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「輸入食品監視指導についての学習・意見交換会」を開催しました

 「輸入食品監視指導計画」は日本に輸入される食品、添加物、容器包装、おもちゃなどの安全性を確保するために、輸出国での生産から輸入時までのそれぞれの段階で、厚生労働省及び検疫所が取るべき対応について、毎年定めるものです。「平成31年度輸入食品監視指導計画」(案)が公表されたことから学習・意見交換会を行いました。

【日 時】1月16日(水)10:30〜12:00

【会 場】主婦会館プラザエフ5階会議室

【参加者】20名

【内 容】

①報告「平成31年度輸入食品監視指導計画(案)について」
厚生労働省 医薬・生活衛生局 食品監視安全課 輸入食品安全対策室長
梅田 浩史さん

②参加者との意見交換

○概要<事務局による要約>

梅田さん報告

●食の安全は、リスク分析(リスク評価・リスク管理・リスクコミュニケーション)の考え方で取り組まれている。これは何かあった時の後始末ではなく、可能な範囲で事故を未然に防ぎ、リスクを最小限にするためのアプローチで、国産食品に限らず輸入食品についても、同じ考え方、同じ基準を適用している。

●輸入食品の現状として、日本の自給率は先進国の中でもかなり低い状況が続いており、我々の食生活は海外に依存している。輸入届出件数は右肩上がりに増えているが、輸入重量はここ数年横ばいか微増である。人口が減っている中、輸入件数が増加している実態としては、昔は船で原材料を大量に輸入していたが、ライフスタイルの変化等で、近年、原材料より加工食品、少量で高付加価値の食品の増加など小口化していることが背景にあると考えられる。

●監視体制の概要は、輸出国対策、輸入時対策、国内対策の3段階で行われている。

輸出国対策 ◇日本の食品衛生規制の周知◇二国間協議や現地調査◇輸出国への技術協力等を行っている。現在JICAをの技術協力プロジェクトを通じてパラグアイとインドネシアに専門家を派遣している。
パラグアイは2008年には日本市場に向けゴマの最大の輸出国だったが、2009年に基準値を超える残留農薬が検出される問題が起こり、検査命令の対象となっていた。パラグアイからの要請もあり、対策を行うために専門家を派遣し、現地での農薬対策や輸出時検査の徹底など行い違反もほとんどなくなってきた。こういった輸出国対策は輸入時検査を効果的に実施するためにも重要なもので今後も力を入れていきたい。

輸入時対策 輸入者は輸入する食品等について厚生労働大臣に届出を行う義務がある。厚生労働省の検疫所では、その届出書の審査や届出前の相談対応を行っている。輸入前相談により効果的に違反防止ができることが分かってきたので、今後も事前相談体制を充実強化させていきたい。
輸入時には、◇指導検査◇モニタリング検査◇検査命令といった検査を行っている。

国内対策 都道府県等が主体となって収去検査を行っている。

●平成29年度輸入食品監視指計画監視結果として、

◇届出件数2,430,070件、検査件数200,233件(検査率8.2%)、違反件数821件(届出件数の0.03%)だった。

◇モニタリング検査実施状況は、計画数延べ97,509件に対し、99,455件実施(実施率約102%)した。また、海外情報等に基づき監視強化を行うことが有効となってきた。EUからの通報でフランス産のナチュラルチーズや鶏卵、液卵等の監視強化を行った。平成29年度の食品衛生法違反は852(延数)件821(実数)だった。

●平成31年度輸入食品監視指導計画(案)については以下のポイントがあげられる。

◇中長期的な計画も入れ込んでいく。さらに、TPP11や、日EUのEPA等の経済連携協定によって、各国の連携が盛んになるにつれて輸入食品の輸入量も増えてくることを前提に対策を行う。

◇輸入時検査はこれまで通りの取り組みにプラスして、輸入前相談や指導の推進、輸入届と実際の貨物の同一性の確認等を行う。

◇輸出国対策としては、食品衛生法改正に伴いHACCP制度化を踏まえて輸出国に周知していく。また、乳製品や水産食品等の管理は重要なので、輸出国の保障する仕組みとして衛生証明書の管理を強化していく。(2021年完全施行予定)

◇モニタリング検査は残留農薬、添加物、病原微生物、抗菌性物質等、カビ毒、遺伝子組換え等、前年比500件増で、約99,000件を計画している。

○その後の質疑・意見交換では、「TPP11への対応はどうなっているのか。」「全国の監視員の推移と予算措置について増えているのか。」「食品衛生法改正に伴って食品用器具・包装の輸入監視体制は変わるのか。」「BSE検査で現地視察を行った際はHPで公表してほしい。」等出され、答えていただきました。

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