[このページについてのご意見、お問い合わせなどはメールにて webmaster@shodanren.gr.jp までお送りください。]

全国消団連・トップページへ戻る

食品の安全性を確保できる制度を求めます。


食品の安全性を確保できる制度を求めます。

 今年8月に日本ではじめてBSE(牛海綿状脳症)を発症した牛が発見されました。BSEの原因は、異常型プリオンで、輸入した肉骨粉が汚染されていた可能性が高いといわれています。イギリスをはじめとしたヨーロッパではこの数年大問題になっていたにもかかわらず、肉骨粉の輸入禁止が遅れ、牛の飼料には使用しないという通達も徹底できなかったなど、行政の後手に回った対応が、日本でのBSE発生につながってしまったのではないでしょうか。

 また、BSEを発症した牛を発見した後の対応も、焼却処理したという発表が事実の誤認であったという不手際があり、その後の情報も後手後手となるなど国民の行政に対する信頼は失墜してしまいました。農場から食卓までの飼育・流通管理がまったく不十分であることも判明しました

 その後、つよい不信のため牛肉の消費が激減したことから、肉骨粉の使用禁止、10月18日から屠畜時の全頭検査が開始され、牛の個体管理も検討されています。

 今回の一連の対応であらためて明らかになったのは、事実を正確に把握し消費者に情報提供し、十分なコミュニケーションをはかるべきであるということです。安全性を強調しても、業者への配慮が先行し、その根拠についての説明が十分でなければ、消費者の不安はひろがるばかりです。また、BSEの発症メカニズムや今回の飼料の流通状況などについて、どこまでがわかっていて、正確に把握できていないのはどの点なのかという、情報公開を十分に行えば、必要以上の不安感はもたれなかったと思います。まさに行政と消費者・生産者間でのリスクコミュニケーションがいかに重要か、現実の問題として提起した事件でした。

 この他にも、食の安全をめぐる新しい問題として、遺伝子組換え食品、ダイオキシン問題、内分泌かく乱物質、O157などがあります。こうした諸問題に適確に対応するためには、欧米における食の安全を確保する制度の整備に学び、個々の問題ごとにそのリスクを科学的に評価し、消費者をはじめとした利害関係者への情報提供とコミュニケーションをはかりながら、政策判断をしていくというリスクアナリシスの考え方を具体的な制度として日本社会に定着させていくことが必要です。食品衛生行政における縦割りを廃し、「国民の健康」「食品の安全性の確保」といった目的を明確にし、政策策定過程への消費者の参加、情報公開の充実が行われなければなりません。

 私たちは、「食の安全」を確保できる食品衛生行政を強く望んでいます。
このような食品衛生行政への転換の第一歩として、食品衛生法の改正・運用強化等に関する請願活動を広げこの秋の臨時国会での採択を実現しましょう。

2001年11月16日第40回全国消費者大会 全体会