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経済産業省が8月28日締め切りで、エネルギー基本計画案について意見募集を行っていました。
全国消費者団体連絡会は事務局長名で意見書を提出しました。



2003年8月28日

資源エネルギー庁
長官官房総合政策課 御中

全国消費者団体連絡会
事務局長 神田 敏子 (かんだ としこ)
住所 〒102-0085 東京都千代田区六番町15 プラザエフ6階
電話 03-5216-6024
ファックス 03-5216-6036
電子メール webmaster@shodanren.gr.jp

 

エネルギー基本計画案に対する意見
 

  1. 需要対策については、経済的手法にもとづく施策の検討を明示すべきです。また、消費者への具体的な情報提供を推進してください。
     
     基本計画(案)において施策の第1として需要対策がかかげられ、「省エネルギー」と「負荷平準化対策」が示されている点は、消費者・需要者サイドから考えていく姿勢を示されたという点で評価できると考えます。
     さらに「省エネルギー」や「負荷平準化対策」をすすめるためには、消費者・需要者にとって経済的インセンティヴがはたらくような手法の導入が効果的と考えられます。基本計画に、経済的手法にもとづく施策の検討を明示すべきです。また、消費者が「省エネルギー」をすすめ、ピーク時の電気使用を控え「負荷平準化」に協力していくためには、今夏の電力危機の際に経験したように、具体的な情報提供が必要です。
     
     
  2. 供給対策に関して、原子力発電・核燃料サイクルについては、あらためて国民にたいする説明責任を果たすことがまず必要と考えます。
     
     原子力発電・核燃料サイクルについては、事故や、検査結果隠蔽といった不祥事が続き、今後のあり方について、国民の間には不信感と不安がつのっています。また、原子力発電の供給構成比が高いことが、今夏の電力危機の背景にあります。さらに、バックエンド費用なども考えたとき、コスト的にも割高です。このような中、一面的に推進をとなえる計画には違和感があります。行政ならびに電気事業者は、今後の安全策や対応について、原子力関連施設の立地する地域住民はもちろん、国民に対する説明責任を果たすべきです。その上で国民的議論を行う必要があります。
     
  3. 長期展望において分散型エネルギーシステムの構築や燃料電池・太陽光発電・風力発電・バイオマス発電などの開発・普及が掲げられている点は評価できます。これらの点について、更に力をいれ目標を明確にし、具体化をすすめるべきです。
     
     現行の大規模集中型のエネルギー供給システムの輸送ロスや非常時のリスクの大きさを考えた場合、分散型エネルギーシステムの早急な構築が期待されるところです。また、環境問題から考えて燃料電池・太陽光発電・風力発電・バイオマス発電などの技術開発・普及も重要な課題であり、と考えます。なお、燃料電池については、水素を利用することから、安全性を確保した供給体制づくりに留意してください。
     
  4. 施策推進のための事業者の役割に、法令遵守と自主行動基準の策定・公表をうたうべきです。
     
     この間の電力会社の不祥事もふまえ、法令遵守をあらためて明記すべきと考えます。また、社会的に重要な役割を果たしているエネルギー事業者であるからこそ、需要者、地域住民・地方自治体、従業員、株主、取引先などとの関係で、透明性のある信頼される企業行動が求められます。安全性の確保はもちろん、安定供給と公正な競争の実現、環境影響の低減などは、行政の責任であると同時にエネルギー事業者の社会的責任です。そのような視点から自主行動基準の策定と公表が、率先して行われるべきと考えます。