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第41回全国消費者大会開催報告



今こそ  くらしの中に消費者の権利を!
(1) プレ企画 「消費者行政チェックポイント調査結果にみる47都道府県の消費者行政ランキング発表」
    2002年9月28日(土)13時30分〜16時15分 会場:プラザエフ5階会議室
(2) 分科会 2002年11月25日(月)10時30分〜16時30分
    会場:国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟
(3) 講演会「”備えあれば憂いなし”ってホント?!憲法と有事法制」
    2002年11月25日(月)18時〜20時30分
    会場:国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟
(4) 全体会  2002年11月26日(火)10時00分〜12時30分  会場:JAホール
   人数 団体数
プレ企画 消費者行政チェックポイント調査結果にみる
47都道府県の消費者行政ランキング発表
32
食分科会 食の安全と安心  〜怒りと不信からのスタート〜
210 80
消費者関連法分科会 みんなで使おう! 消費者契約法
78 40
IT分科会 ケイタイ・カイテキ利用術
〜携帯電話に使われず、主人公として使いこなそう〜
51 32
司法制度改革分科会 もう一度、司法改革を市民の手に!
〜納得できる裁判、もめごと解決を〜
45 33
環境分科会 21世紀は環境の世紀PARTV
〜くらしの視点から現在を見直そう〜
64 52
くらし分科会 税と社会保障 〜あなたの負担はどうなる?〜
86 46
街づくりと住宅分科会 安心・安全・快適に
〜住みつづけられる「街づくり」と「すまい」〜
102 13
講演会 "備えあれば憂いなし"ってホント?! 憲法と有事法制
130 44
全体会
380 130
合計(のべ)
1178
※参加人数については、昨年と同水準です。
<プレ企画> 消費者行政チェックポイント調査結果にみる
47都道府県の消費者行政ランキング発表
昨年同様、プレ企画として、47都道府県の消費者行政ランキング発表を行った。都道府県の予算案に影響を与えようという趣旨で、9月末の開催となった。ランキング発表の後、自治体の消費者行政の現状に関して全体討論を行った。
 今回のランキングでは、「各種消費者法の施行面・実行面がどう自治体でなされているかを調査する必要がある」「消費生活センターの機能としては消費者団体の活動拠点としての役割もあるし、教育・啓発面で果たしている役割も大きい。これらも評価すべきだ」などの意見がだされた。後半の全体討論では、「消費者の自立を促すための自主交渉をすすめている状況もみてほしい」「相談員は8時ころまで作業をしている実態を理解してほしい」「東京都では相談員をグループ分けしてベテランと職員とがチームを組んで問題解決の体制を整えている。こうした点も評価しないといけない」などの意見がだされた。最後に、閉会あいさつのなかで、「担当者レベルでいくら頑張っても、制度として崩れたら意味がない。」との指摘があり、今後、この調査の改善を図りながら、消費者行政の前進に向けた取り組みを強化することを確認しました。

<食分科会> 食の安全と安心 〜怒りと不信からのスタート〜
午前は、食品安全委員会設立準備室より、食品安全委員会と食品安全基本法の検討状況について報告が行われた。続いて、全国消団連より、食品安全行政に関する消費者からの提言を報告し、その後、@食品安全基本法に「食品の安全は消費者の権利であり、その視点からの消費者の健康保護」の明記の必要性、A委員会への消費者からの意見の反映のあり方、B委員や事務局長の人選について、Cリスク評価作業に関わる独立性の保証、Dリスク分析全体に関わるリスクコミュニケーションのあり方について、E委員会の業務やリスク評価作業に関する決定過程等の透明性や公開性のあり方、という6つの総括質問を行い、意見交換を実施した。
午後は全国農業協同組合連合会の原耕造氏より、全農で検討されているトレーサビリティのシステムとその背景にある問題意識について報告が行われ、質疑応答を行った。その後、グループに分かれて交流を行った。各グループの発表内容は下記の通りであった。
〇 地産地消という面から学校での食教育が重要になっていること。
○産者から消費者へ届くまでの部分について不信があること。
○食と農の距離を縮めていくことや家庭での食に関しての関心を広げていきたい。
○生産者も消費者にきちんと情報を伝えていく必要性があるし、消費者も生産者を理解する必要がある。

最後に、このような生産者と消費者との顔の見える関係をどのように作り上げていくかが両者に問われており、ぜひ参加者のそれぞれの地元でも同様の機会を設けて欲しいとの呼びかけを閉会の挨拶にして、終了した。

<消費者関連法分科会> みんなで使おう! 消費者契約法
消費者関連法の分科会は、どういう場面で消費者契約法を使えるかという劇を見た後、弁護士の村千鶴子氏から消費者契約法の説明をしていただいた。消費者契約法の第1条には「消費者と事業者との間の情報の質および量ならびに交渉力の格差にかんがみ・・・」と定められている。また第3条に事業者に説明が義務付け(努力義務ではあるが)られていることも大きなポイントとなる。取消制度について、(1)誤認類型(重要事項の不実告知・断定的判断の提供・不利益事実の故意の不告知)による取消は、消費者と事業者との情報格差による被害救済であること。(2)困惑型類型(不退去・退去妨害)による取消は、交渉力格差につけ込んだ契約の押しつけからの救済であること。不当条項を無効にすることについては契約条項を合理的・公平性のある内容にすべき必要があるという視点から設けられたものであること――などお話していただいた。
午後に入って、消費者契約法をめぐる状況をリレー報告という形で展開した。「敷金返還訴訟」の概略、新古車の儲け損ねた利益が平均的損害に含まれるかどうかが争われた「中古車裁判」の報告、「消費生活相談事例」、「入学金・授業料ぼったくり問題」、「消費者問題出前講座参加者アンケートより契約法の普及状況」等と続いた。裁判官の契約法についての認識は、まだまだであり、裁判傍聴の必要があるとコメントされた。
その後、消費者契約法の見直しに関する問題提起とフリー討論に入った。契約法第3条を事業者の義務として明確にすべき、クレジット契約書の内容・条項のわかりにくさは問題、早急に団体訴権の確立を、などの意見が寄せられた。休憩をはさんで昨年のテーマでもある個人情報についても触れ、「個人情報保護と住基ネットに関する現状報告」がなされた。最後に分科会のアピールを採択し、終了した。

<IT分科会> ケイタイ・カイテキ利用術
〜携帯電話に使われず、主人公として使いこなそう〜
午前中は、WEB110代表の吉川誠司さんが「携帯電話をめぐる消費者トラブル」をテーマに講演。引き続き全相協から、週末電話相談に寄せられている相談事例の紹介を行った。吉川さんからは、着信転送の悪用事例、出会い系サイトからの個人情報流出、携帯電話契約上の注意など、のお話をいただいた。携帯電話に関するトラブルについては、法整備に頼るだけではなく、消費者・世論が声をあげ、事業者への自主的な対応に繋げていくことが望ましいとのお話があった。
 午後は、午前中の報告を踏まえ、私たちがトラブルに巻き込まれないために理解する必要がある「携帯電話の料金と料金の仕組み」(NTTドコモ)について、パンフレット等を交え説明をいただき、質疑応答により疑問点を解消した。その後、「迷惑メールの送信に関する表示義務について」、「携帯電話の電磁波の健康リスク」についての報告があった。「家庭生活・人間関係・教育現場への影響」では、高校生に対して行ったアンケート結果と内閣府の調査概要をもとに、青少年と携帯電話の関わりについて、皆で考えた。また、横浜国立大附属横浜中学校の川口信雄さんが『中学生からの情報社会への提言「ケイタイプロジェクト」』について報告。総合的な学習のテーマに携帯電話を選び、学習を通じて生徒たちが情報を見極める力を身につける過程をお話していただいた。最後に、会場内で意見交換を行なった。携帯電話所持の低年齢化、トラブルに遭って解約した場合の電話番号についてなど、報告者と参加者での議論が交わされた。
 携帯電話に対して、私達はさまざまな角度から判断材料を揃え、情報を選択する力を身につける必要があるのではないかとのまとめを行い閉会した。

<司法制度改革分科会> もう一度、司法改革を市民の手に!
〜納得できる裁判、もめごと解決を〜
午前中に弁護士・四宮啓さんより「国民が担う新しい司法制度〜司法改革と国民参加〜」をテーマにご講演をいただいた。従来の社会は行政の作るルールが物差しとなっていたが、今後は国民の自由な社会参加の下、調整のルールは客観的で透明なルールである法により解決していくことの必要性を話された。また、司法制度改革審議会は、そのメンバー構成、議事録と審議を公開し透明性を確保し、運営がメンバーの手によって行なわれたなど「国民志向」の姿勢であったと述べられた。
 司法が民主的な正当性を獲得するために「司法への国民参加」が重要な柱で、その1つは国民が裁判に参加する「裁判員制度」である。この制度は、資格を問わない広く一般の国民が裁判に関わることに大きな意味があることが強調された。理解しやすく、やりがいを持って裁判に参加してもらえるしくみが必要と述べられた。
 午後には、総論として司法制度改革検討会に消費者代表が少ないなどの問題点や行政訴訟などについてお話をいただいた。その後、全国消団連の「司法制度改革検討チーム」のワーキンググループからADRと団体訴権について、意義、制度のあり方などについて報告がなされた。続いて、弁護士費用の敗訴者負担制度が導入されたら消費者・市民から裁判を起こす権利を奪いかねない危険性があることが述べられた。会場より、変額保険、公害について実際に裁判を起こされている方から発言をいただいた。その後、参加者との質疑応答と意見交換を行ない、最後にアピールを採択し、終了した。

<環境分科会> 21世紀は環境の世紀 PARTV
〜くらしの視点から現在を見直そう〜
午前中は「21世紀を平和で環境の世紀に〜リオからヨハネスブルグサミットへ〜」と題する基調講演(講演者 地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)専務理事・弁護士 早川光俊さん)が行われた。講演では、1992年の「国連環境開発会議(地球サミット)」以降、様々な環境条約が採択されているが、現実の地球環境は悪化していること、経済のグローバリゼーションと貧困化が進んでいること、また世界貿易機構(WTO)と他国間環境条約の関係をどう考えるかなどが今後の課題として挙げられた。また、政府を変えるのはその国の市民であり、消費者側の問題提起が必要であることなど、提言があった。
午後からはA「環境と社会」B「環境と生活」というテーマに分かれて、グループ毎に討論した。Aグループでは、自然エネルギーの促進に向けた事例や市民参加型の条例づくりの交流などが行われ、消費者も勉強していかなければならない、という話になった。また、今後のエネルギー政策について国民的論議が必要ではないか、という話があった。Bグループでは、マイバッグキャンペーンとレジ袋ノーデーの話を皮切りに話し合いに入った。レジ袋の有料化をしている地域などもあり、生協ではほとんどが有料、それをきっかけに他に行くときもマイバッグ持参が増えているという。外国にも行かれた方がドイツなどの例も出され、幅広い話し合いになった。拡大生産者責任を入れた容器包装リサイクル法にしなければという意見が出された。

<くらし分科会> 税と社会保障 〜あなたの負担はどうなる〜
午前中は、「小泉『構造改革』で国民の生活と負担はどうなるか」(講師:富山泰一さん・不公平な税制をただす会)と題した講演を行った。"小泉改革"は、税については従来の「再分配」という民主的な考え方から「活力」や「中立」などのキーワードで企業の競争力を強化しようというまったく従来と違う視点を持ち込んできている。消費者も単に「税金は安ければよい」というだけでなく、私達の側から"何が公平か?"という判断基準を持つ必要がある。と話された。質疑では、「配偶者特別控除」「GNPに占める国民負担」などに関する質問や「リストラで就業者が減り、年金の積み立て減が心配」などの意見が出された。
午後は、報告「政府税制調査会のデータはこう読む」(和田正江さん・主婦連)で、「日本の課税最低限は高い」等の税調が「税の空洞化」の根拠にしているデータを別の角度から見た後、4団体より税や社会保障に関する負担の実態を、各種「意識調査」や「実態調査」から報告した。交流では、「消費税増税反対の運動を広げている」「相続税、贈与税を無くす運動をしている」「中小事業者の実態」などの報告があった。最後「@法人税が高いと産業空洞化するのでは?Aクロヨン問題で、中小事業者には不信感があるB税は(資産・所得・消費)どこから中心的にとるべきか?」の質問に以下のように回答があった。@「産業空洞化」は法人税減税の口実である。企業が中国などに出て行くのは、「費用がかからない」から。産業空洞化は「税制」だけが問題なのではない。A「クロヨン問題」はサラリーマンと自営業者を対立させるための理屈。本当に大きな脱税をしているのはどこか?「コップの中の争い」に引き込まれてはいけない。B課税の基本は直接税(法人税や所得税)。理由は"担税力"の計算ができるから。資産税や消費税は補完的な税である。


<街づくりと住宅分科会> 安心・安全・快適に
〜住みつづけられる「街づくり」と「すまい」〜
開会のあいさつのあと、岸本幸臣氏(日本住宅会議理事長・大阪教育大学教授)が「住み続けられる住まいと街」をテーマに基調講演し、96年6月の「住宅・宅地審議会」は、公共住宅の責任放棄・定期借家制度の創設・建築諸規制の緩和などを答申し、今後の国民の住宅問題解決は市場原理任せにし、公的責任を放棄したことを具体的な事例を示して強調された。さらに、岸本氏は、このような政府の住宅政策の空洞化は、96年6月イスタンブールで我が国政府を含む171ヶ国が参加し採択された「居住の権利宣言」に掲げた「人権としての住まいの保障」にも反すると厳しく批判した。そして、加えて01年8月には国連の社会権規約委員会が、住まいを含む中核的権利について、国内法としての実定を日本国政府に勧告しており、私達は、国民サイドから住まいの権利を守る理論構築を急ぐ必要があることをよびかけた。
午後からは、公団・公社住宅の売却・民営化、駅のユニバーサルデザインの促進、欠陥住宅、住宅金融公庫の行方、マンションの建て替え、高齢者の借家対策、定期借家制度の廃止、敷金未返済問題等をテーマにして各参加団体から具体的に調査結果や実例を示して報告され、活発に意見交換が行われた。最後に「申し合わせ」を確認し閉会した。


<講演会> "備えあれば憂いなし"ってホント?! 憲法と有事法制
 開会挨拶の後、「平和ミュージカル・ふじさわ」の若者たちによる、歌とおどりから始まった。その後、「"備えあれば、憂いなし"ってホント?!憲法と有事立法」と題して、元明治大学学長・名誉教授の岡野加穂留さんより講演が行われた。岡野さんは現在の日本の政治状況を考える視点として「である政治」と「する政治」について、ヨーロッパやアメリカの政治制度にふれながら「21世紀は、20世紀とは基本的に違った問題が提起されている。しかし、変えていいものと、変えてはいけないものがある。そこで、思考の大転換とか、既成の方程式、定理・公理をも考え直し、平和な福祉社会を創る為の、新しい考え方による平和の枠組みを構築し、既成の使い物にならない政治的遺伝子の組換えを行わなければならない。」とのべ以下の内容について言及された。
「戦後は57年目。これを57年も経ったものと考えるべきか、57年しか未だ 経っていないと考えるべきか」「日本国憲法の存在意義とはなにか」「憲法に明記してある不戦の誓いとは何か」「世界の非暴力主義・不服従主義・無抵抗主義の姿勢」「周辺事態法と有事法制とは何か」「9月11日以後と9月17日以後の政治状況」「 日常生活と地方自治体と政府と国の姿勢、日本連邦制」「心豊かな日常生活と人権・福祉等の関係」「消費者の為になる政治を実現する方法」など、現在の政治状況をどのように考えるべきか、幅広い視点から講演が行われた。講演の後、参加者からは西欧諸国で民主主義が育つ土壌がなぜできたのか、また日本における地方自治の在り方などについて質問があり、西欧諸国と比較すると、日本においては新しい市民意識の醸成が必要であること、ほんとうに地域住民がになう自治を確立することが必要であると、発言があった。最後に、私達の思いを行動に移しましょうと、閉会の挨拶が行われ講演会は終了した。

<全体会>
全国消団連神田事務局長より、開会にあたっての報告が行われた。ここでは、食品安全行政の改革や消費者保護基本法の見直しが進められる中、消費者団体の役割は国と地方を問わずいっそう重要になっており、私たち自身が消費者運動のあり方についての論議を起こしていこうと呼び掛けられた。
次に、内閣府国民生活局審議官の田口義明氏と日本弁護士連合会消費者問題対策委員会委員長の石戸谷豊氏から挨拶をいただいた。
そして、「21世紀消費者政策」のテーマに関して、消費生活相談をめぐる状況について全国消費生活相談員協会の柴原さんから、消費者行政チェックポイント調査結果について全国消団連消費者行政研究グループの池本弁護士から、国民生活審議会消費者政策部会の審議状況について主婦連合会の加藤さんから、それぞれ報告が行われた。一連の報告で、消費者トラブルが増えつづけ悪質度も増していること、一方、消費生活相談員の配置をはじめ消費者行政が後退状況にあることが指摘された。そして、国民生活審議会消費者政策部会で行われている消費者保護基本法見直し論議に、消費者の権利を確立する立場から積極的に参画していこうと呼び掛けられた。
続いて、「食品の安全」に関して、各地の消費者団体の活動が次の7本のリレートークで紹介された。@食品安全確保対策の充実に関する東京都議会への請願(東京都地域婦人団体連盟)、A「米政策の大転換について」(全大阪消費者団体連絡会)、B遺伝子組み換えイネ開発阻止いま私たちにできることは(遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン)、
C「食の安全」とりくみ報告(神奈川県消費者団体連絡会)、Dベビーフード・お菓子メーカー訪問(新日本婦人の会)、E生産者の想い そしてアピール(島根県農協青年連盟)、 Fこの間の食品安全を求める取り組み(生活協同組合おかやまコープ)
 そして、日本生協連理事の本郷さんからは、食品安全委員会の設置と食品安全基本法制定ならびに食品衛生法改正をめぐる動向をふまえて、国と地方の食品安全行政改革をすすめることを提起する報告が行われた。
最後に大会アピールと、「企業の社会的責任」を求める特別決議を採択し閉会した。