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全国消費者団体連絡会は、文化審議会著作権分科会報告書(案)に関する意見を提出しました。



2003年12月24日

文化審議会著作権分科会
分科会長 齋藤 博 様
全国消費者団体連絡会
東京都千代田区六番町15プラザエフ6階
電話03-5216-6024 FAX03-5216-6036
電子メールwebmaster@shodanren.gr.jp


文化審議会著作権分科会報告書(案)に関する意見

 本年12月10日、文化審議会著作権分科会報告書(案)が公表され、パブリックコメントに付されました。同報告書は、「法律ルールの整備」、「円滑な流通の促進」、「国際的課題への対応」、「著作権教育の充実」、「司法救済制度の充実」の5つの分野の小委員会検討結果報告で構成されており、すみやかに著作権法を改正することが適当である等と結論付けています。当連絡会では「法制問題小委員会」において検討された「日本販売禁止レコード」の還流防止措置(以下、レコード輸入権と表記)について、「再販制度」が適用されている中での導入は、反対であるとの立場から、以下意見を申し述べます。

1.レコード輸入権の導入は、「再販制度」とあいまって、国内での音楽用CDの販売価格の高止まりをいっそう強め、消費者に多大な不利益を与えるので、「再販制度」を維持したまま、レコード輸入権を導入することには反対です。

 「高くても、好きなアーティストのCDだから買う」という層もあるのは事実ですが「高いので買い控える」という層が圧倒的に多いと思われます。デフレが続くという環境の中で、CDの売り上げが伸びないのは、価格が高すぎるからと考えるのが妥当です。また、新進無名のアーティストのCDは、無名であることに加えて、「再販制度」のもとで販売価格が自由に設定できないためになかなか売れず、結果として、アーティストの裾野が広がらない原因にもなっています。

 このように音楽用CDの販売価格の高止まりは、消費者利益を害するだけでなく、公正な競争にもとづいた健全な業界の発展にもマイナスであると認識すべきです。

2.レコード輸入権の導入の制度設計によっては、邦盤のみならず洋盤にまでレコード輸入権が及ぶのではないかと危惧されます。

3.報告書(案)の「日本販売禁止レコード」という記述は、「海賊版」との誤解を招く恐れがあります。「還流輸入レコード」等、事実に基づく表現に改めることを求めます。

4.消費者団体を含む幅広い関係者をメンバーとした「レコード輸入権に関わる総合的な議論の場」を早急に設置することを求めます。

 1.で述べたように、レコード輸入権は「再販制度」をはじめ公正な競争のあり方とあわせて検討されるべき問題です。消費者団体の代表も構成員とし、そのような総合的な検討の場を設置すべきです。

5.「法制問題小委員会」のメンバー構成の検討を求めます。

 「知的財産推進計画」には「消費者利益等の観点を含めて総合的に検討する」とあります。しかし、「法制問題小委員会」のメンバーには消費者を代表する委員が含まれていません。全てのステークホルダーが揃ってはじめて公正な検討結果が得られると考えますので、「法制問題小委員会」のメンバー構成を再考されるよう求めます。