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長崎県知事に対して、ホルマリン使用トラフグの出荷停止解除に対する抗議文を提出いたしました。


長崎県知事 金子 原二郎 様

03.8.7

全国消費者団体連絡会
事務局長 神田敏子
東京都千代田区六番町15 プラザエフ6F
TEL:03-5216-6024
FAX:03-5216-6036

 

ホルマリン使用トラフグの出荷停止解除に対する抗議文

 この度、ホルマリン使用トラフグ出荷を容認した長崎県トラフグ養殖適正化対策協議会に対し、強く抗議するものである。

 長崎県は「ホルムアルデヒド安全性検討委員会」を6月26日急遽設置し、7月に2回開催している。そこでの検討結果は、残留検査の検査値について「健康上問題ないレベルである」とし、ホルムアルデヒドについては「天然に存在し通常食されているものと比較して値が低ければ、食べても安全である」としている。その根拠は長年食べてきた食経験と天然に存在する物との比較によるもので、科学的評価といえるかどうか疑問である。この際、人が摂取することへの食品健康影響評価を行うべきであると考える。

 今回この問題が発覚するまでは、出荷直前までホルマリンを使用し出荷しつづけてきた。また、出荷に際しては伝票の改ざんをするなど、この間の報道や事業者の証言などから明らかである。しかし、この間消費者を欺きつづけてきた事に対する謝罪はない。その上、ホルマリン未使用業者や養殖業者に与える影響など、その社会的責任は非常に重いにも関わらず、自ら何の責任もとろうとしない態度は受け入れがたく、更に、信頼関係は益々悪化するだろう。社会に謝罪すると同時にこの問題の検証をしっかり行い、問題点を明らかにし、再発防止策も示すべきである。

 現在、食品安全基本法が制定され、リスク評価、リスク管理、リスクコミュニケーションの3要素からなるリスク分析手法が導入された。食品の安全行政は大きく変わろうとしており、関係省庁はじめ地方自治体においても消費者の視点に立った施策が取られ始めている。長崎県においても事業者、学識経験者、消費者などの関係者で組織する「食品の安全・安心委員会」が設置された。5月と7月に開催されたこの委員会において、消費者は出荷することのないよう強く求めてきたが、「長崎トラフグ養殖適正化対策協議会」はこの委員会の意見を受け入れることなく、7月の「食品の安全・安心委員会」の直後、出荷停止解除の決定をした。

 出荷に際し、履歴書の添付と識別のための胸ひれカットをし、最終的に消費者の選択に委ねるというが、商品の特性上消費者にその情報は届かない。消費者には選択する権利があり、その保障がなされないままの出荷は、消費者無視の行為であると受け止めざるを得ない。このような事業者優先、消費者無視の姿勢は現在の世の中の動きにも大きく逆行するものである。

 7月31日をもって薬事法が改正され、ホルマリン使用が法的に禁止された。それ以前の問題とはいえ、今回法的に禁止されたホルマリンの使用が明らかなトラフグを流通させることは、消費者の視点からは一貫性を欠くものであり、納得しがたいことである。

 他県においてもこの長崎県の決定が影響し、ホルマリンを使用したトラフグが出荷される可能性がある。消費者団体は同様な決定がされないよう強く要望する。

 今後この問題について、再発防止の意味もこめ、広く社会にアピールしていくつもりである。