[このページについてのご意見、お問い合わせなどはメールにて webmaster@shodanren.gr.jp までお送りください。]

全国消団連・トップページへ戻る

『優先接続に関する研究会中間報告書』に関する意見書について

 郵政省では、1999年夏に予定されているNTTの再編成にともない、電話の優先接続に関する検討を始めており、今年の6月に「優先接続に関する研究会中間報告書」が発表された。「優先接続」という言葉の意味がわかりずらいが、ようするに「電話会社事前登録制」ということのようだ。NTT以外の長距離通話は現在、00××―00−000−0000と始めにその会社への接続ダイヤルを回すため桁数が長くなる。それを、同等にするために接続業者を事前に登録しようという制度。99年夏には、現在のNTTを県内と県間部門に分離し、さらに長距離部門の会社は完全に民営化することが予定されており、実施にともない公正競争の促進を図る措置とのこと。

 利用者側からすると、サービスの選択、利用の機会の増大は期待できる面もあるが、コストの問題や、すでに長距離通話会社に自動接続ができるアダプターの導入が行われている実態もあり、サービス内容や契約形態が煩雑でわかりづらくなる事態も予想される。この問題に関して、全国消団連では別紙の意見書を提出した。


1998年7月31日

優先接続に関する研究会
 座長 齊藤忠夫 様

『優先接続に関する研究会中間報告書』に関する意見書

全国消費者団体連絡会

 優先接続を検討するに当たって、利用者利益の維持・向上を図ることを基本とし、その上で公正競争を確保するとした、「優先接続に関する研究会中間報告書」(以下、中間報告書)は、現状からすると妥当な判断がなされていると考えます。さらに、今後の検討に当たっても、利用者の視点を堅持をすることを期待し、以下の点について意見を提出いたします。

1.優先登録方法及び初期登録方法について

 本来、優先登録方法は一斉投票方式をとり、初期登録におけるデフォルトは本人判断に委ねることが、公正競争上もっとも好ましい方法と考えます。しかし、こうした方法をとった場合に優先登録の初期においてかなりの混乱が生ずることは「中間報告書」が指摘するところです。したがって、随時営業方式で例外的な措置としてNTTを初期登録のデフォルトとすることはやむをえないと考えますが、本来NTT再編の趣旨に鑑みれば長期にわたってNTTをデフォルトとする例外措置が放置されることは好ましいことではありません。

 利用者に対する周知を徹底して行うこと、並びにその後の優先登録の状況や競争の進展状況を勘案しながら、一定期間後に例外措置の解除について判断する場を設けておくことが必要です。

 なお、市内及び県内市外通話に優先接続を導入した場合の地域NTTの扱いについては、公正競争の視点から当然地域NTTも対象とすることが望ましいと言えます。この分野の競争の進展状況は長距離分野よりはかなり遅れて進むと考えられ、その場合のデフォルトについての例外措置の解除には長距離NTT以上に慎重な検討が求めらます。

2.優先接続の費用負担について

 優先接続にあたって事業者に発生するコストについては、総括原価方式のように直接的にコストに上乗せし、利用者負担とするような考え方は好ましくありません。優先接続による顧客の確保はその事業者にアドバンテージを与えるものとなるため、費用は優先接続した事業者の負担とし、その事業者の経営努力の中でコストを吸収すべきものと考えます。

 したがって、網改造費用、周知費用、初期登録などに関係した費用は直接的には事業者の負担とし、事業者間で公平な負担となる方法を検討すべきです。また、変更登録費については、利用者負担とするのはやむを得ないとしても、価格設定にあたって「実費」とした場合、変更登録コスト低減のインセンティブが働かず、競争制限的に機能する可能性もあるため、プライスキャップ制を導入することが望ましいといえます。

3.消費者に対する情報提供について

 消費者に対する情報提供、「優先接続」制度の説明の徹底が望まれます。

 とりわけ、制度が一般消費者にとって、理解しやすい内容で説明されることが必要です。今回の「中間報告書」においても消費者にとってまったくなじみのない「業界用語」ばかりで説明がなされています。「広く意見を聴取する」とは言われても、説明を受けなければ内容の理解が困難な「報告書」では、意見聴取もきわめて形式的なものとなってしまいます。また、今回の「意見聴取」についても、一般消費者はもちろん消費者団体に知られていないのが実状です。

 さらに、現実の優先登録を行う上で、消費者に対する「制度」の広報は極めて重要となります。優先登録の勧奨方法として「各競争事業者がそれぞれの顧客との契約関係や営業体制を通じて優先登録の勧奨を行う随時営業方式」が示されています。消費者と営業活動を積極的に繰り広げる各競争事業との間での契約をめぐるトラブルを防ぐために郵政省利用環境整備室からの、事前の広報が十分に行われることを要望します。

以上