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「今後の望ましいガス事業制度の骨格について」に対する意見を提出


2003年2月7日
総合資源エネルギー調査会
都市熱エネルギー部会
部会長 植草 益    様


全国消費者団体連絡会
事務局長  神田 敏子
住所 千代田区六番町15
プラザエフ6階
電話03-5216-6024
FAX 03-5216-6036


  1月10日に発表されました「今後の望ましいガス事業制度の骨格について」につきまして、消費者の立場から以下のように意見を申し上げます。
1.消費者(家庭用需要家)利益の実現をはかる制度改革を

今回の制度改革では、ガス消費者・需要家の立場にたち、その利益の拡大が大きな課題となっています。しかし、当面の自由化対象とされる産業用・大口業務用の需要家においては選択肢が拡大するとともに、競争を通じて料金引き下げなどの利益の実現が期待される一方、家庭用や小規模需要家については、供給事業者の効率化の成果をどのように還元していくのか、その道筋がよく見えない内容となっています。
 現在でも、都市ガス料金につきましては、諸外国と比較して割高であるという内外価格差とともに、国内や同一地域内においても内々価格差が大きく、料金制度の在り方をはじめ、事業者の効率化努力や情報公開などに大きな疑問が投げかけられています。とくに、今回の報告書にも指摘されているように、前回の制度改革以降、日本全体の物価が下落しつづけている中で、充分な説明もせずに漫然と料金引き下げをしていないと思われる供給事業者が散見されます。原材料の値上がりの傾向がありますが、この間の引き下げ努力が不十分なまま、値上げに動く事業者があるとすれば、納得のできることではありません。事業者の情報公開がいっそう必要です。
 もっとも懸念されるのは、供給事業者の効率化努力の成果が、自由化分野のみに注ぎ込まれて、現在でも割高な家庭用需要家への対応がされないということです。ぜひ、自由化対象外の家庭用についても、料金引き下げや料金制度の多様化など、効率化の成果が還元されるように、制度・運用の両面での取り組みを要望いたします。

2.新エネルギー・分散型エネルギーの普及など環境問題への対応を視野におくこと

 日本も京都議定書を批准するなど、本格的な温暖化対策が求められる一方、東京電力の不祥事により原子力発電への不信が深まり、電力の安定供給すらままならないなかで、新エネルギー・分散型エネルギーの普及がまったなしの課題となっています。とくに、コジェネレーションや燃料電池など、ガスを利用した新エネルギーや分散型エネルギーシステムの開発と普及は、現実的な選択肢として大きな期待が集まっています。ぜひ、今回の制度改革が、こうした環境問題への対応を視野においたものとして取り組まれるよう要望いいたします。

3.LPガス事業分野における公正取引等をめぐる問題への対応について

 今回の検討では直接的な対象とはなっていませんが、日本の家庭用ガスの約半分を占めるLPガス分野においては、この間、公正取引などをめぐって様々な問題が指摘されつづけています。LPガスについては、すでに家庭用を含めて制度上は全面自由化されているわけですが、公正取引が確保されなければ、消費者利益は実現されません。この間、業界団体も改善される旨を表明していますが、実態としてLPガス市場が透明で公正なものとなるよう抜本的な措置がとられることを強く要望いたします。
以上