[このページについてのご意見、お問い合わせなどはメールにて webmaster@shodanren.gr.jp までお送りください。]

全国消団連・トップページへ戻る


学習・意見交換会開催報告
「民法の成年年齢引き下げに関して」

日  時 : 11月2日(水)18:00〜20:00

会  場 : 主婦会館プラザエフ5階会議室

参加者 : 21名

講  師 : 小林 真寿美さん
(国民生活センター相談情報部相談第2課長)
保足 和之さん
(国民生活センター相談情報部相談第2課)
平澤 慎一さん(弁護士)
川岸 晃良さん(全国大学生活協同組合連合会全国学生委員)

開催の趣旨

 民法改正案が次期通常国会に提案される見込みです。この中で成年年齢が20歳から18歳に引き下げられる見通しとなっており、実現した場合に若年層の消費者被害が増加することが懸念されます。若者の生活環境や消費者トラブルをめぐる状況を聞き、どのような方策が求められるのかを考え合う機会としました。

概要(事務局による要約)

 最初に事務局より、民法の成年年齢引き下げについては、2007年の国民投票法成立を機に法制審議会において検討が行われ、2009年に「民法の成年年齢引き下げに関する最終報告書」が答申されたこと。また、その中で「消費者被害拡大のおそれ」と対処の必要性について言及されていることを説明しました。

●若者の消費者トラブル・相談の状況について(小林さん、保足さん)

  • 国民生活センターでは、18歳から22歳の相談事例を分析し、成人になると巻き込まれやすくなるトラブルについて相談事例やアドバイスなどをまとめ、注意喚起を行っています。
  • 未成年者が行った親権者の同意がない契約は原則取り消すことができますが、成人になると未成年者のような保護はありません。さらに、社会経験が乏しい若者を狙い撃ちする悪質な業者による消費者トラブルも発生しています。
  • 「成人になると巻き込まれやすくなる消費者トラブル−きっぱり断ることも勇気!−」はこちら

●大学生の生活環境の状況と、仮に成年年齢が18歳に引き下げになったら…(川岸さん)

  • 学生は、アルバイトをしている人が多く、中にはブラックなバイト内容の人も見られます。
  • 社会や政治の動きに注目している人は少なく、政治のことなどを話す雰囲気は薄いです。
  • 「消費者被害に遭った」という話は全く聞きません。多分、被害だと認識していないか、他人に言いづらいのだと思います。
  • 大学生に入ってすぐの時期は環境が大きく変わり、怪しい話にも気づきづらい時期であると思います。20歳になりたての人に多かった被害は、成年年齢が18歳に引き下げられたらもっと多くなると思われます。便利なことよりもリスクが大きくなると思います。

●成年年齢引下げ問題について(平澤さん)

  • 高校3年生在学中に成人となる人とそうでない人が混在することになり、消費者トラブルが入り込んで混乱が予想されます。
  • 高校卒業時に必ず成人となり、進学・就職・上京など生活面で大きな変化の中で事業者のターゲットになります。また、18歳は経済的自立をしていないことも問題です。
  • 引き下げられた場合の具体的施策として以下が考えられます。

① 民事ルールの拡充(例 : 消費者契約法に「つけ込み型不当勧誘」取消権を導入する。特定商取引法に判断力不足につけ込む契約の取消や、適合性原則違反の規定を導入する)

② 信用規制(貸金業法や割賦販売法で、若年者に対して金額の上限規制をかける)

③ 消費者教育の充実(被害に遭った時、「自己責任」とされることが危惧される)

●参加者との意見交換

 全国消団連が行っている「成年年齢の引き下げについての緊急アンケート」の途中集計の報告の後、参加者間で意見交換を行いました。

 相談員さんからは、「19歳のサクラサイト被害の相談を受け、現在は未成年者取消権を使って解決を目指している。相談の現場から言って18歳引下げはまだ早いと思う」などの意見が出されました。