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第53回全国消費者大会が開催されました

第53回全国消費者大会実行委員会事務局

 第53回全国消費者大会が

消費者の選択と行動で未来をひらこう!
〜暮らしをよりよくするために、今、必要なこと〜

をテーマに2日間の日程で開催されました。

 3月13日の分科会はのべ 218人、特別分科会は 120人、14日の全体会は 135人、全国各地から、大会全体でのべ 473人にご参加いただきました。

 全体会には、消費者庁長官の板東久美子さんにご来賓としておこしいただいて、ご挨拶をいただきました。

 世界消費者権利の日にあわせて開催された今回の大会では、全体会の最後に実行委員会からアピール文が提案され、満場一致で採択されました。

 全国消費者大会は団体による実行委員会が企画を検討し、手分けして当日運営をすすめました。更に38の団体には、大会の趣旨にご賛同いただいて財政面でのご支援をいただきました。財政面での支援をいただいた団体には、心より御礼申し上げます。

企画 人数 テーマ
消費者政策分科会 66名 消費者市民社会の実現に向け、いま私たちに求められること
環境・エネルギー分科会 61名 観光立国より環境立国!!
食の分科会 57名 どうする?日本の食と農〜健やかな命をはぐくむために
社会保障分科会 34名 公平な負担ってなに!?〜社会保障制度の変化と財源問題を考える〜
特別分科会 120名 憲法がめざす国民が主権者の社会
全体会 135名 消費者の選択と行動で未来をひらこう!〜暮らしをよりよくするために、今、必要なこと〜
全体会より暮らしと経済研究室
山家 悠紀夫さんのご講演

消費者政策分科会報告

「消費者市民社会の実現に向け、いま私たちに求められること」
〜あなたの選択が社会を変える!〜

時間 13:00〜16:00

会場 7F カトレア

参加者 66名

内容

 はじめに、尾崎真美子さん(消費者庁消費者教育・地方協力課)より消費者教育推進会議の取りまとめの概要について、召田安宏さん(NPO法人ACE)より世界の子どもを児童労働から守る活動やフェアトレードの取組みの報告をしていただき、参加者と情報共有を図りました。その後、萩原なつ子先生(立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授)によるミニ講義「消費者市民社会がひらく持続可能な社会」とワールド・カフェを行いました。ワールド・カフェでは、先ず、各グループでメンバーの消費者市民社会のイメージを共有し「こんな社会をつくりたい!」を決め、次にメンバーを変えて、そのことを実現させるために、消費者(団体)ができること、するべきことは何か話し合いました。参加者から、消費者市民社会を難しく考えず、自分のできることを、やさしさをもってやっていくことが大切だと感じた、自分の選択で社会を変えられると希望が持てた。などの感想が寄せられました。

ワールド・カフェとは

 カフェのようなリラックスした雰囲気の中で、メンバーの組み合わせを変えながら、小人数での話し合いを続けることにより、あたかも参加者全員が話し合っているような効果が得られる対話の手法です。

環境分科会報告

「観光立国より環境立国!!」

時間 13:00〜16:00

会場 B2 クラルテ

参加者 61名

内容

 環境・エネルギー分科会では3名の方々を講師に迎え、実行委員からお願いしたテーマでお話しいただいた後、質疑応答を長めに確保し、現状の課題の共有を図りました。

 講師の方々には、飯田さん(環境エネルギー政策研究所所長)には政策提言での働きかけを、の吉原さん(城南信用金庫理事長)には経済界での働きかけを、山アさん(足元から地球温暖化を考えるネットワークえどがわ事務局長)には実践を通して、地域とのつながりと地域間のつながりの促進を、期待する意見が寄せられました。

 参加者が出来ることとして、会場からは「自然エネルギーで豊かな日本を創ろう!アクション」の活動の紹介が、実行委員会からは消費者が関心の高さを示すためエネルギーミックス意見箱へ意見提出のよびかけがありました。

 質問に答える形でいただいたざっくばらんなお話は、参加者から「表面的でなく本音のやり取りがあり、大変面白く良かった」との感想がありました。

食の分科会報告

「どうする?日本の食と農〜健やかな命をはぐくむために」

時間 13:00〜16:30

会場 8F スイセン

参加者 57名

報告

 はじめに、日本消費者連盟の山浦康明さんから食料自給率目標値の引き下げや4月から実施される食品表示制度について、食品の異物混入など食をめぐる現状報告と開催趣旨の説明がありました。

 次に、日本在住の詩人であり、随筆家のアーサー・ビナードさんから「どうする?日本の食と農〜健やかな命をはぐくむために」と題して講演していただきました。自らの里山体験や食文化の発見、古来からの食料の単位である「石(コク)」を取り上げ、「かつて経済の中心は食料であった。自国の食料を大切にすべき。」と提起がありました。

 続いてグループ討議を行い、「消費者は食の安全には目を向けるようになったが、食料の安定にまで目が向いていない。」「農の危機は日本の危機である。」などの意見が出され、「関心を持ち、学ぶことが大切。」「消費者が生産者や農と接する機会を作っていく。」「買って食べることで日本の農業を支えていく。」など、食と農を大切にしていくことを改めて確認しました。

社会保障分科会報告

「公平な負担ってなに!?〜社会保障制度の変化と財源問題を考える〜」

時間 13:00〜16:30

会場 3F 第1-2会議室

参加者 34名

内容

 立教大学コミュニティ福祉学部教授の芝田英昭さんに「公平な負担ってなに?社会保障制度(特に医療・介護)の変化と財源を考える」をテーマに、講演をいただき、その後、意見交換を行いました。

 講演では、ここ数年の社会保障制度改革の内容を確認した上で、今後の社会保障の方向性への懸念、財源問題をお話いただきました。その後、主に3つのテーマについて@高齢化社会危機論と社会保障(高齢者人口:現役世代の人口、全人口:労働力人口の比)A社会保障の財源はどう賄われるのか(「応能負担」と「応益負担」について)B日本政府・自治体が抱える借金・債務はどう解決するかについて話合いの場をもちました。

 「今求められるものは税制の累進化ではないのか」。「「能力の協同性への」視点が大切ではないか」、「生存権の保障を旨とする社会保障制度の財源確保は、応能負担が原則ではないか」「税や社会保険料の使い方は国民の監視活動が必要では」などといった意見や質問がだされ、それへの説明等、活発な意見交換が行われました。参加者の感想では「とてもわかりやすくて、大変勉強になった」との声が多かったです。

特別分科会報告

日時 17:00〜19:00

会場 B2 クラルテ

参加者 120名

内容

 3部構成で東日本大震災・福島原発事故の問題から憲法をめぐる平和の問題までを考えました。

第1部;講演『東日本大震災、その後になにが起きている?』

 報道写真家・中村梧郎さんの写真とお話。福島では原発事故の影響が依然として深刻でチェルノブイリと比べても異常な事態が継続している。そこから学ぶ中で、世界各地で原発運転停止・廃炉を求める市民運動、風力発電など再生可能エネルギーの拡大を目指す動きがひろがっている。

第2部;寸劇『国家の暴走』

 日本版NSC(国家戦略会議)、集団的自衛権の行使容認、特定秘密保護法がセットになった場合、近未来に起こり得ることを実行委員会有志が寸劇で演じました。シナリオは古賀茂明氏の著書からお借りしましたが、当日、古賀氏本人が飛入り参加。短時間でしたがご挨拶いただきました。テレビ番組で”I am not 安倍”と発言した真意と、それが巻き起こしたリアクションについてお話しされました。

第3部;講演『憲法がめざすもの〜これからのわが国を考える』

 弁護士の伊藤真さんのお話。70分息つく暇もなく話し続けていただききました。憲法を知った者の責任として、今を生きる者として、主体的に生き、憲法の理想に現実を近づけること、今を変えれば、未来を変えることができること、などを強調されました。

 日本国憲法が権力に縛りをかけるという考え方=立憲主義に立脚し、国民主権、基本的人権の尊重、恒久平和主義を基本原理としていることに対して、自民党の改憲草案は、一言で言えば、軍事的経済的に「強い国」づくり=戦前回帰・富国強兵を志向しており、私たちの生活、社会がまったく異質のものに変わってしまう危機感が伝わってきました。一人ひとりの幸福追求権を保証し、自分の幸せは自分で決める自己決定権を保障する社会を実現していくために、私たち国民が行動していくことが大切です。

全体会 報告

消費者の選択と行動で未来をひらこう!〜暮らしをよりよくするために、今、必要なこと〜

日時 14日 10:00〜12:00

会場 B2 クラルテ

参加者 135名

 板東久美子消費者庁長官のご挨拶、前日の各分科会からの概要報告に続き、山家悠紀夫さん(暮らしと経済研究室)に講演いただきました。

講演『暮らしを良くするために〜どのような社会を目指すべきか〜』

 日本経済の状況をGDP、国内需要、雇用者報酬のデータから分析すると、いずれの数値も1997年までは上昇していたが、1997年をピークに基本的には低下してきている。山家氏は、1997年が分水嶺となった原因として「構造改革」を指摘する。今日まで続く構造改革論の基本的な考え方は、日本経済を強くするために企業が元気に、より儲かる構造にしようとするもので、そのために雇用者報酬を削減し、国内需要が縮小し、GDPの低下を招いた。構造改革以後は景気拡大期であっても賃金は基本的に横這いか又は低下するようになっている。

 アベノミクスでは長期停滞の原因が分析されておらず、一の矢、二の矢、三の矢ともに、別個の経済学派によって提唱されてきた処方箋の寄せ集めに過ぎない。アベノミクスの欠陥は、現在の停滞の最大原因を捉え損ね、人々の暮らしが危機にあるという視点が全く入っていない点にある。

 第三の矢は「世界で一番企業が活動しやすい国」にすることで企業の投資が増え、雇用が増え、賃金が上がり、経済が再生するという道筋を描くが、そうはならない。これまでの構造改革政策の繰り返しである。

 これからの日本経済の目指すべき方向は「労働環境の抜本改善」「社会保障制度の再構築」「地方経済の再建」「アジア諸国との協調」などが考えられる。企業利益は大幅に増え、内部留保として蓄積されており、雇用者報酬として分配する能力は十分にある。また、政府にお金は無いが(1千兆円超の負債)、それを補う十分な家計の金融資産があり国内にお金は余っている状況にある。雇用者の所得や社会保障制度を過渡的に充実させながら、その間に税収の手当てを検討していくことはできるのではないか。誰が、どのように実現するかが問題である。

【この件に関するお問い合わせ先】

全国消費者団体連絡会事務局気付
第53回全国消費者大会実行委員会事務局まで全国消費者大会の件でとお問い合わせください。
電話:03-5216-6024  FAX:03-5216-6036  webmaster@shodanren.gr.jp

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