[このページについてのご意見、お問い合わせなどはメールにて webmaster@shodanren.gr.jp までお送りください。]

全国消団連・トップページへ戻る

全国消費者団体連絡会PLオンブズ会議がPL法改正案を提言しました。


製 造 物 責 任 法 改 正 案
2002年7月5日
                          PLオンブズ会議
1. 次の条項を修正する。
第2条第1項
この法律において「製造物」とは、有体物、無体物を問わず流通におかれた全ての動産及び不動産をいう
2.  次の条項を追加する。
第3条の2(欠陥の推定)
 製造物が通常予想される方法により使用されたにもかかわらず、損害が生じた場合において、その損害が通常生じうべき性質でないときには、その製造物に欠陥があったものと推定する。
2 製造物の欠陥は,製造者が当該製造物を流通においた当時既に存在していたものと推定する。但し、製造者が、当該欠陥が相当の使用期間経過後に生じたものであると証明したときは、この限りではない。
第3条の3(因果関係の推定)
 製造物に欠陥が存する場合において、その欠陥によって生じうべき損害と同一の損害が発生したときは、その損害は、その製造物の欠陥によって生じたものと推定する。
第3条の4(開示)
 この法律に基づく訴訟において、製造物の安全性に関する情報を所持するものは、正当な理由がある場合を除き、被害者の請求によりこれらを開示しなければならない。
2  製造者または製造者のために前項にかかげる情報を所持する者が、正当な理由なくしてその情報を開示しない場合には、裁判所は、当該製造物に欠陥があるものと認めることができる。
第3条の5(付加金)
 生命,身体または財産の安全性の確保または損害の拡大の防止について、製造者に故意または重大な過失があったときは、裁判所は被害者の請求により、製造者に対して、第3条による損害金のほかに、これの2倍を限度とする付加金の支払いを命ずることができる。
第7条(消費者団体訴権)
 消費者団体は、欠陥製品による消費者被害の発生または被害の拡大
を未然に防止するため、当該製品の販売者、製造者、輸入者に対し、当該製品の製造販売輸入を差し止め、その他適当な措置をとることを請求することができる。
2  消費者団体は、製品の欠陥に起因する訴訟において、当該被害者と共同してまたはこれに代わって当事者となることができる。
第8条(内部告発者の保護)
 欠陥製品の安全に関する事業者の不法行為を知った者は、公表または通報しても、一切の不利益を受けない。
附則
   第1条(消費者団体の定義)
この法律において「消費者団体」とは、別に政令で定めるものをいう。
3. 次の条項を削除する。
第4条第1号(開発危険の抗弁)

提 案 理 由
1995年の製造物責任法施行から7年を経過し、この間の運用状況に鑑み消費者保護実現のため、この改正案を提案する。
逐条補足説明
1. 「製造物」に、「不動産」を加えたのは、最近の欠陥住宅事件の増加や、別表裁判例のような地盤沈下に対する責任追及等の事案が増加し、過失責任のルールでは解決に困難をともなっているからである。また、勝訴事例でも地盤沈下による建築物被害に対し、労力を使ってかろうじて立証に成功したものである。   また、コンピュータソフト等につき、製造物に当たるかどうか議論があったが、この改正案では当然含まれることになる。技術が高度化した今日の実状にも合う。 自然農水畜産物についても製造物責任法の対象物とする。狂牛病問題や、残留農薬違反輸入野菜問題が発生した今日の日本の状況や、欧米の立法動向をふまえ、時宜にあった改正である。

2. 欠陥・因果関係の推定規定を新設したのは、製造物責任法施行後の訴訟においても立証に困難をともなうため、立証不十分として被害者が敗訴している事案が多い実状では、負担の公平が実現できていないから、公平を実現するために規定することとした。

3. 前項同様の理由から、本法に基づく訴訟において、製造物の安全性に関する情報を所持するものは、正当な理由がある場合を除き、被害者の請求によりこれらを開示しなければならないこととした。

4. 雪印乳業食中毒事件、三菱自動車リコール隠し、雪印食品表示偽装事件など、製造者のモラルが低すぎる事案が多発していること、被害者が勝訴しても、費用の持ち出しになる例がほとんどであることから、生命,身体または財産の安全性の確保または損害の拡大の防止について、製造者に故意または重大な過失があったときは、裁判所は被害者の請求により、製造者に対して、第3条による損害金のほかに、付加金の支払いを命ずることができることとした。

5.  社会を安全にしていくためには、被害者自身のみならず、消費者団体にもPL訴訟の訴権を認め被害者と共同してまたはこれに代わって当事者となることができることとした。

6. 欠陥製品につき、内部告発者からの情報が消費者保護や、立証負担の軽減に資することから、欧米の立法例にならって、欠陥製品の安全に関する会社の不法行為を知った者は、公表または通報しても、一切の不利益を受けないこととした。

7. 開発危険の抗弁は、立法当初から反対が多く、欧米でも認めない方向で改正作業がなされていることから、削除することとした。