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1999年11月12日の第38回全国消費者大会全体会で採択された「全体会アピール」を掲載しました。


私たちは主張し、創ります。安心して暮らせる公正な社会を!

第38回全国消費者大会 全体会アピール

 第38回全国消費者大会には、2日間で、のべ1400名の方々が参加し活動と情報の交流を行いました。今年の大会では、安心して暮らせる公正な社会を実現していくために、消費者が政治や行政に対して主張し、政策の形成にも主体的に参加していくことが大切であることを、あらためて確認することができました。

 今年8月に、遺伝子組み換え食品の表示制度の実現が端緒につきました。対象品目が少ないという問題点はありますが、私たちの数年にわたる主張があったからこそ実現できたものです。また食料・農業・農村基本法が制定され、消費者の視点が盛り込まれました。今後の政策展開が問われています。JAS法の改正も行われ、すべての食品に品質表示が義務づけられました。

 5月には、長年の市民運動の結果、情報公開法が成立しています。地方の情報公開制度とあわせて私たちが十分に活用する事がもとめられます。NPO法の成立後、法人格の取得数は885法人になりました。非営利団体の社会的認知を広げ、活動基盤を強めるために制度が活用されています。このように、消費者や市民による運動が、すこしずつ具体的な制度として実を結んで来ています。

 一方、この間の東海村の臨界事故や新幹線トンネルの崩落など、安全をめぐる課題が大きくクローズアップされています。高い失業率や家計収入の減少、社会保障制度に関する政策の混迷など、くらしの先行き不安が強まる中、消費税減税や公正な税制、社会保障制度の整備が求められます。また、消費者契約法や金融サービス法の制定が必要とされていますが、本当に消費者被害の救済や未然防止に役立つものにすることができるのか、大きな課題が残されています。

 私たちは、消費者運動で実現してきたことを評価しこの流れをいっそう確かなものにするとともに、残されているこれらの大きな課題についても積極的に提言し運動を強めていかなければなりません。

 今年の大会では、地域の課題をどのように解決していくか、多くの交流が行われました。たとえば、介護保険では、来年4月からの本格的なスタートを前に、それぞれの地域での取り組みによって内容を充実させていく必要性が交流されました。環境については、環境保全のまちづくりという視点が重視されています。住宅に関しては地域にねざした住み手と作り手の共同と、自治体の役割が論議されています。また、地方自治体の財政が大変な中、消費者行政が後退するなどの事例も紹介されています。

 私たち自身が、住んでいる地方自治体が直面する諸課題に積極的にかかわり、地方自治体の財政についても関心を持つことが、安心して暮らせる公正な社会を実現する出発点です。

 国際化・産業構造の変化・少子高齢化・高度情報化・科学技術の進展など、時代は大きく変化し、ひとつひとつの社会制度が、変容を迫られています。立法・司法・行政のいずれにおいても、これほど改革がうたわれている時はなく、その中で、消費者の権利を確立していく施策をどう実現させていくかが問われています。消費者団体が、正確な情報を集め、主張し提言を行なっていく事が求められています。

 それぞれ消費者団体には、得意な分野があります。消費者の権利に理解のある専門家もいます。平和を守り安心して暮らせる公正な社会を創るために、これらの団体と個人のネットワークを広げ、政策への主張や提言をいっそうつよめていきましょう。

1999年11月12日 全国消費者大会 全体会