[このページについてのご意見、お問い合わせなどはメールにて webmaster@shodanren.gr.jp までお送りください。]

全国消団連・トップページへ戻る


公益通報者保護制度の改正に向けた意見交換会 報告

 公益通報者保護法は平成18年4月に施行されて10年が経過しました。しかし、企業の内部通報制度が機能せず、大きな不祥事に発展した事例や、通報者が企業から不利益処分を受けた事例など、法律の実効性には疑問も寄せられています。

 平成22年6月から開催された消費者委員会「公益通報者保護専門調査会」では制度の運用状況等に関する更なる実態把握の必要性について提言されました。また平成27年6月から開催された消費者庁「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」では「ワーキンググループ」も設置され、実効性確保に向けた検討が行われました。パブリックコメントの募集も行われましたが、法改正には至っていません。

 本年1月より消費者委員会「公益通報者保護専門調査会」が新委員のもとで再開されており、7月に中間整理がまとめられました。年末を目途にとりまとめが行われる予定です。この内容について学習し、あるべき法改正に向けて意見交換しました。

【日 時】 12月21日(金)13時15分〜15時15分

【会 場】 主婦会館プラザエフ5階会議室

【参加者】 31人

※公益通報者保護法とは

 労働者が企業の違法行為に対して、企業内部の通報窓口や外部の機関に通報することを公益通報と言い、その公益通報を理由に通報者が解雇や不利益取扱いを受けることがないよう、労働者の保護をするとともに、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法令の規定の遵守を図ることを目的に施行された法律です。


大森崇利さん

【主な内容】

 消費者庁消費者制度課企画官 大森崇利さんより「公益通報者保護専門調査会報告書(概要)案」を基に説明をしていただきました。

 後半は、論点に沿って、消費者庁大森崇利さん、弁護士中村雅人さん、全国消団連事務局長(調査会委員)浦郷由季さんと会場の参加者とで意見交換を行いました。

 『通報者の範囲について』は、現行法では「在職中の労働者」となっていますが、調査会の報告では「退職者、役員等を不利益取扱いから保護する通報者の範囲に含めるべき。また退職者は期間制限を設けないことが望ましいが、退職後一定期間内の者に限定する場合には、法制的・法技術的な観点から整理を行い、実態等に照らして合理的な期間を設定すべき。取引先等事業者は契約自由の原則のため反対意見もあり、今後必要に応じて検討」とされています。

 参加者からは「公益通報者は広く保護するべきで、範囲を限定すべきではないです」「日本が参考にしたイギリスの公益情報開示法や、EU指令案でも取引先を通報対象から外すことや退職して何年との期間制限はなく、通報者に不利益を与えてはいけないとの考えの基に法律があります」「取引先等事業者を保護の対象に含める必要性は非常に強いです。取引通報者は相手事業者以外に他の取引先からも敬遠され苦境に追い込まれます。取引先であるからこそ、勇気をもってみんなを守るために通報した意思を法律で示すことが重要です。是非通報者の範囲に入れていただきたい」との意見がありました。

 ほか『通報対象事実の範囲』『通報体制の整備』『守秘義務』などの論点についても意見交換を行いました。

 最後に消費者庁大森崇利さんより、「課題について、現状をよしとするものではありません。困難であっても努力をしていきます。法制的、法技術的からの観点から整理を行う部分もあり、根強く取り組んでいきたいです。今後もこのような場で説明をしていきたいです」とのコメントがありました。

以上

≫ 開催案内はこちら