[このページについてのご意見、お問い合わせなどはメールにて webmaster@shodanren.gr.jp までお送りください。]

全国消団連・トップページへ戻る


「電力システム改革貫徹のための政策小委員会・中間とりまとめ」
学習会を開催しました。

 平成28年9月、経済産業省に「総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 電力システム改革貫徹のための政策小委員会」が設置され、12月から「中間とりまとめ」についての意見募集が行われました(上図は概要)。

 中間とりまとめでは、ベースロード電源市場など新たな市場の創設や、新たな仕組みの導入など、多くの内容が盛り込まれています。その中でも、原発事故の賠償・廃炉に関わる費用などを、送配電のネットワークに要する費用であるはずの託送料金に上乗せし、全ての消費者に負担させようとする案については、すでに多くの団体から意見表明や集会の開催等、活発な動きがあります。

 全国消団連でも、意見発出に向けて学習会を開催しました。(図表は学習会資料より)

学習会概要

【日  時】 1月11日(水)18:00〜20:00

【場  所】 主婦会館プラザエフ5階会議室

【参加者】 27名

【講  師】 小川 要さん (経済産業省資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 電力市場整備室長)

大石 美奈子さん(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 代表理事・
副会長、電力システム改革貫徹のための政策小委員会委員)

概要(消団連事務局による要約)

電力システム改革貫徹のための政策小委員会・中間とりまとめについての説明
(小川さん)

  • 電力自由化がスタートしたが、新規参入者が十分戦える環境になっていない。更なる競争活性化に向けた施策と、自由化のもとでも公益的な課題に対応するための施策について検討し、中間とりまとめを行った。
  • この委員会の財務会計WGでは、自由化の下での費用負担の在り方として、①原子力損害賠償、②事故炉の廃炉、③通常炉の廃炉、について検討を行った。課題は①原子力事故の賠償への備えに関する負担の在り方、②福島第一原発の廃炉の資金管理・確保の方法、③自由化の下での廃炉に関する会計制度、であり、それぞれ以下の案を検討している。
  • ①に関しては、原子力事故の際の賠償への備えを過去積み立てておかなかったので、当時積み立て分を支払うはずだった消費者から「過去分」として、2020年から40年間かけ託送料金の仕組みを活用して徴収する。

  • ②に関しては、送配電事業の合理化による超過利潤の一部を、発電事業の廃炉のための費用として託送費用とみなすこととする(右図)。
  • ③に関しては、現在措置されている原発の廃炉に関しての特別な会計制度(廃炉会計制度)は、廃炉後も資産の償却費の回収が確実にできることを前提としているので、2020年の経過措置料金規制解除後は確実に回収が見込める託送料金で回収する。この場合、他電源事業者にとって不公平なので、例えば原発でつくる電気を一定量市場に出し、その他の小売事業者も利用できるようにするなどの措置を行う。
  • もう一つの市場整備WGでは、④ベースロード電源市場の創設、⑤連系線利用ルールの見直し、⑥容量メカニズムの導入、⑦非化石価値取引市場の創設、について検討を行った。

消費者から見た中間とりまとめの問題点(大石さん)

  • 中間とりまとめそのものが、「電力自由化で新電力を選ぶ消費者が増えると廃炉費用を回収できなくなる」という理由から、託送料金ですべての消費者に負担を求める内容となっている。これは、消費者が電力事業者や電源を自由に選べるという電力自由化の理念や、事業者の競争により良いサービスをという送配電分離の理念にも反する。
  • そもそも、①原子力損害賠償、②事故炉の廃炉、③通常炉の廃炉、の話は切り離して議論すべきものであり、事故炉の廃炉費用・賠償費用は東京電力が責任を持って支払うべきことを国会で議論すべきである。この責任追及がされないまま東京電力の負担減=消費者負担が検討されている。
  • ①の「過去分」という考え方は非合理。通常の経済活動においても「過去に積み立てておくべきだった費用」を現在・未来の消費者に求める事はありえない。
  • ②の送配電部門の合理化分(利益)を値下げに使わず、本来発電部門が負担するべき廃炉費用に使うのは、「送配電部門の中立性の一層の確保を図る」とする電力システム改革の趣旨に反する。託送料金の一部を特定の施設費用のために使われ、値下げの機会を奪われることになる。
  • ③の(発電事業の)廃炉会計の維持のために(送配電事業の)託送料金を確実な費用回収の仕組みとして利用することは、電力システム改革の趣旨に反する。
  • 経済産業省令のみで決められる「託送料金」の仕組みを使うと、今後費用が増えた場合に青天井で簡単に転嫁されることになりかねない。本当に必要な費用であるなら、国会で論じて税金として回収すべき(現在も託送料金には「使用済核燃料再処理等既発電費相当額(バックエンド費用)」「電源開発促進税」が含まれているが、少なくともこれらは法律に基づいている)。

質疑応答、参加者アンケートより

 質疑応答や終了後のアンケートでは、中間とりまとめに対する意見に加え、審議の進め方に対する意見もありました(以下はその抜粋)

  • 「原子力発電所を持つ事業者だけ特別な対応をしてあげる」という制度である点が根本的に問題。
  • 福島第一原発の廃炉費用については国民負担はやむを得ないのでしょうか
  • 非化石市場の創設とFIT制度の国民負担との関係がわからない。
  • これだけ反発意見が出るのはやはり「理屈が通っていない」ということに尽きると思います。
  • ぜひパブコメだけでなく国会での議論としてください。消費者団体だけでなく、もっと広く意見を求めていく必要がある問題だと思います。
  • 何十年もかかる話をわずか2か月余りでまとめて制度となるのは考えられない。
  • 東電の送配電、小売り以外のグループ会社の利益も福島第一原発廃炉の費用に廻すのでしょうか。
  • 「過去分」を求めるとき、元々原子力比率の高い地域(電力会社)の電気代は安かったから地域ごとにとるのがベター、というのは個人的に納得するのですが、それが託送料金でとる、というのがまだ「?」となっています。他に方法がないのでしょうか?(それとも「託送料金上乗せ」が楽だからなのか・・・?)