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第49回全国消費者大会が開催されました
 

 去る11月12日〜13日の二日間、「安心して暮らせる社会のために〜私たちの発信・行動・ネットワーク〜」を全体テーマとして、第49回全国消費者大会が開催されました。各企画の内容を簡単にご紹介します。

企画全体の参加状況

 
パネルディスカッションより
コーディネーターの古屋和雄さんと
パネリストの有田宏美さん
  パネルディスカッションより
パネリストの森田明美さんと
駒村康平さん

 

◆全国消費者大会全体会 報告

日時: 11月12日 13:30〜16:35
会場: 東京 お茶の水 全電通ホール
概況: 開会に先立ち、実行委員会団体から寄せられた写真をスライドにとりまとめ「消費者団体の今」として上映しました。
司会: 第49回消費者大会実行委員 山梨県消費者団体連絡協議会 田草川恒子さん

<開会挨拶>

第49回全国消費者大会実行委員会委員長 全大阪消費者団体連絡会事務局長 飯田 秀男さん

 消費者庁・委員会の設置に始まるこの間の消費者行政の状況についてふれ、行政に対して更なる強化を求めました。更にTPPや食糧自給率について、国民の声をきちんと踏まえた政策執行を求めました。そして、消費者の周囲に存在する様々な問題を、消費者と消費者団体が、自ら調査研究学習して提言をまとめ、運動化し、社会とのネットワークを作ることにつながる大会となることを祈念して、挨拶としました。
 

<ご来賓挨拶>

内閣府副大臣 衆議院議員 末松 義規さん

 消費者行政を生産者から消費者の立場に転換を進めており、各省の縦割りの垣根を取り払うべく、努力していることをお話しいただきました。そして、地方消費者行政充実強化プラン策定、地方消費者行政活性化基金の見直し、グループ・フォーラムの開催、事故情報データバンク、消費者基本計画、食品SOS対応プロジェクトなど、消費者庁がこの間進めてきた施策についてご紹介いただきました。そして、消費者の願いを実現出来る消費者行政を構築するための消費者庁のあるべき姿を実現出来るよう、消費者のネットワークが鍵であるとして、ご挨拶をいただきました。
 

<パネルディスカッション>

「安心して暮らせる社会の為に〜私たちの発信・行動・ネットワーク〜」

【パネリスト】

 NPO女性自立の会理事長 有田 宏美さん
 東洋大学社会学部教授 森田 明美さん
 慶應義塾大学経済学部教授 駒村 康平さん

【コーディネート】

 NHKエグゼクティブアナウンサー 古屋 和雄さん

 みんなが安心して暮らせる社会作りには、消費者と消費者団体の自発的な行動や発信がいままでにも増して、重要になってきました。みんなで安心して暮らせる社会作りに向けた消費者の役割について考えあうために、パネルディスカッションを行ないました。前半は、「安心して暮らせない」現状を、「多重債務問題」と「こどもの貧困」解決の実践を通じて浮き彫りにし、更に社会の枠組み全体を「人間らしい生活(=安心して暮らせる)を営める社会」に変えるための検討状況を三人のパネリストからの報告で学び、後半部分では、私たち消費者や消費者団体が発揮すべき役割や消費者団体のあり方について、「発信」、「行動」、「ネットワーク」をキーワードとして、パネリストのみなさんのそれぞれのお立場から、消費者と消費者団体に期待される役割などについて、問題提起をいただきました。途中、参加者からの質問も交え、消費者と消費者団体に対する提起として、異口同音に人と人のつながりを作ることをあげていただきました。

 
全体会会場の様子   全体会参加者の様子

 

◆特別分科会「平和」 報告

日時: 11月12日 18:00 〜 20:00
会場: 東京お茶の水 全電通ホール
出演: 【オープニング】
 全国大学生活協同組合連合会 常務理事/ 学生委員 竹之内 浩紀さん
 日本女子大学生活協同組合学生委員 大坂 彩さん
【講演】
 岩波書店 「世界」編集長 岡本 厚さん

講師の岡本厚さん

<テーマ>

 「平和に暮らす」ということは・・・私たちにできること
 

 戦争は最大の格差を生み出す要因です。「平和に暮らす」ということはどういうことなのか、「平和に暮らすこと」を邪魔するものは何なのか、みんなが「平和に暮らす」ために、私たち消費者と消費者団体ができることは何かを考えあうことを目的に開催しました。

 まず初めに、参加者への呼びかけと講演への導入として、全国大学生協連の竹之内浩紀さんと大坂彩さんによる「オープニング」を行ないました。

 お二人にはそれぞれ、平和の問題に関心を持つに至ったきっかけをご紹介いただいた上で、大学生が感じている「平和」、アメリカや沖縄で活動する中で触れた、地元の方々の反応などを報告されました。そして核兵器や基地の問題を考える中で、報道だけにとらわれず、現地の事実をしっかりと把握した上で、平和な暮らしを作るための判断ができるようになりたいと結ばれました。

 オープニングの後、岩波書店「世界」編集長の岡本厚さんに、「いま、平和を考える」と題してご講演いただきました。

 オープニングの内容を引用されながら、平和でない状態とはどんなことか、戦争を渇望する若者の存在など、平和に暮らすことの意味を最初にお話しくださいました。大量破壊・大量殺戮兵器の登場など、20世紀に戦争の様相が一変したこと、その反省から反戦運動や反核運動が生起した世紀であったことに触れながら、他者への無理解と不寛容が戦争につながり、戦いを激化させていく過程をご説明くださいました。

 そして、報道機関が戦争拡大に果たしてきた役割や、21世紀の戦争が国対国の戦争からビジネスとしての戦争に様変わりしてきたことをあげられた上で報道を一面的に受け入れないための情報を読み解く力を涵養することと、自らの正義に固執するのではなく、一人一人が他者への理解を進めることの重要性についてお話いただきました。

 講演終了後、参加者との間で質疑応答を行ないました。

 

◆「消費者政策」分科会 報告

日   時 :11月13日(土) 10:00〜13:00
会   場 :弘済会館4階・萩の間
参加人数 :104名

左から青山さん、伊藤さん、
志水さん、鶴谷さん

<テーマ>

 ナニ?コレ?消費者問題
 〜暮しやすい地域をつくろう〜

 

<内容>

 【1】被害の実態 【2】地域の取組み 【3】今後の期待される役割 の3つのテーマでパネルディスカッションを進めたいとコーディネーター青山さんから課題提起があった。

【1】被害の実態 について

 青山氏は、消費者被害の現代のキーワードとして(1)成熟社会 (2)高度情報化 (3)グローバル化を挙げた。(1)では高齢者は相対的に豊かでありその資産が狙われている。東京都の消費生活担当課長をしていた当時の『壷商法』など単純な商法に比べ、『未公開株』を代表とする劇場型詐欺的商法などのように内容が悪質化・複雑化している。(2)により、『若者相手のネット商法』『ゼロ円パソコン』など新しい商法の現出があり 消費者被害は(3)となった。そして今や悪質商法の被害額は4兆円台となりGDPの1%に相当するまでに。そして社会が成熟すると「市民活動」が増加するはずだが、実態が追いついていない状況があると分析した。

 全国大学生協の志水さんは、『大学生活110番』結果から大学生の被害の1位は架空請求(出会い系サイトにアクセス)であること。訪問販売(浄水器など)被害も多く、また昨今の就職難を背景にして就活を狙っての教材販売など、学生ならではの被害の実態報告があった。

 三重県消費生活特命監の伊藤さんからも最も多い相談は架空請求(平成21年度で全体の18.3%)であること。しかし最近架空請求は減少傾向にあり、架空請求を除いた相談件数は平成13年度から横ばい状態であること。60歳以上の相談割合は平成20年度に20%を超え、平成21年度は23.3%と高齢者層の相談が増加。平均既支払額は約87万円だが、60代は125万円、70代は129万円と最近の被害の特徴について報告があった。

 この実態をふまえ、青山さんから『法テラス利用状況の調査』で<法律問題で相談しなかった理由>は、20〜29歳代では「何をしても無駄」、65歳以上は「自分で解決希望」がそれぞれ3人に1人と多いことをどう考えるかと質問があった。志水さんは「被害に遭ってもどうしたらいいかわからない。解決の流れが見えないせいではないか?」と。伊藤さんは「相談の現場からみると、自分で解決を希望する高齢者が多いという結果は少々信じ難い」と。

【2】地域の取組み について

 ひとえの会代表の鶴谷さんは、仕事人間として生きてきて、現役引退時点で地域との繋がりが皆無と気づき愕然。更に妻に「別々に生きていきましょう」と言われてショックだったと述べ会場の雰囲気を和ませた。そして世田谷区報で知った消費生活審議会委員・応募をきっかけに、「消費者カレッジ」「ステップアップ講座」「講師養成講座」と5年間学び、区民講師の会である「ひとえの会」に入会。自分自身が消費者として自立して暮らす知識を得、他人にも伝えつつ勉強も続けている。

 そして「ひとえの会」では、食育・環境問題・消費者問題の3つの部会があり、きめ細かい講座内容の組立企画をもとに年間80〜90件の出前講座を行いつつ消費者力向上への取組みを続けていると報告があった。

 志水さんは、下宿生対象の実態調査で、訪販契約は100人に4人・架空請求は100人に1人・宗教団体勧誘は100人に6人が遭遇している(2009)と報告。その原因は、行動範囲が広がる・社会の仕組みに不慣れ・トラブルの対処法を知らないことと分析し、新入生に向け冊子を発行することにより自立した消費者になる支援を大学生協として取組んでいること。また、埼玉県内の8大学と3県立高校が協力して『不当広告調査』を行い、その結果を受け埼玉県が19業者に文書指導を実施したこと。兵庫県とは「くらしのヤングクリエイター」養成の研修会を実施するなどの行政との協働に結びついた実践活動報告があった。

 伊藤さんは地域の取り組みとして2つの活動を紹介。一つは消費者・事業者・行政が連携・協力して啓発活動を行う協議会『みえ・くらしのネットワーク』。いま一つ『いが悪徳バスターズ』は、(社会福祉法人)伊賀市社会福祉協議会が事務局となり地域住民が「見守り隊」を結成。啓発劇・相談・ブログなどを通じて啓発活動を行うと共に、地元の事業者を巻き込み『鑑定団』を結成。見守り隊に連絡が入れば行政に繋げ、同時に「商品・役務が価格にみあったものかどうか」を鑑定してもらう、というユニークな取組みを展開。その結果、消費生活センターのない伊賀市の地域包括支援センターや民生委員の方々からの通報電話や問合せが多い、という報告があった。

【3】今後の期待される役割 について

鶴谷さんから。

 最近、製品トラブルを学ぶためにNITEに見学に行き、トラブル事例の一つとして、家族の血圧の薬を孫が飴と間違えて飲んでしまった事例を質問した時に、「医療事故は扱わない」という回答があったことから、消費者からみれば一つのところに相談できることが一番と実感。その点、早い時期から縦割りという行政内の壁を取り払い生活に関する相談を全て受けてくれる消費生活センターが一番頼りになると実感したこと。国に窓口一本化の消費者庁ができたことは遅ればせながら歓迎するとし、今後は消費者から消費生活センターに情報を提供し、積極的に参加する事が必要ではないかと。

志水さんから。

 学生は「何をどうしていいか?」がわからない。学生が相談するのはまず友人そして親だが、その他にも相談する場があることを広く知らせることが必要に思う。同時に、地域とのかかわりを広げたい。大人とのかかわりも含めて。

伊藤さんから。

 「消費者問題にとりくむ=地域づくり」を念頭において、行政だけでは眼が行き届かないところを、(住民対住民・住民対事業者・事業者対行政)お互いにちょっと気をつけあうことで相談機関に繋げる。顔の見える関係が重要に思うと。

その際、団体を作る必要なく、一人でできることから消費者問題を伝え話して欲しい。
消費者団体には、50年ぶりに風が吹いている今、今後の活動に期待したい。一人なら愚痴に終ってしまうが、声を纏めて国への要望に繋げて欲しい。
行政は手口・勉強の場を提供する場であり、事業者をしっかり取り締まるところ。国へは「地に足が着いていない、消費者を守るのはどこか!消費者をしっかり守って!そして現場である地方の声を聞いて取り組んで!」と言いたい。

青山さんから。

 高齢者の孤立の問題を考えたい。熱帯夜の連続で孤独死が増加したというニュース、高齢者不在のニュースを通し、孤独・孤立は貧困問題に繋がっていると考える。先に話した『壷商法』では被害者は「相手がだましているのは分かっていた。でも親切にしてくれたから壷を買った。だから返金は望まない」と呟いた被害者。しかし今の詐欺的商法は被害者の生活に壊滅的な被害を及ぼす。社会のありようが問われている。

鶴谷さんから。

 若者も孤独化している。また個人情報の管理に神経質になりすぎ、孤独な生活をしている人が見えなくなっている。地域に溶け込むことは難しいが、人間はその気になれば地域に根をはれるものだ。一方、会社では地位で仕事内容はほぼわかるものだが、消費者は置かれている立場がそれぞれに異なる。そこをふまえ決まったパターンではなく、あらゆる機会にいろんな手立てを使って、いろんな内容を伝える必要がある。早手回しの方法というものはないと。

伊藤さんから。

 高齢者には「孤独・健康・お金」の三つの不安があると言われる。そこをやさしくつかれると500万円払ってしまうという現実がある。個人情報保護も今一歩踏み出す必要があると思う。また、悪質業者がいろいろ言ってきたときに、高齢者が「役場に聞くから」と言ったひとことで業者が逃げた事例があり、そういう日々の関係作りが大切に思う。県もがんばるが市町もがんばって欲しい。

青山さんから。

 「若者が誰に相談していいかわからない」という課題は、啓発すれば済む面がある。20代の2〜3年間の成長には眼を見張るものがある。情報提供すれば成長するものだ。ただ小中高で消費者教育を受けたはずなのに、それが身についていないところが問題。

志水さんから。

 自分もいろんな人と関わる中で成長した。「情報提供があれば」というが、自分達には実感がない。成人し就活が始まったところで、生活の幅が広がり、「今の自分は裸で外に出て行くようなものだ。ヤバイ!」とやっと気づく。知識として知っていてもいざという時に役立てられるか否か。イメージする場を設ける必要がある。

青山さんから。

 実感をもって情報を伝えることは確かに重要。一方で、無計画な市町村合併で明治時代に8万あった基礎自治体が今や1700となり、地域が巨大化し特異な組織となった。360万人の市が基礎自治体とはとてもいえない。「高齢者の不在ニュース」も同じ根っこ。ヨーロッパでは国→都道府県→市町村→地域へと第三の分権で4層となっている。日本も第三の分権を行いヨーロッパのように4層にする必要がある。市民活動もそこに眼を向けていく必要があるだろう。
 

------------------- 休憩 質問提出 -------------------
 

質問への回答

鶴谷さん

市民活動を育てるためのキーワードは?
市民の目線が重要に思う。活動ができるときだけとか教える立場では身に付かない。自分の失敗も話しながら伝えることも大事。
地方自治体は市民講師を育てるために何をするべきか?
事業仕分けがあり、予算は減少している。消費者カレッジ・ステップアップ・市民講師養成(2ヶ月みっちり)という長期の養成過程で仲間ができたことが非常に貴重だった。
行政に望むことは、仲間作りに手を差し伸べて欲しいこと。自己負担では市民活動は長続きしない。経済的支援(コピー、会議室、交通費)が必要。継続性・後継者の育成にも支援が必要。
ボランティアが少なくなったことは。
確かに65歳まで働くと、その後に新しいことに取組みことはむずかしい。OB会にも参加者が減少する傾向にある。ボランティアを主とするのではなく、自分自身が楽しむ気持ちで取り組むことが大事。自分自身が楽しみ、仲間作りができていると、行政の支援がなくなり自主活動となった時にも、仲間とのつながりが活かされ他の活動へと自然と繋がり、活動の幅が広がっていくことができる。そこが貴重に思う。

志水さん

相談できる環境とは?
どの大学も精神的面・将来面に向けてサポートには熱心に取組んでいる。とはいっても学生が出向かない。学生は、友人に「だまされてんじゃない」と言われたときに気づくもの。一人で悩まないでもいい環境、仲間作り、学生が学生の言葉で学びあえることが大事でその輪を広げること。
地域の消費者団体の方には、学生に「輪の広げ方」を教えてほしい。その点を団体の方から学びたい。

伊藤さん

認知症の高齢者夫婦の7000万円被害、多重債務などの実例から、成人後見制度につなげる・弁護士会・社協との連携をとるなど次の機関へつなげることが消費生活センターには求められる。
そして、包括支援センター・民生委員に「先ず連絡して」という関係作りが必要と考える。
「いが悪徳バスターズ」のような地元の住民・事業者・行政の信頼関係を築く活動のように、電話一本で被害を防ぐ、高齢者に接する人が皆で連携をとること。
しかし人間関系が密なところほど被害が出ることもあることを知って欲しい。SF商法の布団を購入した村民の口こみで次々と購入の輪が広がり村全体が被害者になった例もある。
消費者団体へお願いとして、(手口を知らせることが重要と同時に)市町自治体に住民の声を要望として届けて欲しい。国・県の言うことは無視しても、住民の声を無視できないのが自治体だから。

青山さんまとめ

消費者関連法の歴史を見れば分かるように、改正の積み重ね(「契約自由の原則」の否定という革命的な改正)で現在に至っている。「ぱくっても、ぱくっても出てきちゃう(刑罰が軽い)」と現場が嘆くことがあってはならない。今後も更なる法改正を重ねていくこと。
ちなみに、「消費者契約法」は市民活動の主体者を罰する条項はあるが事業者を罰する条項はないという事実を認識する必要性も付言。
第三の分権を行い、基礎自治体は眼の行き届きやすい小さい規模に。
寄付税制の充実も重要。市民活動には資金力が必要。「ふるさと納税」のような仕組みを市民団体対象にも導入することを考えたい。
消費者行政が地方自治法に明記されて以来、飛躍的に進歩した消費者行政。行政・法律・運動も進化している。進化をにらみつつ、今後何をなすべきか・・・が問われているのではないか。

 その後参加者がA〜Jの10班に分かれ、(1)地域に必要なこと (2)私が地域でできる(したい)こと について45分間討議を行った。そして「分散会・全体のまとめ」で各班2分づつ報告を行った。
 

各班からの<キーワード>は・・・

(1) 地域に必要なこと
連携、連携のきっかけ作り、仲間づくり、見守り、横のつながり、声を出す、挨拶から、正しい情報提供とその工夫、ネットワークづくり(消費者・行政・事業者それぞれ内部と3者間との)、関心を持つ、自分で勉強し・知識を持ち・広げていく、市民の目線に立つ、共に学び仲間作りができる場の設定、熱心な職員と財政(消費者行政にお金がまわる仕組み)
   
(2) 私が地域でできる(したい)こと
諸団体との連携、敷居の高さをどうはずすか、挨拶、人間関係づくり、きめ細かい養成講座・出前講座づくり、やりっぱなしをしない、知識、関わっている組織で役割発揮、コミュニケーションづくり、団体の場作り、身近な相談窓口(気軽に相談できる場)、地域づくり、情報提供の仕組みづくり 地域の情報の共有、声をあげていく
 

<まとめ>として司会・進行役の長見さんから

(1) 地域に必要なこととして
消費者問題に限らず(いろんな分野で)、生活に必要なことを垣根を低くしてネットワークすること。何でも相談できる気軽な窓口、ということ。
(2) 挨拶、声を出す、横のつながりのきっかけ作り、各立場の人たちのつながりとなるように行動をしていきたい。

 

◆「食」分科会 報告

日   時 :11月13日 10:00〜13:00
会   場 :弘済会館4階 蘭
参加人数 :74名

松成さんの講演に真剣に耳を傾ける

<テーマ>

 みんなで話そう 〜食の大切さ再発見〜
 

 NPO法人食育研究会MogMog代表理事の松成容子さんより組織の概要及び活動について講演を頂きました。

  • 料理することの楽しさを感じられるような料理教室を実践している。もぐもぐの考える食育とは「食への関心を呼び覚まし、育て考える食行動」に導くことから家庭の食文化を再生したいとの思いだが、参加者の実態は親が忙しく料理を教えられない、人によっては、経験・技術が少なく自分には教えられるものがない、料理に関する知識があまり伝承されておらずあやふやだったり、子供たちにずいぶん手をかけているな〜という印象。
  • 野外体験を通じて、自然との関わりから作物は天候が重要、育成には時間がかかる、多様な生き物の住処を知るなどが得られる。「命を奪うこと」を知るや、感謝の心を知ることができる。
  • 一番のおもてなしはその土地で育った作物でもてなすこと。Eat Local(地元を食べましょう)地産地消の考え方。Eating is growing
  • 家庭で料理をすることの苦労に対して、感謝や感想を言うことはとても大切で作るひとのモチベーションをささえる。
  • 食の大切さを認識するためにできることは、情報に踊らされない人間関係づくりではないか。

 などお話いただきました。(スタッフの聞き書き)

 その後休憩をはさんで、ファシリテーター役の片野さん(日本生協連)、五十畑さん(JA女性組織協議会)の進行により朝食で普段何を食べているか?の問いかけによるアイスブレークからワークショップを行いました。
 

<各グループの報告から>

  • 料理上手な友人を作ること
  • 旬のお野菜をちゃんと食べる
  • 野菜は冷凍保存しておく
  • テレビで見た美味しそうなものは作ってみる
  • お茶はたくさんまとめて作って、出勤前にペットボトルに入れて飲む
  • 調理には子供を手伝わせる
  • コンビニを活用することもたまにはよい(心のゆとりになる)
  • 洋食・和食は半々。白米、玄米論争になった。栄養面や食感を考えると玄米か?
  • 過剰に物を買わない、買ったときは冷凍保存
  • 温かいものは温かく、冷たいものは冷たく。

 

<松成さんの感想>

 「農業だけでやっていくには非常に困難。もっと宣伝を上手にしろと言われるが、それを日々の農作業に追われる農家に言うのは酷である。だから、生協などのネットワークを使って広げていくことや、生産者・消費者の間の無理解が誤解を生むので間に立つ人が活躍して欲しい。相手を尊重し、認める(9を受け止め、1提案する)「料理好きの友人を作る」というのは大変よいと思う。人間関係を築いていく力があると感じる。等

 そのあと、運営団体の中から3団体に事例報告いただきました。

 全国大学生活協同組合連合会・荻野さんからは大学生協の食育活動を、日本アドバイザー・コンサルタント協会東日本支部食部会 柳田さん食品残渣の話を、全国農協青年組織協議会 白井さんより口蹄疫のその後とTPP問題について、実践事例の報告を頂きました。

 JA川崎央子さんから以下のように閉会挨拶を頂き、本分科会は閉会となりました。

 「身近なところから食について考えるよい機会となりました。日本の生産者は安心・安全な食を届けるために、日夜奮闘しています。しかし、スーパーには輸入品も並んでいる、私たちの食生活を海外に頼りきってよいのか?とも考えるよいきっかけとなったと思います。生産者と消費者が手を携えて一緒に頑張っていきましょう。」

 

◆「暮らしのセーフティネット」分科会 報告

日   時 :11月13日 10:00〜15:00
会   場 :弘済会館(東京都千代田区麹町5−1)
参加人数 :67名

意見交換会で、左から飯田さん、
芝田さん、上野さん、吉岡さん

<テーマ>

 「考えよう!安心できる社会保障制度とその財源」
 

<講演と報告1,2から>

 講演者の芝田英昭さんは「我が国では親が亡くなっても死亡届けを出さない年金詐取事件、年金生活者が現役の方々に生活のための送金を行うなどの貧困問題がある。これまでは考えられなかった血縁・社縁・地縁なき無縁社会が広がっている。日本は再分配後の貧困率が上がってしまうOECD唯一の政策によって貧困が拡大する国であり、『貧困な日本の社会保障の貧困』がある。」「日本の財界は医療・介護機関と健康関連サービス事業者との連携促進等により保険外のサービスを拡大することで公的保険依存からの脱却を志向し、医療サービス分野の国際化等による新産業を創出するとしている。この財界の要望に呼応する民主党の社会保障政策では(1)保険給付の縮小(2)地域主権国家構想の推進(道州制構想)(3)消費税増税への道筋等が危惧される。営利を目的とする企業に社会保障分野を任せると、我々の生命や生活を破壊する危険性があり、低所得者がサービスを受けることが困難になる。」「私たちは地域主権から国民主権の福祉国家をめざすべきであり、そのために(1)構造改革と新自由主義からの決別(2)国家責任としてのナショナルミニマムの確立(3)基本的人権・生存権を基礎にした福祉国家構想の打ち出しが必要である。」などと話されました。

 報告者の上野さんは「1967年頃からポストの数ほど保育所をと働きかけて、足掛け10年間で8000ヶ所以上の保育所が増やされました。しかし、直近の10年間はほんの僅かしか増えていない状況があります。取組み中の保育所ホットラインの相談内容には『保育は、正規で働いている人のためですか?』と非正規で働く人の子どもが保育所に入れない、育児休業明けでは入れない、自営や在宅勤務のために入れないなどの切実な相談が寄せられていることなど、保育所数が絶対的に足りない現状があります。」と報告されました。「産業構造ビジョン2010や新成長戦略などを背景にして、政府が進めようとしている『子ども・子育て新システム』では児童福祉法24条に基づく、市町村の保育実施義務がなくなり、子どもたちが必要な保育を受けられなく恐れがあります。何よりも保育を商売にしていく方向性に疑問が残る。」と指摘されました。

 報告者の吉岡さんは『杉並区のひとり暮らし高齢者実態調査』の事例を引きながら、区内の孤独死の実数が正確には把握できない無縁社会の実態を紹介されました。「(1)低所得・住宅事情などの経済的問題を抱え、(2)行動能力の低下や欠食・喫煙・飲酒の不健康的な生活習慣があり、(3)親族なし・支援提供者なし・接触者なしなどの人間関係の問題がある高齢者の実態を報告されました。この三つの組み合わせのうち『収入が少なく、近隣の支持者がいない。』は22.2%、『活動能力が低く、支持者がいない。』は8.3%、『活動能力低く、収入が少ない』は5.9%、『すべてを抱えている』は4.1%など重点的・予防的支援が必要だ。」との調査数字を示されました。
 

<意見交換会から>

 飯田秀男さんの司会進行のもとに、芝田英昭さん、上野さと子さん、吉岡尚志さんが助言者となり、参加者の皆さんと意見交換会を行いました。導入として「『国民健康保険制度は、国民同士の助け合いの制度である』と耳にするが、そう思いますか?」と参加者に挙手で意見を伺いました。芝田さんから、私保険は「助け合い」の制度であるが、医療保険といった社会保険には、公的負担や企業負担という社会的扶養部分があり、社会保障として給付される意味があると説明いただきました。

 会場から「住宅ローンの返済問題から住む家を手放す人が急に増えている。」「国民健康保険料の負担がサラリーマンより自営業者が重い。」「貧困生活に陥り健康保険証を取り上げられる事例も数多くある。」「アンケートによると仕送りのない学生が1割を超え、奨学金とアルバイトで生活している学生は4割を占める。なかには学生が奨学金のなかから親に仕送りしている事例もあり、学ぶ権利がおかされている。」「今、一人暮らしの大学生の食費は1日400円平均、『トイレメシ』など自分ひとりで食事を摂る場合もあるなか、学生同士のつながりをつくるための運動に取り組んでいる。」との報告がありました。「特に若年層の生活の苦しさや前日の大会全体会で報告されたクレジットカードによる自転車操業の事例や70歳代の親が40‐50歳代の子ども世代に仕送りをする事例が周りにある。」などの発言がありました。

 吉岡さんから、東京都生協連で「福祉のまちづくり」が提起され、地域生協と医療生協が協力して、杉並区をモデル地域にして見守りネットワークづくり、たまり場づくりに取り組み、高齢者にやさしいまちづくりを進めていることが報告されました。

 芝田さんから被用者保険が標準報酬月額とリンクしている「応能負担」であるのに対して、国民健康保険は世帯割、人数割という「応益負担」の仕組みが取り入れられていること、事業者負担がなく、国庫負担も1984年以降減らされているから低所得者の負担が重いのだと説明いただきました。その上で自治体と一緒に国庫負担の引き上げを訴えていかなければならないと述べられました。

 意見交換会の場で進行者から「『消費税は、国民みんなが負担するから公平な税金だ』と説明されるが、そう思いますか?」と参加者に挙手で意見を伺ったところ、「そう思う」との答えは0人で「そう思わない」という方が圧倒的に多数でした。

 会場から「消費税の反対運動で陳情などの働きかけが弱まっている。社会保障財源や国の借金など政府の宣伝に負けて、世論は社会保障目的税導入などにおされ気味ではないか?」との発言がありました。

 芝田さんから、「法人税は所得税と違って黒字分にしかかからないため、損金計上、準備金、外国税額控除制度などにより、大企業ほど負担が少なくなるしくみがある。付加価値税(消費税)は諸外国ではほとんどの国は2段階税率であり、日本の証券課税の税率が当面の間引き下げられている。これらを見直して財源を確保していくことができる。」と解説されました。

 「税金には所得の水平的分配と垂直的分配機能がある。水平的分配は労働者同士や消費税で行い、垂直的分配は所得の多い人や企業の利潤から所得の低い人へ分配するしくみである。社会保障は水平的分配ではできない、垂直的分配でないといけない、世界のどこにも付加価値税(消費税)を社会保障目的化している国はない」との説明いただきました。

 進行の飯田さんから閉会にあたり「社会保障制度の確立と地域おける、住民の絆を強める取組みをともに進める必要がある。」とまとめの発言がありました。
 

<アンケートなどから>

テーマが広く、一つ一つすごく深い話にはならなかったが、全体を通して勉強になり、様々な実態を知ることができた。
なかなか明るい展望が見えませんが、あきらめないこと、つながること、結局はこれに尽きるのだと思いました。
消費税など、マスコミの論調ばかりに流されないようにしたい。
社会保障制度そのものが動いているので変化を見極め、評価を続ける必要がある。
芝田さんの話しが解かり易かった。点から線へと繋がったとの思いがある。全体会の内容とこの分科会での話しがかみ合っていて大変良かった。

 

◆「環境」分科会 報告

日   時 :11月13日 13:00〜15:30
会   場 :弘済会館4階 菊
参加人数 :53名

先生のお話を熱心に聞く参加者

<テーマ>

 安心して暮らせる未来のために 〜“低炭素社会”に向けて、生き物・くらし・私たちにできること〜

 生き物や私たちが安心して暮らし続けるためには、低炭素社会の実現が望まれますが、様々な取り組をしているにもかかわらず温室効果ガスの排出量は減っていません。なぜ減らないのか?これから何をすればよいのか?ということについてみんなで考え、今日から実行できることを見つけるために「環境井戸端会議」と題した会にしました。これは、講演会やシンポジウムのように専門家の話を聞いて帰るという形式ではなく、参加者が進行役の指示に従って、自身の考えを整理したり、他の参加者と意見交換をしたり、専門家の説明を聞いたりして自分なりの答えを見つけ出すというものです。進行役は(独)国立環境研究所 地球環境研究センター 温暖化対策評価研究室 主任研究員の藤野純一さんにお願いしました。

 まず、藤野さんから、本会の最終目標は「低炭素社会に向けて、今日からできることを各自が一つ以上持ち帰ること」である旨の説明がありました。

 そのうえで、次の3つの質問について自分の考えをまとめ、小グループでの意見交換をしました。

(1) 今、自分が関心を持ってやっていること、近い将来やりたいことは何ですか?
(2) 低炭素社会とは、どんな社会だと思いますか?
(3) 今やりたいこと、近い将来やりたいことと、低炭素社会にどんな結びつきがありますか?または、ありませんか?

 次に、それぞれのグループからどのような意見があったのかを発表してもらい、先生がその内容をホワイトボードに書き出しながら整理し、全体で共有しました。低炭素社会のイメージとしては「昭和30年〜40年代の暮らし」「普通の暮らし」「最小限のもので暮らす」「人によってはストレス、我慢がある」などの意見が出ました。

 このような結果を踏まえ、「低炭素社会の実現に向けてどのような考え方が必要なのか」という先生のお話しがありました。低炭素社会とはCO2排出の少ない社会なので、エネルギーの消費が少ないことと低炭素なエネルギーを使用することが求められていること。また、日本国内だけではなく世界全体で考えるべき問題であること。低炭素社会の社会実現のためには、どこで沢山排出しているのかを確認し、沢山排出しているところから減らす対策を講ずるのが良いこと。そのためには行政・企業・消費者それぞれの役割分担を整理し、それぞれが実践することが大切であるということでした。

 最後に、今日のまとめとして「今日からやること」宣言を参加者全員から一言ずつ発表していただきました。「無駄を省いて楽しく暮らすことを普及啓発したい」という消費者リーダーとしての活動に活かしたいという宣言や、「持っているものを大切に使いたい」「長期使用と買い替えのどちらがもったいないのか考えるようにしたい」等、ご自身の生活を見直したいという宣言などがありました。

 「環境井戸端会議」というのは初めての試みでしたので、会のはじめは参加者から戸惑いの表情も見受けられましたが、先生のユーモアあふれる進行と皆様のご協力で有意義な会にすることができました。