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日清食品ホールディングス研究施設
“the WAVE”施設見学会

日 時:2018年9月6日(木)10:00〜12:30

場 所:日清食品ホールディングス研究所 “the WAVE”

参加者:10名

説 明:グローバルイノベーション研究センター 健康科学研究部 部長 兼 知的財産部 部長 松尾 伸二さん
グローバル食品安全研究所 品質究理部次長 兼 品質保証部次長 小林 和浩さん

 “the WAVE” はグローバルイノベーション研究センターとグローバル食品安全研究所の2つからなる日清食品グループの研究・開発の拠点です。「麺と切刃」をイメージした外観。円筒状の棟は「切刃」をモチーフにし、その切刃から切り出される「麺」をイメージしたルーバーが壁面を取り囲んでいます。

“the WAVE” 紹介ビデオ視聴

 創業者の安藤百福さんは、戦後の屋台に行列を作る人々を見て、美味しくて、安くて、長く保存ができ、簡単便利、そして安全であることをモットーに、お湯をかければすぐ食べられるラーメンを作りたいという思いで世界初のインスタントラーメンを開発しました。それが日清食品の始まりです。その後カップ麺やストレート麺の開発から宇宙でも食べられるラーメンの開発など今日まで進んできました。人の生活を変えられるようなものを作りたい。ウェーブを起こしたい。“the WAVE” では「テストプラント」を導入し、商品開発から、大量生産過程の効率化、生産機械の設計や開発も行っています。

グローバルイノベーション研究センターの機能について松尾さんより説明

 この研究センターでは1.健康科学研究、2.食品開発、3.技術開発、4.知的財産の4つの機能を持っています。「健康」と「栄養」をテーマに健康科学分野では、免疫や老化防止に乳酸菌やビフィズス菌の研究に取り組んでいます。また栄養研究や機能性表示食品、トクホの開発申請、うまみの感じ方の違いなど世界の味覚の差の研究等も行っています。商品ではカロリーや糖質をダウンしたもの、油で揚げない麺を使用したもの、食物繊維を入れ込んだ麺など開発を進めています。具材の品質を担保すべく、自社管理農場を確保して生産も始めたところです。また、ライスのほぐし機や麺の蒸し器など機材開発も行っています。

グローバル食品安全研究所の機能について小林和浩さんより説明

 最も大事に考えなくてはならないことは安全です。NASRADという機器で残留農薬500種類、動物用医薬品180種類、併せて約700種類の検査を一斉に行うことができます。その他食物アレルギー、発がん物質、食中毒菌、放射性物質、重金属の検査や、アクリルアミドやクロロプロパノール、フラン、グリシドール脂肪酸エステルなど新たな危害物質についても検査体制を整えてきました。上海食品安全研究所で中国各地の品質調査を行い、輸出前チェックを行っています。また、お客様からの指摘対応については、7~8年前までは各部署バラバラで行っていましたが、今は食品鑑定グループに一元化して対応しています。

 各施設を見学した後、新商品について、残留農薬の検査について、アレルゲンや原料原産地表示について等、質疑応答・意見交換が行われました。現在、問題になっている海洋のマイクロプラスチックについての質問も出され、容器を生分解性のものに切り替える研究を進めてきているところでしたが、社長が記者会見で「現在は紙や発泡スチロールを使用している容器などを、自然に分解されるプラスチックに2~3年後をめどに順次変更していく」と発表し、生分解容器の開発を加速させているというお話もありました。

 チキンラーメン発売60周年、大坂なおみさんの全米オープン優勝、9月からのNHK朝の連続テレビ小説「まんぷく」(安藤百福さんの妻が主人公)など、ますます目が離せない日清食品です。3年前に見学させていただいたときよりさらに前へ前へと進化をし続けていると感じた施設見学でした。