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消費者運動ビジョン論議ニュース1 2003年7月30日

発行 全国消団連事務局
電話 03−5216−6024

消費者運動ビジョンの論議をすすめています。

 全国消費者団体連絡会では、今年の5月に、全体会議などでの検討を経て、「消費者運動ビジョン策定のための討議資料」をとりまとめました。

 これは、消費者運動のビジョンをつくりあげていくために、全国消団連の会員団体をはじめ、多くの消費者団体、ならびに、消費者問題に関心をお持ちの各界の方々に多様なご意見をいただくための、討議用の資料として作成したものです。

 その概要については、次頁のとおりですが、すでに、消費者団体の会合などで議論が開始されています。今回は、全国消費者協会連合会・日本生活協同組合連合会ですすめられている議論についてご紹介いたします。

 みなさまの団体でも、ぜひ討議をすすめてください。
 

全国消費者協会連合会での議論

 全国消費者協会連合会では、6月13日に総会を開催され、総会後の学習会として、消費者運動ビジョンの論議が行われました。全国消団連から事務局長の神田敏子が参加し、「消費者運動ビジョン策定のための討議資料」の説明を行いました。

 質疑の中では、特に、団体訴権の制度化が今後すすめられていくなかで、消費者団体がこのことをどのように受け止めていくかという点が議論されました。「団体訴権ができた場合、多くの訴訟を起こしていかなければならないのか」という質問が出されました。その点に関しては、「訴訟を起こすことも大切であるが、団体訴権を持っていることが背景となって、事業者に対する約款や販売行為の問題指摘が効果を生むようになるのではないか。」などの議論が行われました。また、それぞれ単独の団体が、団体訴権を行使することは、なかなか難しいが、多くの消費者団体が協力して、団体訴権をになえるような新しい消費者組織をつくることが可能ではないかといった議論も行われました。
 

日本生活協同組合連合会での議論

 日本生活協同組合連合会では、国民生活審議会でまとめられた「21世紀型の消費者政策のあり方」や、全国消団連の「消費者運動ビジョン策定のための討議資料」などを、総合的にとらえて、今後の活動方針が検討されています。

 また、すでに消費者被害が急増している状況をふまえて、生協組合員の中で、自分たちや身近なところでの消費者被害について、語り合う活動がすすめられています。あらためて、消費者被害を話題にすると、ご自身の経験や身近なところでも様々な問題が発生していることが、リアルに交流されています。そして、それらの交流の中から、具体的にどう対応していけばよいのかといった話しから、消費者保護基本法の改正が必要という話しまで幅の広い議論が行われています。

 日本生協連では、このような、地域での生協組合員の交流の促進とあわせて、団体訴権をになえる消費者組織のあり方についても研究をすすめていくことにしています。
 

消費者運動ビジョン策定のための討議資料(概要)

第1章 消費者運動の到達点とビジョン論議の目的

 ビジョン論議の目的は、現在の消費者をとりまく状況をあらためて共有し、消費者団体が重点として活動をすすめる活動領域について明確にしていくことです。そして、その活動領域に私たちの持っている資源を重点的に配分し、運動の広がりと、組織・財政基盤の発展を目指すために、全国の消費者運動にたずさわっているみなさんとともに消費者運動ビジョンをつくりあげていくものです。
 

第2章 消費者運動の目指すもの

 消費者の権利の確立とくらしを守り向上させていくことを、引き続き、消費者運動の共通の目標としたいと考えます。

 CIの消費者の権利では、第1の権利として「生活の基本的ニーズ」を、第8の権利として「健全な環境の中で働き生活する権利」を位置付けています。これらの権利が示している内容は、日本の消費者運動の課題としては、「社会保障制度のあり方」と「環境問題への対応」といったテーマになり、それぞれ、より広範な諸団体との国民的連携にもとづいて実現していく基本的政策課題といえます。

 第2〜第7の権利については、もっぱら消費者団体が中心となって問題を提起し、運動を展開する必要があります。特に、国の基本的政策として消費者政策を位置付けるべき時代を迎えており、これらの消費者の権利を確立していくのは、企業・行政・消費者といった各セクターの責務・役割です。その中で、消費者運動が担う役割は大きく、相応した社会的ポジションの確保と、消費者団体自身の強化が必要です。
 

第3章 消費者団体の直面する課題と対応

 第2〜第7の権利という視点から考えると、消費者相談の急増と多様化にどう対応するかが重要です。行政が相談体制を拡充し、被害救済をはかるとともに、消費者教育をすすめることは、当然、強化されなければなりません。同時に、消費者団体自身の活動として、抜本的に消費者支援を強めるために、次のような役割を果たすことが必要になっています。

  1. 消費者からの相談に対応する役割
  2. 団体訴権を活用し、不当約款や不当な勧誘行為を是正、少額多数被害の救済をはかる役割
  3. 消費者への情報提供を行う役割の充実・強化

 また、企業の不祥事多発という事態に対しても、特に消費者重視経営をどう実現させていくかという視点から、(1)自主行動基準を評価する、(2)個々の企業活動に関する評価を行う、(3)企業が設置する第3者が参加する企業倫理委員会等への対応や社外取締役としての影響力発揮、といったかかわりかたが考えられます。これらの活動について、どう考えていくのか、論議を深めていく必要があります。

<参考>CIの提唱する消費者の8つの権利

(1) 生活の基本的ニーズが保証される権利 (2)安全である権利 (3)知らされる権利 (4)選ぶ権利 (5)意見を反映される権利 (6)補償を受ける権利 (7)消費者教育を受ける権利 (8)健全な環境の中で働き生活する権利