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全国消団連では、金融庁の「金融商品販売等に関する法律施行令の一部改正する政令案」に対する意見募集に対応し、下記の意見を提出いたしました。



2004年1月13日

金融庁総務企画局企画課 御中

全国消費者団体連絡会
事務局長 神田 敏子       

「金融商品の販売等に関する法律施行令の一部改正する政令案」に対する意見書
 

 今般いわゆる「外国為替証拠金取引」について金融等デリバティブ取引に該当する場合は「金融商品の販売等に関する法律」の対象になる旨の改正を行うことについて意見が求められていますので以下のとおり意見を述べます。

 そもそも外国為替証拠金取引は平成10年の外為法改正で為替取引が自由化されたことによって生まれた商品です。取引業者に一定額の証拠金を預け、その金額の10倍、15倍位の為替取引を行うものです。金融先物取引と似ていますが、金融先物取引とは異なり、この外国為替証拠金取引には規制する法律がありません。取引形態や取引の仕組み、取引単位、証拠金の額等も事業者によってまちまちです。また、被害者は、仕組みについての十分な理解もなく、「外国預金と同じようなもの」とか「金利がとても高い」など、事業者からの一方的な説明を信じて契約をしているものがほとんどです。被害にあった消費者の多くは高齢者であり、金融商品の知識に乏しい人たちです。被害事例の中には被害額が数千万にも及ぶものもあり、生計を立てていくのが困難になっている人もいます。外国為替証拠金取引はハイリスク、ハイリターンの商品であり、事業者との相対取引であること、スワップ金利や追加証拠金が必要になる場合があるなど、取引の仕組み自体が複雑で分かりにくい金融商品です。金融の専門知識を持たない一般消費者には不向きな商品であることは明白です。

 以上のことを勘案すれば、今回の「政令案」による対応では、事業者の義務は、元本割れがおこるリスクに対する説明義務にとどまるため、一般消費者にとって実質上の改善にはつながらないものと考えます。むしろ、事業者の姿勢によっては、金融商品販売法で公認されたかのような営業を行うなど、意図したところと反する効果を生むことさえ懸念されます。そこで以下のような項目を要請します。

要 請 項 目

1. 為替証拠金取引を金融商品販売法の対象にすることについて

 今回の政令案改正によって、説明義務を負わせ説明がなく損害を受けた場合は損害賠償の対象とする、という金販法の適用を受けることになります。しかしながら、為替証拠金取引自体に賭博的要素があることや、事業者の詐欺的取引によって、契約させられ被害にあってしまう消費者の保護や救済には直接つながりません。それどころか、前述のとおり悪質事業者が、法律にのっとった取引として、かえって被害を拡大させてしまう懸念があります。外国為替証拠金取引は、ハイリスクであり、取引の仕組み自体も複雑でわかりにくい金融商品です。この間の被害の多発から考えても、専門的な知識をもたない、一般消費者対象に販売するのは不適当であると考えます。一般消費者への販売を禁止するなどの立法措置が必要です。その上で、プロの投資家や企業間の取り引きとして成立するような実状があるのであれば、金融商品販売法の対象とすることを検討してはどうかと考えます。

2. 外国為替証拠金取引の被害者救済相談窓口を早急に設置すること

 新聞報道によれば被害者はすでに5000人を超えていることから、被害救済の観点から早急な対応が必要と考えます。金融庁の中に相談窓口を設置することを求めます。将来的には金融関連の消費者相談窓口として継続的に設置することを求めます。

3. 消費者のセイフティーネットとして金融サービス市場法を設置すること

 判断力不足、専門知識をもたない消費者が、事業者の一方的な、執拗な勧誘により契約をしていることから、適合性原則、不招請勧誘を盛り込んだ金融サービス市場法の設置を求めます。

4. 市場を監督する機関を設置すること

 金融関連商品は今後も多種、多様化することが考えられ、今回のように
まったく規制のない金融商品の販売で消費者が被害に合わないように、市場においての監視機関が必要と考えます。設置に向け積極的に検討することを求めます。