2003年10月23日
内閣府国民生活局
局長 永谷 安賢 様
消費者保護基本法の改正に関する要求
全国消費者団体連絡会
本年5月、国民生活審議会消費者政策部会報告書『21世紀型の消費者政策の在り方について』(以下、「報告書」という)が発表されました。報告書では、消費者を行政によって一方的に「保護される者」として受動的に捉える従来の在り方から、消費者を「自立した主体」と位置付け、消費者の権利を理念として確立して、その実現を図るために消費者政策を展開する方向へと、消費者政策全体の枠組みを転換することが明示されています。機械的に「保護」の側面が全面否定されてはなりませんが、消費者を権利主体として位置付けた上で諸施策を体系的に再構築することは非常に重要であり賛同できるところです。
報告書では、第5章に「消費者保護基本法の見直し」を掲げています。同法は消費者政策の枠組みについて定めていますが、基本的方向性において上述した21世紀型消費者政策在り方とそぐわない内容となっており、抜本的な見直しが必要になっています。
全国消団連は、21世紀型消費者政策を総合的に展開し、かつその実効性を確保する上で必要不可欠の事項として、以下に掲げる8項目を消費者保護基本法の改正に盛り込むことを要求します。
記
1.消費者の権利の明記について
法律の名称、目的、基本理念などにおいて「消費者の権利」を前面に打ち出し、CIの掲げる8つの権利を参考に権利の内容をリスト化すること
2.各主体の責務・役割について
(1)国・地方公共団体の責務や政策形成のあり方については、情報公開、消費者参加、説明責任という観点を明確にすること
(2)事業者については、社会的責任の自覚、環境・人権への配慮、コンプライアンスを責務として明確にし、事業者団体についても規定を設けること
(3)消費者については、市場における役割の自覚について明記し、消費者教育・政策提言・市場監視・被害救済支援など消費者団体の役割についても規定を設けること
3.消費者教育について
消費者教育については、「自立した主体」たる消費者の育成という観点から規定を充実すること
4.基本計画に関する規定の新設について
中長期的な視点を踏まえた消費者政策の戦略的・総合的展開を保障するために、基本計画に関する規定を設けること
5.各種施策の充実について
各種の施策については、取引の適正化に関する規定を新設するとともに、最近の状況を踏まえて規定を充実すること
6.国の推進体制について
国の推進体制については、政策形成過程の透明化を進めつつ、横断的・総合的な政策の審議・推進、各省庁の施策に対する提言と監視、実効性の確保を図る見地から抜本的な見直しと補強を図ること
なお、消費者保護基本法は消費者政策の枠組みを定めているに過ぎません。そこで示された理念が消費者政策全体に反映されるためには、個別法の改正・整備を含む具体的施策の展開を進めていく必要があることについても付言しておきます。
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全国消団連の消費者保護基本法改正検討会では、以上の要求項目を反映させた「消費者保護基本法改正試案」を作成しました。この改正試案を、別途掲載しております。今後の行政ならびに国会での検討に反映下さいますようあらためて要請いたします。
なお、この改正試案については、今後も、消費者団体での学習と議論を重ねていきたいと考えております。また、広く各界の皆様からもご意見をお寄せ下さいますようお願いします。
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消費者保護基本法改正試案はこちら [HTML形式] [PDF 336KB]
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