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「個人の権利を尊重する個人情報保護法制の整備のために」を発表しました。


2003年3月3日


全国消費者団体連絡会
                               東京都千代田区六番町15プラザエフ6階
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<経過>
 個人情報保護法制に関しては、IT時代における法整備の必要性から、一昨年の通常国会に「個人情報の保護に関する法律案(個人情報保護法案)」「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案(行政機関個人情報保護法案)」などの5つの法案が上程されました。それ以降、マスメディアや文筆家を中心に反対論が強く主張される中で、昨年8月の住基ネット稼動を経ながらも、昨年秋の臨時国会に至るまで継続審議とされてきました。そうした中、昨年の11月に法案の取扱いについて、以下を主な内容とする与党3党の合意が成立し、「次期通常国会において、……早急に成立させるべく、不退転の決意で臨む」ことが明らかにされました。
〈個人情報保護法案関係〉
基本原則の全面削除
報道機関等への情報提供者に対する主務大臣の非関与を明記
報道の定義を明記
適用除外の対象となる報道機関に個人を含む旨を明記
著述業の従事者を適用除外とする旨を明記
行政機関個人情報保護法案関係
一定の場合に行政機関の職員等を処罰する規定を設定
(自己の利益を図る目的での職権濫用による個人の秘密の収集、個人情報の盗用や不正目的での提供、コンピュータ処理されている個人データの漏洩)
<全国消団連のこれまでの取組み>
 当会では、民間部門に関する法制度がないなど個人情報保護法制が未整備な状況のもとで、個人情報の不正な取得や第三者提供の横行が推測される事例が数多く生じていることや、従業員等による個人情報の不正な漏洩が問題となるケースも散見されることから、法制度の整備を積極的に求めてきました。
 そして、個人の権利の尊重、行政による監督の適正化、メディア規制の排除という3つの視点から、これまでの法案に対してより良いものになるよう修正案を検討・発表し、各方面に働きかけを行ってきました。


<与党修正案の問題点>
 しかし、上記の与党合意の内容は、マスメディアの強力な反対論が効を奏し報道・表現の自由に対する配慮が盛り込まれている一方、行政職員の処罰規定に関する部分を除き、個人の権利の尊重や行政による監督の適正化という観点からの修正が一切行われていません。
 さらに、基本原則を削除してしまったことによって法制の理念が一層不明確になり、理念を体現した基本法という側面からも不十分であり、全体として個人の権利を尊重する個人情報保護法制の実現という消費者の願いに応えていない内容になっています。
 このことについては、消費者の立場から、より良い法制度を目指して粘り強く働きかけを行ってきた当会として、大変遺憾であると言わざるを得ません。


<今通常国会での要望事項>
 私たちは、個人情報保護法の成立に向けた本通常国会での審議において、下記の2点を踏まえた真摯な討議が行われるよう、強く要望いたします。
 又、行政機関個人情報保護法案に関しても、罰則の設定のみではカバーできない問題がありますので、国会審議の中で十分私たち消費者・市民の声が活かされることを求めます。


1.本人同意の原則の義務付けについて修正を求めます
 個人の権利尊重の立場からは、第5章に定められている各種の具体的ルールにおいて、少なくとも本人が情報の流れをコントロールできるように配慮を加えるべきと考えます。利用目的の本人への通知、第三者提供の本人への通知、グループ利用に関する規定の削除、本人情報の非開示理由の説明の義務付けなどの修正を求めます。

2.行政による監督の適正化を求めます
 行政による監督については、主務大臣の報告徴収・助言・勧告・命令という権限が定められていますが、主務大臣の恣意的な権限行使を排除できないという意味で疑問があります。第三者機関の設置を含めた検討が必要と考えますが、主務大臣制をとるならば、その権限行使をチェックすることができるように、少なくとも勧告・命令を行った場合の国民生活審議会への報告や、権利侵害があった場合の本人の申し出権の確保について規定を設けておく必要があると考えます。
以上