[このページについてのご意見、お問い合わせなどはメールにて webmaster@shodanren.gr.jp までお送りください。]

全国消団連・トップページへ戻る


「電気料金の自由化に関する消費者アンケート」を実施しました

1.「電気料金の自由化に関する消費者アンケート」結果報告について

 今回、全国消団連では、家庭用電力小売自由化開始から2年を経過した時点の、消費者の電気料金の自由化についての現状認識やご意見について調査しました。

【調査概要】

実施期間 : 2018年4月27日〜5月18日
調査対象 : 一般消費者
調査方法 : ホームページ及び会員団体を通しての回答呼びかけ
回答数 : 207通(うち有効回答数205通)

【調査結果より抜粋】

  • スイッチングについて、「電力会社を切り替えた(35.6%)」「今までと同じ会社で料金プランを切り替え(3.9%)」を合わせると、回答者の4割近くが切り替えており、消費者委員会の調査結果(約18%)(注)に比べて高かった。
  • 経過措置料金については、「知らない(39.5%)」「聞いたことはあるが詳しい内容は知らない(43.9%)」が合わせて8割を超えており、ほとんど認知されていない。
  • 経過措置料金規制が解除されることについては、「電力会社(電気小売事業者)同士の競争が十分に起きていることを確認できれば(2020年以降に)料金規制を撤廃しても良い(37.1%)」「わからない(24.9%)」「電力会社(電気小売事業者)同士の競争が十分に起きるとは思わないので、2020年に料金規制を撤廃するのはまだ早い(23.9%)」の順となり、「電力会社(電気小売事業者)同士の競争が十分に起きると思うので、2020年に料金規制を撤廃しても良い」は9.8%にとどまった。

(注)電力・ガス小売自由化に関する消費者の意識について(平成30年4月26日第45回消費者委員会公共料金等専門調査会資料3)

全文はこちら / 別冊資料(自由記述欄の記載一覧)はこちら

2.「電力の経過措置料金規制に関する意見」を提出しました

 今回の調査結果をふまえ、7月4日、以下の意見を提出しました。

(提出先)経済産業大臣、資源エネルギー庁長官、電力・ガス取引監視等委員会委員長、消費者担当大臣、消費者庁長官、内閣府消費者委員会委員長、国民生活センター理事長

2018年7月4日

一般社団法人 全国消費者団体連絡会
代表理事 (共同代表) 岩岡 宏保
代表理事 (共同代表) 長田 三紀
代表理事 (共同代表) 浦郷 由季

電力の経過措置料金規制に関する意見

 家庭用電力小売自由化開始から2年を経過しました。全国消費者団体連絡会では、消費者が電気料金の自由化についてどう受け止めているかについて、2018年5月にアンケート調査(「電気料金の自由化に関する消費者アンケート」)を実施しました。この結果を踏まえ、特に、「電力の経過措置料金規制」に関して、以下の意見を申し述べます。

1.経過措置料金規制の解除が検討されること等についての周知・広報のための方策を十分検討し、対応してください。

 今回、全国消団連が実施したアンケート結果によれば、経過措置料金規制については「知らない(39.5%)」「聞いたことはあるが詳しい内容は知らない(43.9%)」が合わせて8割を超えており、ほとんど認知されていないことが分かりました。経過措置料金規制の意義・役割や、仮にこれが解除された場合に一般の消費者はどのような状況に置かれるか等について、消費者への周知・広報のための方策を十分検討し対応してください。

2.少なくとも競争状態が確認できるまでは経過措置料金規制を解除しないでください。

 同アンケート結果によれば、経過措置料金規制が解除されることについては、「電力会社(電気小売事業者)同士の競争が十分に起きていることを確認できれば(2020年以降に)料金規制を撤廃しても良い」とした人が37.1%と最多であり、「電力会社(電気小売事業者)同士の競争が十分に起きると思うので、2020年に料金規制を撤廃しても良い」とした人は9.8%にとどまりました。

 電力システム改革で目指したことの1つは、消費者にとって、低廉で安定的でクリーンなエネルギーを選択できる環境をつくることです。このような環境が整備されることが求められますが、電気は生活必需品であり、事業者を選択することが困難な社会的弱者(高齢者・低所得者等)が取り残されることがないよう、この点に最大限配慮した制度設計が必要です。ついては、少なくとも、消費者が市場において事業者を適切に選択できる環境が整うまで、すなわち競争状態が確認できるまでは、経過措置料金規制を解除しないでください。

3.経過措置料金規制の解除の検討は、消費者の懸念や意見を踏まえ、十分な検討を行ってください。

 同アンケート結果によれば、経過措置料金規制の解除に対して慎重な意見が多くを占めました。今後の検討にあたっては、以下の視点を含めて十分な検討を行ってください。

  • 電力自由化にあたり消費者が求めていたのは、電源構成や環境配慮等含めた形で情報提供がなされるなど、適切にエネルギー選択ができる環境の整備であり、従来一定の役割を果たしてきた料金規制の一切の撤廃を求めていたわけではないこと。
  • 経過措置料金規制が解除された場合に競争が促進される保障はなく、現に通信分野では大手による寡占のもとで料金が高止まりする事態となっていること。電力については、卸市場の活性化や託送料金の見直しなど、消費者利益にもつながるBtoB施策への対応も求められること。
  • 現行の三段階料金制度には、社会的弱者保護と省エネを促進する意義があり、これを代替する仕組みが具体化される必要があること。
  • 経過措置料金規制における料金値上げ時の手続きの仕組みにおいて担保されていた料金の内訳が見えにくくなるため、料金決定における透明性を確保する方策が求められること。
  • 消費者が事業者を適切に選択する上では事業者の情報開示が不可欠であり、制度上事業者が情報開示をせざるをえないような仕組みが求められること。
  • 経過措置料金規制解除後の事後監視の仕組み(監視機能の強化と監視結果への対応、適切なADR機関の設置など)を確立する必要があること。

以上