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消費者委員会のワーキング・グループの報告書について学ぶ 報告

 第7次消費者委員会(2021年9月〜2023年8月)では、デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ報告書(2023年8月9日)、消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ報告書(2023年8月9日)がまとめられ、8月10日に消費者委員会の意見が発出されました。

■デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ報告書
https://www.cao.go.jp/consumer/iinkaikouhyou/2023/houkoku/202308_digital_houkoku.html

■消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ報告書
https://www.cao.go.jp/consumer/kabusoshiki/torihiki_rule/index.html

 これらの報告書は、今後、消費者法を論議する際に大変重要な内容になることから、2つの報告書と消費者委員会の意見について、担当の方にご説明いただき、学習しました。

【日時】10月27日(金)14時00分〜15時30分〔Zoomを活用したオンライン学習会〕

【講師】小田 直子さん(内閣府消費者委員会事務局 参事官補佐)
近藤 怜さん (内閣府消費者委員会事務局 参事官補佐)

【参加】30人

概要(事務局による要約)

デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ報告書 ポイント

小田 直子さん

◇消費者委員会について

 2009年(平成21年)9月、消費者庁と共に発足しました。消費者委員会は消費者庁も含め消費者行政全般の監視役で、独立した第三者機関として内閣府に設置されています。

◇デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ

 コミュニケーションツールとしての SNS の利用が増え、消費生活相談に寄せられる件数も年々増加し、SNS上の投稿や広告、メッセージのやり取りからトラブルに発展する事態が増えてきました。
 そこで、2022年(令和4年)1月にデジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループが設置され、同年8月に第一弾の報告書を公表しました。その内容は、特定商取引法(以下「特商法」という)の通信販売の規定の執行強化、消費者安全法に基づく注意喚起、事業者の自主的取り組みの必要性、また事業者が電話関与の該当性を認めないことについて、解釈の明確化や関係事業者への周知が必要との指摘でした。この報告書を受けて消費者委員会から建議が発出され、ワーキング・グループが再開されることになりました。再開後は、いわゆるチャット(以下「チャット」という)を利用した勧誘による特商法の規制等の在り方を中心とした検討が行われ、第二弾の報告書を公表しました。

 その後、第二弾の「デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ報告書」の説明がありました。

 消費者委員会では本報告書を受けて、8月10日付でチャットを利用した勧誘の規制等のあり方に関する消費者委員会意見を消費者庁宛に発出いたしました。

消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ報告書 概要

近藤 怜さん

◇消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ

 2018年(平成30年)に設置され、2019年(令和元年)に第一弾の報告書がまとめられました。この報告書では、取引の分野におけるルール形成の在り方については、優良事業者や事業者団体において自主的な内部基準である自主規制を作り、民事ルールや自主規制、行政規制を消費者被害の予防や救済の観点でベストミックスされることが重要であるとまとめられました。その後、第二弾が2020年(令和2年)に再開され、事業者や事業者団体における望ましい自主規制の整備や運用の在り方について議論がされ、2021年(令和3年)に報告書がまとめられました。近年、消費者取引の国際化やデジタル化が進展する中で、消費者被害は複雑化、多様化しています。第二弾では優良な事業者や事業者団体の自主規制を活用していくことが主眼でしたが、今回は悪質な事業者に対しての検討を行いました。

 その後、第三弾の「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ報告書」の説明がありました。

 ワーキング・グループの報告書を受けて、消費者委員会では、8月10日付けで「多数消費者被害 に係る消費者問題に関する意見」を発出しました。その要旨としては、深刻な多数消費者被害対策の一環として2021年(令和3年)の預託法改正で、販売預託を原則禁止としましたが、消費者庁は、改正後の預託法を適切に執行するとともに、被害の未然防止、再発防止、拡大防止及び被害回復の観点から、施行状況の検証を行うことが必要であるとしました。その上で「破綻必至商法」を行う事業者を市場からより効果的に排除するため、行政による破産手続開始の申立てその他の手法による消費者の被害の拡大防止等に資する措置をとることが可能となる制度整備又は拡充に向けた検討を行うことが必要である、というものになります。

以上

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