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「ユニバーサルサービスの新たな確保の在り方」に対する意見書を提出について

 郵政省では、電気通信サービに関する新たな料金制度やユニバーサルサービスの在り方を検討するため、1996年10月から「マルチディア時代にむけた料金・サービス政策に関する研究会」(座長:岡野行秀東大名誉教授)を開催しています。6月に、同研究会より報告書がだされ、意見聴取が行われました。全国消費者団体連絡会では、同研究会に対し別紙、意見書を提出しました。


1998年8月31日

マルチメディア時代に向けた料金
・サービス政策に関する研究会
座長 岡野行秀 様

『ユニバーサルサービスの新たな確保の在り方について』に関する意見書

全国消費者団体連絡会

 6月に発表されました、マルチメディア時代に向けた料金・サービス政策に関する研究会の報告書「ユニバーサルサービスの新たな確保の在り方について」利用者の立場から以下のように、意見を提出いたします。

1.ユニバーサルサービス維持に必要なコストについての情報公開を

 電気通信サービスは国民生活にとって不可欠なコミュニケーション手段であり、情報へのアクセス手段となっています。したがって、基礎的な電気通信サービスについてはユニバーサルサービスの確保が必要なことは言うまでもありません。

 ユニバーサルサービスの在り方を検討する際には、どのサービスをどの水準でどのような方法によってそれを保障していくかを明らかにしなければなりません。そのためにはユニバーサルサービスを維持するために付加的に必要とされる具体的なコストの内容と金額を明らかにすることが必要です。そうした具体的なデータなしに抽象的に議論することは、後から社会的に高いコスト負担を強いられる可能性があり、受益と負担の関係で公平性を損なう危険性をもっていると言えます。

 しかし、今回の報告書においては、それぞれのサービスに対して、ユニバーサルサービスとして維持するために事業者が付加的に必要とするコストの内容が明らかにされていません。したがって、今回の報告書の範囲では、どのサービスについてどの水準でどのような方法で保障していくべきなのかを判断することはできません。

 現在、ユニバーサルサービスの維持はNTTによって担われています。したがって、まずNTTがそれぞれのサービスの維持のために付加的に必要としているコスト、すなわち現在内部補助されているコストの内容について情報開示すべきであり、NTTにはそのための説明責任があると考えます。

 ユニバーサルサービスの在り方については、そのような具体的なデータを踏まえて議論すべきと考えます。

2.問題別に検討課題の整理が必要

 今回の報告書は、「ユニバーサルサービス」という視点から取りまとめられていますが、かなり性格の異なった問題がまとめて議論されています。例えば、東西NTTの分割に伴う問題、離島通信サービスの問題、学校、医療機関等公共機関へのサービスの問題は、それぞれ性格が全く異なる問題であって、これらをまとめて議論し、すべてを基金方式としてまとめていくのは無理があると考えます。

 社会政策的に必要とされることについては、政策目的にそって税金によってまかなわれるべきとの考え方が妥当な場合も存在するわけで、必要とされる問題について一つ一つ具体的に判断して行かなければなりません。

 こうした整理が十分にされないまま、結論として基金の設立を前提にその適用範囲を検討するのは好ましい事ではありません。

 したがって、ユニバーサルサービスの検討が必要な問題別に課題を整理し、その性格づけを明確にした上で、個別に方法を検討し判断していく進め方をすべきと考えます。

以上