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『今こそ! 地方消費者行政の充実のためのシンポジウム』
開催報告

 地方消費者行政の充実・強化の取り組みは、消費者庁による地方消費者行政活性化基金・地方消費者行政推進交付金の措置によって一定の前進が図られてきました。一方で、この交付金措置も一区切りを迎えようとする中、財政・人員措置をはじめ、いくつかの課題が解決されないままとなっています。

 シンポジウムでは、地方消費者行政強化の取り組みの経過と到達点についてあらためて共有し、消費者団体による取り組みの必要性・方向性について整理いたしました。

【日  時】 2018年2月28日(水) 午前10時〜12時30分

【会  場】 主婦会館プラザエフ5階会議室(東京)

【参加者】 58名

【スケジュール】

10:00   開会
10:05   基調講演「地方消費者行政活性化のために消費者や消費者団体の役割」
  池本誠司さん(弁護士)
10:50   全国消団連「消費者行政交付金アンケート」報告
11:00   行政調査報告「市町村調査の取り組みからわかったこと」
  東京消費者団体連絡センター(小浦道子さん)
  長野県消費者団体連絡協議会(中谷隆秀さん)
11:20   パネルディスカッション
コーディネーター   池本誠司さん(弁護士)
パネラー   尾原知明さん(消費者庁 地方協力課長)
仲條知子さん(千葉県旭市消費生活センター)
中谷隆秀さん(長野県消費者団体連絡協議会)
12:20   今後の地方消費者行政プロジェクトの取り組みについて
12:30   閉会

【主な内容】

 弁護士の池本誠司さんからは、消費者被害の現状として被害相談が毎年100万件近くあることや、地方消費者行政の推移と国による財政措置などについての講演がありました。消費者被害が減っていない中で地方消費者行政を強化していくポイントとして、①<国に対し>地方自治体の政策判断と自主財源を確保することができない現実があり、消費者被害が高止まりしている中で、特定財源としての交付金の継続が必要です。強化交付金は政策メニューが限定されているのですが、自治体の実情も考えて、もっと広げるなどの見直しも必要と考えられます。②<地方自治体に対し>地方自治体が消費者行政を強化するという政策判断を引き出すために、地域の消費者団体が首長などに自主財源の増額や職員の増員について働きかけをしていかなければいけません。③「地方消費者行政は自治事務」というだけでなく、国の事務の分担とみるべき事項があること(たとえば消費者相談におけるPIO-NETへの入力事務など)について議論し、国の持続的財源負担を実現することが必要です。以上3点の視点に基づいた取り組みが必要であるとの説明がありました。

 「消費者行政交付金アンケート」報告では、全国消団連が実施し、45都道府県から回答いただいたアンケートの結果報告を行いました。

 また、東京消費者団体連絡センター・小浦道子さんより都内53区市町村に向けての調査、長野県消費者団体連絡協議会・中谷隆秀さんより県内77市町村に向けて実施している消費者行政調査の報告がありました。

 後半のパネルディスカッションでは、消費者庁地方協力課長・尾原知明さんより、国の財政措置により地方消費者行政の前進した点や残された課題、地方消費者行政交付金などについてお話がありました。

 千葉県旭市消費生活センター・仲條知子さんからは、千葉県旭市の消費者行政の到達点と課題について、国からの交付金の支援により、相談員の育成、消費生活センターの設置、サポーター制度や啓発事業などさまざまな活動ができたとのお話とともに、自主財源化のための課題が残されているとのお話もいただきました。

 長野県消費者団体連絡協議会・中谷隆秀さんは、県や市町村行政、様々な団体と手を取りあいながら地方消費者行政強化の取り組みをすすめていくことが大切であるとお話されました。

 最後に、今後の地方消費者行政プロジェクトの取り組みとして、地方消費者行政の充実・強化のため、地方消費者行政の実情を把握する調査(全都道府県向け、市町村向け)を計画していることを報告し、より多くの消費者団体がこの調査に取り組まれることを呼びかけました。

以上