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学習会 こんな表示にはだまされない!!
〜食品表示・広告取締りの最新動向について〜
開催報告

 世の中の健康志向が高まる中、健康食品を取り巻く環境は、機能性表示食品の表示制度の問題や、暗示的な表現に誘われてサプリメントが子どもから高齢者まで安易に利用されている状況、健康効果に対する不当表示・誇大広告の問題など、トラブルが後を絶たない実態が続いています。そこで最新の情報を知り消費者としての正しい知識を得るため、景品表示法、健康増進法、食品表示法の監視執行についての学習会を開催しました。

【日時】9月12日(木)13:30〜15:30

【会場】主婦会館プラザエフ 5階会議室

【参加】44名

【講師】田中 誠さん(消費者庁 表示対策課 課徴金審査官 機能性表示食品特命室長)

概要報告<事務局による要約>

――消費者庁 表示対策課の仕事は?

 消費者庁が設立され、表示にかかる規制権限を消費者庁に集めてきました。表示対策課は法律の企画立案だけでなく取締りも行います。食品表示法・健康増進法・景品表示法・食品衛生法・JAS法・家庭用品品質表示法・住宅品確法・消費税転嫁対策特措法など、生活を守るたくさんの法律がありこれらの広告の取締りをやっています。なにゆえに幾つもの表示の管理がこの課に集約されているかというと、一元化することで迅速に効果的に対応するためです。

――広告や表示が消費者に与えるものは?

 広告や表示は消費者と事業者をつなぐ重要なコミュニケーションツールです。表示の与える消費者への影響力は大きく、一方で表現の自由の問題もあります。メインの景品表示法、健康増進法については、基本的に表現の自由があり、事業者の創意工夫で広告はなされるので、個別具体的な言葉の決め事はありません。唯一あるのは消費者を欺瞞してはいけない規制だけ。ゆえに行き過ぎが出てくるため、どこまでが消費者にとって許されるのかを模索して取締りをします。あまた複数の法律で健康食品は規制されていますが、以下、広告の規制という観点からメインの景品表示法・健康増進法の2つについてまとめます。

――景品表示法とはどんなもの?

 不当景品類および不当表示を規制する法律。景品(おまけ)で惹きつけ商品の品質で勝負せず消費者の不利益につながる過度な景品を規制する、あるいは著しく優良と言って事実でない広告を規制する法律です(優良誤認広告)。

 表示をした事業者に対しての措置となります。景品表示法の措置命令は行政処分で、訴訟リスクもあり、長い年月をかけて対応する間に不当表示が放置される可能性もあります。

――健康増進法とはどんなもの?

 健康増進のための施策を定めた法律。著しく事実に相違、または著しく人を誤認させる欺瞞的な広告を規制する法律です(虚偽誇大広告)。

 「何人も」が特徴であり、広告媒体者を広く指導対象にできます。健康増進法は指導して改善するもので、行政処分を設けず迅速に消費者の前から排除することを目的としています。勧告もでき、従わないと罰則もあり得ます。

 世に氾濫する情報を消費者が科学的知見を持って判断するには限界があるため、法律で消費者の生活を守る仕組みが必要です。

 表示対策課で2つの法律<景品表示法・健康増進法>を両方持つことで一気にかつ効果的に対応しています。

――健康食品について

 健康食品は補助的に使うもの。薬の効果を期待するものではないことを理解し、一定の知識を持って使う必要があります。バランスのよい食事をとることには科学的なエビデンスがあり、「ばっかり食べ」を避けることがリスクを分散し長生きにつながります。健康食品も同じものを継続摂取することによるリスクはあります。

 また子どもは普段の食生活で十分で、「サプリメントは不要」というのが消費者庁の公式見解です。

 消費者庁で制作した「健康食品Q&A」の冊子にいろいろな質問や情報をポイントを絞って載せているのでご参照ください。

――健康食品の表示の現状と広告規制について

 痩身系のサプリメントの健康被害は圧倒的に多く、消費者安全課と表示対策課が連名で注意喚起をしています。多くの場合ネット購入や個人輸入でダイエットサプリは入手されますが、中には無許可医薬品(違法ドラッグ)も多くトラブルが絶えません。

 基本的に楽をして痩せる方法は100%あり得ません。人の弱みや心理をついて巧みに欺瞞的行為を持って宣伝し商品を売る行為はいくら追いかけてもなくなりません。ここは取り締まる側の出番として本当に効果があるのか調べていく必要があります。

●優良誤認事例

  • 打消し表示:よく見ると小さい文字で例外があるケースなど。消費者は見ない、認識できない、伝わらない。
  • 体験談:強い誘引性がある。同じように自分も効果が得られると思い込む。
  • アフィリエイト広告:適当でいい加減なことをブログで書く「成功報酬型」。
  • ステルスマーケティング:口コミを自分達で書いているなどの「やらせ」。
  • その他:写真による暗示、タレントのコメント引用、間接的な表現による印象操作など。

●対策例

  • 商品名を公表しての注意喚起:「ケトジェンヌ」・・・食べて体調を壊したという情報が消費生活センターに短期間に多数寄せられたため、消費者庁として初めて注意喚起を出しました。アラートはひとつのエビデンス。身体被害が生じうる可能性があることを留意してくださいというメッセージで事実を伝え注意喚起し、被害を拡大させないことが行政の仕事です。
  • 課徴金制度:産地偽装など消費者を欺瞞する問題から景品表示法の規制が強化され、優良誤認でやり逃げにならないよう売り上げの3%を課徴金として課す「課徴金制度」が導入されました。「夜スリム トマ美ちゃん」という商品は、寝ている間に痩せるという根拠のない宣伝で50億の売り上げのあった事案で、この商品の販売者に課徴金が課せられました。
  • セカンド・オピニオン事業:健康食品に関して、医薬・薬学・栄養学など様々な専門家により有効性を評価してもらう仕組みで、消費者への情報提供に活用しています。

――参加者からの質問

Q:消費者庁は、消費者の通報で動くのか自らパトロールもするのか

A:景品表示法でいえば消費者庁に年間14000件の通報が課にある、そのうち7割が消費者からで、食品は1000件くらい。内容を精査し、調査すべきか検討対象になるのは400〜500件、措置命令まで行ったのが40件前後。多くは外部からの情報提供だが、自ら監視もしている。

Q:商品名自体にも注目して問題視するべきでは?商品名そのものが効果効能をうたっている。その裏付けはどうか?

A:商品名は最大の広告。商品名で買っている消費者は多いが、基本「商品名だけで形式的にアウト」とはしていない。基本的に景品表示法・健康増進法は事後規制。あらかじめ禁止はしてない。裏を取っていくやりかた。商品名も含めて全体で見ていく。

以上

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