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学習・意見交換会
「輸入食品って安全なの?〜令和4年度版〜」を開催しました

 「輸入食品監視指導計画」は、日本に輸入される食品・添加物・容器包装・おもちゃなどの安全性を確保するために、輸出国での生産から輸入後の国内流通までのそれぞれの段階で、厚生労働省及び検疫所などが取るべき対応について毎年定めるものです。毎日の生活に欠かせない輸入食品の安全性について、「令和4年度輸入食品監視指導計画(案)」の内容に沿って説明を聞き、その後に質疑応答と意見交換を行いました。

【日 時】2月1日(火)14:00〜15:30
〔Zoomを活用したオンライン学習会〕

【参加者】56名

【内 容】①報告「輸入食品の安全性確保の取組み」
 〜令和4年度輸入食品監視指導計画(案)について〜
 厚生労働省 医薬・生活衛生局 食品監視安全課
 輸入食品安全対策室 室長   蟹江 誠さん
 輸入食品安全対策室 室長補佐 松井 保喜さん
①質疑応答・意見交換

概要<事務局による要約>

●輸入食品の現状

 日本の食料自給率は下がり続けている状況で、令和2年度の集計ではカロリーベースで37%でした。輸入の届出件数はこれまで右肩上がりでしたが、令和元年から2年にかけては少し落ち込んでいます。これは新型コロナウイルスによる物流の変化なども一因になっていると考えられます。輸入重量ではそれほど大きな変化はなく、重量ベースで一番多いのは、穀類を含む農産食品・農産加工食品、続いて畜産食品・畜産加工食品となっています。

●輸入食品の監視結果

 令和2年度のモニタリング検査実施状況は、計画数延べ99,730件に対し102,070件の実施、実施率は102%でした。令和3年度の中間報告による監視指導結果の速報値(4〜9月)は、届出件数1,246,313件に対し、検査件数102,352件、違反件数398件、違反割合0.03%でした。令和2年度の届出の落ち込みから令和3年度はやや持ち直しましたが、違反率の増加はありません。

●監視体制の概要

 ◇輸出国対策・◇輸入時対策・◇国内対策の3段階で行われています。

【輸出国対策】

 在京大使館に日本の食品衛生規制を周知したり、二国間協議や現地調査、輸出国への技術協力を行うなど、輸出国対策は輸入時検査を効果的に実施するためにも、引き続き力を入れていきます。

【輸入時対策】

 輸入者は輸入する食品等について届出事項に沿った内容を厚生労働大臣に提出する義務があります。厚生労働省の検疫所では、届出書の審査や相談室での届出前の相談対応を行い、輸入時の監視指導体制を強化しています。全国の検疫所での食品担当部署は32箇所、食品衛生監視員は現在422名の体制になっています。

 輸入前相談は全国13の検疫所に相談室を設置して行っています。令和2年度では輸入相談前では2.20%が日本の基準に合わないもの(違反に該当する)として発見されました。それが輸入前相談により、効率よく違反の防止ができ、輸入時点での違反率は0.03%に抑えられています。

 輸入時には◇指導検査・◇モニタリング検査・◇検査命令というリスクに応じた検査制度があります。モニタリング検査は、日本に輸入される多種多様な食品が本当に安全なのか食品衛生上の状況をチェックするためのもので、年間計画に基づいて無作為にサンプリングし、検査を実施しています。検査命令は一番厳しいもので、健康被害の発生する恐れのあるもの、法違反の可能性が高いと見込まれる食品について検査を命ずるものです。輸入するすべての食品に対して届出ごとに毎回検査をします。費用負担は輸入者が行い、検査結果判明までは輸入不可となります。

 これらの検査は、統計学的な考え方を取り入れた採取量に応じ実施しています。また、繰り返し検査で違反が発見されるものについては「包括輸入禁止」として法的に輸入を禁止できる規定がありますが、これまでに該当する事案はありません。

 令和2年度は全体で約235万件の届出の中で約20万件の検査を実施し、実数691件、延べ数729件の違反が確認されました。

【国内対策】

 各都道府県等でも国と同様、食品衛生の監視指導計画を作成して、パブリックコメント募集やリスクコミュニケーションを行うとともに、その結果もあわせ公表しています。国内での食中毒発生事案に基づいて監視強化を行った事例もあります。

●海外情報への対応

 海外での食中毒の発生や食品リコールの情報などは速やかにキャッチして的確な対応を行っています。定期的に(実質的には毎日)海外の主要政府のホームページ上でリコール情報やアウトブレイク情報を確認し、国内の専門機関の情報も同時にチェックを行いながら情報の収集や分析を強化しています。必要な場合は回収の指示や監視の強化など適切な対応を速やかに行います。

●オンラインによる現地査察

 コロナ感染の拡大により、これまでのように海外に出向いて行う検査ができなくなったため、オンラインによる現地調査を実施しています。工場のラインをカメラで撮ってもらいながら指示を出して確認したり、リモートによるヒアリングで確認するなど、離れた状態でも工夫して輸入食品の安全性を確保しています。

●令和4年度輸入食品監視指導計画(案)について

 これまで通りの対策を継続しながら、より効果的なモニタリング検査の実施に努め、必要な体制整備を検討します。輸入時検査を中心とした監視体制に加え、輸出国での生産段階の安全性を確保する取組を継続します。

●質疑応答・意見交換<抜粋>

Q:ゲノム編集食品、遺伝子組換え食品はどのくらいの輸入量があるのですか。

A:ゲノム編集食品は届出制になっており、すでに国内では届出が受理されて販売可能となっていますが、輸入については実績はありません。遺伝子組換え食品はトウモロコシや大豆などがありますが輸入量についての情報は持ち合わせていません。

Q:リモートでの施設調査は制約も多いと思いますがどのような点がポイントになりますか。

A:事前の準備がかなり必要になります。今回紹介した食肉処理施設の調査はリモート以前に輸出国側とやり取りをし、マニュアルや記録の提出を求めて予め全体を把握しています。特に食肉についてはHACCPプランやBSE対策について確実にポイントを押さえて確認します。政府間での協議も大前提になっています。

Q:輸入食品の監視を行うための国の予算の傾向はどうなっていますか。

A:必要な予算は確保しています。令和2年度から3年度は増額して対応しています。特に輸入時での検査の費用については確実に確保しています。

以上

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