気が付き、法制問題小委員会に意見書を提出し、社会的に問題提起を行ったのは11月12日でした。その後の、1ヶ月余という短期間にもかかわらず、消費者個人を含めたこれだけ多数の反対意見が提出されたことは、レコード輸入権問題に、性急な結論を出すべきではないことを示しています。現時点では、この問題をめぐる論点がやっと社会的に認識されはじめた段階であり、私どもがパブリックコメントでも指摘したように、消費者団体を含む幅広い関係者をメンバーとした「レコード輸入権に関わる総合的な議論の場」を設置し、消費者利益等の角度からの検討を慎重に行うべきです。

 当初、レコード輸入権支持が強かった法制問題小委員会の議論も、11月以降の経過をふまえて、今回の報告書では、「日本の音楽レコードの還流防止のため、何らかの措置が必要であるという意見が多数であった。他方、具体的方法論については、(中略)これらの慎重意見を踏まえた検討が必要である。」「還流防止措置との関係から、『再販制度』の在り方について別途の場において議論することが適当であると考えられる。」とまとめられています。ここまで慎重な表現になったのは、「再販制度」がある中でレコード輸入権を創設することが、公正な市場形成の観点から問題があり、消費者利益を損なうという公正取引委員会と消費者団体の指摘があったからに他なりません。

 以上のような経過をふまえ、文化庁は、この問題に性急に結論を出すべきではありません。今通常国会にレコード輸入権に関する法案を提出しないよう強く求めます。あらためて、消費者団体を含む幅広い関係者をメンバーとした「レコード輸入権に関わる総合的な議論の場」を設置するよう強く要請するものです。