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学習会「もっと知りたい!冷凍食品の魅力」を開催しました

 簡単・便利で、おいしく、種類も豊富、めざましく進化を続ける冷凍食品について、栄養面や温度管理のほか、表示、環境面の配慮など、様々な特性を学ぶための学習会を行いました。

【日 時】6月30日(金)14:00〜15:30

【参加者】74名

【内 容】「もっと知りたい!冷凍食品の魅力」

【講 師】(一社)日本冷凍食品協会 広報部長、消費生活コンサルタント 三浦 佳子 さん

概要(事務局による要約)

●冷凍食品の歴史

 1920年に北海道の森町で1日10tの魚を凍結できる冷凍庫が建設されたことから始まりました。その後1954年の学校給食法の運用と共に冷凍コロッケや冷凍フィレが広がり、1964年の東京五輪で冷凍食品が採用されたことでさらに広がっていきました。1970年の大阪での万国博覧会では大量調理に活かせるということで、参加各国のレストランでも冷凍食品が使われました。また家庭用冷凍食品の生産量は、冷蔵庫や電子レンジの普及率と共に増え、女性の社会進出による家事労働の軽減の面からも需要が拡大していった経緯があります。2021年はコロナ禍の影響も受けて、家庭用冷凍食品の生産数が、比率として初めて業務用を上回りました。国内消費量としては昨年過去最高の一人当たり23.9s/年を記録しました。

●冷凍食品の種類と品目

 概算ですが累計で約6000種類くらいあるとされています。冷凍野菜や冷凍果物の種類も多く、調理冷凍食品ではワンプレートなどの一食完結型のバリエーションも増えています。昨年の生産品目順位の第一位はうどん、第二位はコロッケ、第三位は長年炒飯でしたが初めて餃子となっています。

●冷凍食品とは(定義)

 冷凍食品とは「とれたて・作りたての品質のまま長期間保存するために凍結保存した食品のこと」です。ただし凍っていれば冷凍食品と言えるわけではなく、冷凍食品と呼ぶには、次の4つの条件が必要です。

①前処理している
洗う・刻む・味つけまで、台所と同じプロセスの下ごしらえを、工場で徹底した衛生管理のもとに行っています。また家庭では生ゴミになる野菜屑も粉砕し乾燥させて飼料に加工しています。生ゴミが出ないことで、食中毒菌が入り込むリスクがなく、二次汚染を防ぐことにもなります。またカボチャなど大きくて固いものが食べやすくカットされている便利さもあります。

②急速凍結している
急速凍結とは、その食品の品温が低下する過程で、最大氷結晶生成温度帯(マイナス1℃〜マイナス 5℃)をほぼ30分で通過する基準を守ることにより、細胞や組織の破壊が少ないことが実証されています。また家庭の冷凍庫と違って工場での製造温度はマイナス30℃からマイナス40℃の超低温になります。だから、とれたて・作りたてを再現できるのです。

③適切に包装している
パッケージは、商品が利用者の手元に届くまでの間に汚れたり形が崩れるのを防ぐことが目的です。このように商品を守るためのほか、必要な取扱いや調理方法、食品表示法で決められている必要な項目が表示されていること、そして「冷凍食品」と書いてあることが重要です。

④品温をマイナス18℃以下で保存している
生産・貯蔵・輸送・配送・販売の各段階を通じ、商品の温度が常にマイナス18℃以下に保つように管理されています。これは世界標準で、食品衛生法ではマイナス15℃以下とされますが、さらに厳しくしていることになります。非常に低い温度で凍結を維持しているので菌は増殖しません。マイナス18℃以下は衛生面だけでなく、ビタミンや栄養価を保持することができます。おいしさも栄養価も高い旬の時期にとれたものを急速冷凍しているので、一年間常に栄養価を保ったものが提供できます。また、凍ったまま調理をするのが冷凍食品の基本であり、調理するギリギリまで凍ったままにしておくことが衛生面でも重要です。
コールドチェーンとは、製造・保管・配送・販売まで低温の鎖を守っていくことを言います。購入は最後に、できるだけ早く帰り、マイナス18℃を守るためにすぐ冷凍庫に入れることでコールドチェーンは守られます。商品の温度変化を起こさせないことで美味しさと栄養を損なわずに、とれたて作りたてを維持することができるのが冷凍食品で、例えば家庭で凍らせたものは「冷凍食品」ではなく単なる「冷凍品」または「ホームフリージング」です。

●冷凍食品の安全性

 製造工場では厳しいHACCPの基準をクリアしています。第三者認証で定期的に検査を受け、合格と認定された工場に認定証のマークが許可されます。このように品質や安全性の厳しい基準に適合した製品にしか認定証のマークはつけられません。

●冷凍食品とそうざい半製品

 そうざい半製品とは、冷蔵や冷凍の状態で販売されている、加熱前の生に近い状態の加工品のことです。食べる際は加熱調理が必要です。そうざい半製品は冷凍食品と見た目が同じように凍っていて、同じ売り場に置かれていることが多いので間違えやすいのですが、冷凍食品とは製造工程が違うため、消費者が加熱不足など間違った調理をすると食中毒を引き起こす恐れもあります。また、そうざい半製品は、冷凍食品のように、国による成分規格は定められていません。前述の通り冷凍食品と称するには厚労省の厳しい規格に沿っていることが条件なので、一括表示またはその付近に「冷凍食品」と表示されていることを確認してください。

●保存料について

 冷凍するということ自体が保存の技術なので、基本的には保存料を使う必要はありません。ただ保存料にも用途に応じたものがあり、自然解凍品の調味料の中には入っている場合もあります。

●冷凍食品のメリット(まとめ)

  • とれたて、作りたての風味や栄養がそのままです。
  • 凍結したまま使うので衛生的で長期保存が可能です。ただ家庭の冷凍庫は温度を保ちにくく、常にマイナス18℃以下が守られているとは限りません。温度変化に注意して早めに食べることをお勧めします。
  • 生ごみが出ず無駄がありません。キッチンが衛生的で、食品ロスの削減にもなっています。
  • 調理時間を短縮し、代わりに他に一品作れるなど、時間の有効活用ができます。
  • 必要な時に必要な量だけ使えることで、無駄のないメニューが組み立てられます。
  • 省力化による人手不足の解消に貢献し、また外食産業においては、誰が調理しても同じ味を提供できることは有効です。
  • 安定供給、安定価格に努めていることでいつでも旬が味わえます。

★以上を踏まえて「手抜きではなく、手間抜き」が冷凍食品の重要なキーワードです。

●食の安全と健康な食生活について

 いわゆるフードファディズム(食品や栄養が健康に与える影響を科学的な評価に関係なく、過剰に伝えたり信じたりすること)が一部で横行していて、食に関する様々な情報が氾濫しています。食品の安全性に関して100%はありません。どんなものにもリスクはあります。危険だという情報を見聞きしても鵜呑みにしない、作られた情報には煽られない姿勢が大切です。大事なことは、科学的な評価が正しくされていること、そして基本の考え方としては、何事も摂取量の問題であることを把握する必要があります。水も塩も、多すぎても少なすぎても健康に影響があります。たとえ危険と言われる物質であっても、ADI(許容一日摂取量)に換算すると問題ないということを理解したうえで、栄養のバランスを考え、自身の適切な量を把握して、毎日きちんと食べることが一番大切です。冷凍食品を利用することで簡単便利に栄養バランスを補うことができるので、上手に取り入れていただきたいと思います。(下記はバランスの参考に)

東京都健康長寿医療センター研究所による「食品摂取の多様性スコア10の食品群」

●質疑応答より(抜粋)

Q:冷凍食品の賞味期限はどのように決められているのですか。

A:法的な基準はなく各メーカーが決めています。基本的には製造から1年くらいになっていますが、家庭の冷凍庫では温度変化が起きやすいので、おいしく食べるには2〜3か月以内をお勧めしています。

Q:解凍の際に注意する点はありますか。

A:裏面に表示されている指示の通りに行ってください。とれたて・作りたてを再現するために計算された調理時間やワット数で、調理方法が書いてあります。ただ、電子レンジにも多少パワーの差があるので、もし加熱が足りないと感じたら、プラスで10秒ずつ行ってみてください。そして一度加熱したものは必ずその日のうちに食べてください。

詳細につきましてはホームページに載っていますのでご覧ください。
https://www.reishokukyo.or.jp/

以上

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