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公開学習会 「消費者契約法・特定商取引法」 開催報告

【日  時】 2月16日(木) 13:15〜15:15

【場  所】 主婦会館プラザエフ5階会議室

【参加者】 35名

【内  容】

改正消費者契約法・特定商取引法のポイントと積み残し課題について
消費者被害防止DVD上映(①執拗な勧誘トラブル ②広告における問題勧誘
③つけ込み型勧誘トラブル)
消費者団体における消費者被害防止の取り組み紹介
埼玉県消団連(埼玉消費者被害をなくす会)、全大阪消団連(消費者契約法の改正を求める連絡会・不招請勧誘規制を求める関西連絡会の活動)、日本生協連
パネルディスカッション「消費者委員会消費者契約法専門調査会の検討状況」
 〈コーディネーター〉 磯辺浩一さん(消費者機構日本専務理事)
 〈パネリスト〉 井田雅貴さん(弁護士)   有山雅子さん(NACS)
「消費者スマイル基金(消費者被害防止救済基金)」の紹介

概要(事務局による要約)

2016年改正消費者契約法・特定商取引法のポイントと積み残し課題

○消費者契約法の改正ポイント

過量な内容の契約の取消し(新たな取消事由)/重要事項の範囲の拡大/行使期間の伸長(短期を6ヶ月→1年に)/契約条項の無効とする条項の追加

○特定商取引法の改正ポイント

悪徳業者への行政規制の強化/刑事罰の強化/取消権の行使期間の伸長(6か月から1年に)/電話勧誘販売における過量販売規制の導入

○両法改正にあたってはいくつかの論点が先送りとなりました。消費者契約法では、いわゆる「つけ込み型勧誘」の規制が早期に導入されることが求められます。

消費者被害防止DVD上映(①執拗な勧誘トラブル ②広告における問題勧誘 ③つけ込み型勧誘トラブル)

大学生協連に協力していただき消費者被害防止DVDを作成しました。地域での消費者被害防止の啓発活動に活用できるようにDVDの貸し出しの準備をしています。準備が整いましたらお知らせしまので、様々な場面での活用をご検討下さい。

消費者団体における消費者被害防止の取り組み紹介

●官民連携による消費者市民社会づくり(埼玉消費者被害をなくす会・岩岡さん)

  • 埼玉県内の63市町村すべてで「消費者生活関連事業調査」を18年間継続して行っており、相談件数や苦情解決、被害防止に向けた福祉部門との調整、地域協議会、消費者教育、消費者被害防止サポーターの把握等の各状況を調査しています。
  • 高齢化社会や多様化する消費者問題に対応するためには、地域の見守り力の向上が求められており、そのために、市町村行政との連携強化、サポーターのスキルアップ、自主的なグループ形成と推進員の支援等、官民連携による消費者市民社会づくりを進めています。

●消費者契約法の改正を求める連絡会」・「不招請勧誘規制を求める関西連絡会」の活動(全大阪消団連・飯田さん)

  • 両連絡会とも、改正すべき事項の働きかけや、その内容の啓発・普及のために、弁護士、司法書士、消費生活相談員の有志、消費者団体等で連携して活動しています。
  • 「不招請勧誘規制を求める関西連絡会」では、市町村に対し「迷惑勧誘防止ステッカー」活用に関する取り組み状況調査や、「迷惑勧誘防止ステッカー・迷惑電話防止機器についての要望書」送付などを行っています。また、両連絡会とも、近畿各府県、大阪府内市町村地域におけるシンポジウムや学習会を開催しています。
  • 全大阪消団連は、「消費者被害防止の地域ネットワークをめざして」学習会を行い、消費者被害防止を含む地域の(高齢者)見守りネットワークをどう作るのか、その必要性を確認しながら、誰と誰が連携し、どう運営するのかのヒントを得ました。

●全国の生協における消費者被害防止の取り組み紹介(日本生協連・片野さん)

  • みやぎ生協では、消費者トラブルの防止に向けて、組合員の自主グループである「消費生活研究会」を中心に消費者力向上の取り組みを行っています。
  • コープしがは県と協定を結び、高齢者の消費者被害未然防止のために、宅配の商品配達時に県の啓発資料を組合員に配布しています。また、いばらきコープでは、店舗でチラシ・啓発物を配布しながら高齢者消費者被害防止の呼びかけを行いました。
  • 生協くまもとでは、「賢い消費者になるための学習会」を行いました。熊本地震発生以降、義援金詐欺や賃貸住宅の退去・修理に関する相談が増えているそうです。

パネルディスカッション(磯辺さん、井田さん、有山さん)

テーマ 「消費者委員会消費者契約法専門調査会の検討状況」

●残された論点(1):高齢者・若年者のトラブル(「つけこみ型勧誘」についての対応の必要性)

  • 事例として、バリアフリーのリフォーム工事を何回も訪問され契約してしまったとか、気を送るなどの霊感商法の被害相談があります。民法の成年年齢引き下げにも対応する必要があると思います。
  • 専門調査会では、つけこみ型勧誘として「殊更に不安を煽る告知」「断りきれない人間関係を濫用する行為」について議論しましたが、事業者委員の反対により委員間の意見は一致していません。高齢者の認知症も対象にする必要があります。

●残された論点(2):消費者に不利な契約条項

  • 専門調査会では、「消費者が認知症等により成年後見制度を利用し始めたら事業者が契約を解除できる」とか、「事業者側のちょっとした落ち度が原因で消費者側に損害が生じても一定の額以上は損害賠償を支払わない」など、消費者に不利な契約条項を無効にできないか検討しています。
  • 後見人がついた場合の相談はよく受けています。認知症の人の人権を守るという観点からも、後見人がついたからといってすぐ契約を解除することは、いかがなものかと考えます。

●残された論点(3):執拗な勧誘・威迫的な勧誘、インターネット通販のトラブル等

  • 4時間半にわたる執拗な電話勧誘のテープを持って相談に来た人がいます。ひとたび話を聞いてしまうと業者は契約するまでしつこく勧誘します。言葉が悪く怖かったという相談もあります。
  • クロレラ事件に対し最高裁は「チラシ広告も勧誘にあたる」という判断をしました。インターネット上でも広告上でも事業者側が事実と違うことを述べて契約をさせること自体、本来あってはならないことです。次回の改正ではインターネットの広告に関してルール改正したいです。

●最後に皆さんへの呼びかけ

  • 現実に起きている消費者問題に対して、消費者契約法・特定商取引法は消費者のために機能しています。消費者の一言ひと言が法改正につながります。みんなの声で法改正をしていきましょう。
  • 「消費者契約法の改正を求める連絡会」に入ってください。立法には消費者の声が後押しとなります。

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