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学習会「独占禁止法について」を開催しました

【日  時】 6月22日(木) 13:30〜15:30

【会  場】 主婦会館プラザエフ5階会議室

【参加者】 36名

【講  師】 向井 康二 さん(公正取引委員会 官房参事官)

【開催趣旨】

 「独占禁止法」は、市場における公正で自由な競争を促進することにより、一般消費者の利益の確保と国民経済の健全な発展をめざす法律です。

 会社や店は、私的独占の禁止、不当な取引制限(カルテル・入札談合)の禁止、不公正な取引方法の禁止など「独占禁止法」が定めるルールを守り、正しく競争をすることで、市場には豊富な商品が提供され、消費者はそれらの中から、より自分の欲しいものを選べるようになります。一方、違反行為者に対しては、不利益処分を課すことで違反行為を抑止するための行政上の措置として、課徴金制度が導入されています。

 この間、事業者の経済活動や企業形態のグローバル化・多様化・複雑化が進展したことなどを受け、公正取引委員会では、昨年2月より「独占禁止法研究会」を開催し、従来の硬直的な課徴金制度の在り方について検討を重ね、本年4月に研究会報告書がとりまとめられました。今後、報告書を踏まえて具体的な制度改正作業に入っていくことになります。

 今回の学習会は、「独占禁止法の基本」と、「独占禁止法研究会」報告書の概要について学び、消費者の立場から求められる独占禁止法のあり方について考え合う機会として開催しました。

【概要】(事務局による要約)

第1部(入門編) 独占禁止法の基本 〜安くて良い商品が買えるワケ〜

○競争のメリット・デメリット

公正で自由な競争のメリット

  • より良い商品ができる
  • より安い価格で購入できる
  • サービスが充実する

→ 消費者の利益が確保される

→ 日本経済の活性化・発展

競争がないことのデメリット

  • 良い商品が開発されない
  • 価格が高いまま

→ 消費者に不利益

→ 日本経済の発展の妨げ

○独占禁止法とは?

 市場経済の基本的ルールを定めた法律であり、正式名称は「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」です。

 独占禁止法が禁止する行為は、以下です。

  • 私的独占(支配型・排除型)
  • 不当な取引制限(カルテル・談合など)
  • 不公正な取引方法(再販売価格の拘束・優越的地位の濫用など)
  • 競争を実質的に制限することとなる企業結合

○公正取引委員会とは?

 「市場の番人」として、独占禁止法にかかわる違法行為を取り締まり、市場経済の基本ルールが守られるよう監視しています。独占禁止法に違反する疑いがある企業を調査し、違反のあった企業に対しては、その行為をやめるように命令(排除措置命令)したり、違反行為によって得た不当な利益を国庫に納めるよう命令(課徴金納付命令)します。

第2部(応用編) 「独占禁止法研究会」報告書のポイント

 課徴金制度の運用状況は、平成28年度はのべ32名の事業者に対し、総額約91億円の課徴金を課しました。また、課徴金減免制度(事業者が自ら関与したカルテル・入札談合について、その違反内容を公正取引委員会に自主的に報告した場合、課徴金が減免される制度)に基づく報告をした事業者は平成28年度は124件となりました。こうした課徴金制度をはじめとする独占禁止法の強化に向けて、「独占禁止法研究会」では報告書をまとめましたが、今後以下のような点がポイントとなります。

(1)課徴金の算定方法の見直し

 売上額がない外国の違反行為者に対しても、課徴金を課すことができるようにする(国際市場分割カルテル等)など、複雑化する経済社会に応じて適正な課徴金を課せるようにする。

(2)事業者の調査協力インセンティブを高める制度の導入

 課徴金減免申請をした事業者について、より調査に協力した事業者が、より高い減算率を得られるようにするなどして、事業者と公正取引委員会が協力して効率的・効果的な実態解明・事件処理を行う領域を拡大する。

(3)手続保障の見直し

 事業者団体等から「供述聴取時の弁護士立会い」「供述聴取時の録音」「供述聴取時のメモの録取」などの防御権について、「企業の防御権を強化すべき」との主張もあるが、公正取引委員会の実態解明機能を損なわれ消費者の利益が侵害されることになりかねないことから、新たな課徴金減免制度の利用に係る弁護士・依頼者(企業)間の相談・アドバイスに限定して、運用上一定の配慮を行う(権利としては法定化しない)。

 最後に、公正取引委員会として今後消費者団体とのつながりを改めて強めていきたいという表明があり、研究会報告書に対する意見募集についての紹介がありました。

*全国消団連でも意見書を提出しました(全文はこちら