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全国消団連は「健康食品情報交換会」を開催しました

全国消団連事務局

 全国消団連は昨年度より消費者政策のテーマとして、消費者の求める食品安全行政のあり方について検討し、特に「いわゆる健康食品」の広告・表示についての現状と問題についての学習を行なっています。2011年12月15日、(独)国立健康・栄養研究所名誉所員で大妻女子大名誉教授の池上幸江さんを講師にお迎えして、「ホントのことを知りたい!!学習シリーズ『いわゆる健康食品の広告・表示について』」を開催しました。その会で、消費者を取り巻く「トクホ」や「いわゆる健康食品」に関して、消費者自身問題と感じた点を持ち寄って情報交換をすることで、さらに問題を深掘りできるのではないかとまとめたことから、会員団体を対象に、2012年9月20日(木)14時〜15時半、主婦会館プラザエフ5階会議室にて全国消団連2012年度第2回全体会議の一環として「健康食品情報交換会」を開催しました。30名にご参加いただきました。

 今回は群馬大学教育学部教授の高橋久仁子さんをお招きして、「いわゆる健康食品」と「トクホ」を巡る問題をご提起いただき、そののちに意見交換を行なって、「いわゆる健康食品」の問題点や消費者がどのように情報を読み解けばよいのか、広告・表示とどのように付き合っていけばよいのかなどについて、考えあいました。

 高橋先生ははじめに、「フードファディズム(Food Faddism)」の概念についてお話し下さいました。食べものや栄養が健康や病気へ与える影響を過大に評価・信奉することであり、それは食べ物や栄養素を針小棒大に取り扱い、科学的知見を拡大解釈したり曲解するなどして、科学的根拠のない神話であると説明されました。

 そしてフードファディズムの傾向として、@健康への好影響を強調して消費者を煽る食品の大流行、A摂り過ぎによって生じる体のトラブルなど、量を無視して大量摂取を一般化してしまう、B食品に対する期待や不安を煽動する、という三つのタイプがあることをご紹介くださいました。

 次に、「健康食品」の抱える問題点を整理して八つの類型に分けてご説明くださいました。

 1.有害物質を含むものがある。2.医薬成分を含む物がある。3.有害成分を含まないが、特定の人々に有害作用をもたらす物がある。4.抽出・濃縮・乾燥等による特定成分の大量摂取。5.食生活の改善を錯覚させる。6.「治療効果」の過信で医療をないがしろにする。7.非食品の食品化 8.その他 です。

 また、「トクホ」や「いわゆる健康食品」の広告・宣伝が消費者を惑わせている事例として、幾つかご指摘いただきました。

 健康な体を作り、維持するためには、フードファディズムにとらわれることなく、適度に食べて適度に動くことこそが、その基礎基本であると説明されました。

 最後に、高橋先生のお話に対する質疑も含めて、会場全体で情報交換を行ないました。

 参加者からは昔馴染みの「ビール酵母」や今流行の「塩麹」などがついて質問があげられました。高橋先生からはそれぞれの性質や宣伝上で気になったことなどをお答えいただきました。また、「トクホ」付きのヨーグルトの種類が増えたことなども話題となりました。

 さらに「食物せんい・鉄分たっぷり」「自然な甘さ」など、商品のパッケージに書かれている宣伝文句や表示を読み解く際の注意点も話題になりました。

 また、頻繁に宣伝されている、「グルコサミン」や「ヒアルロン酸」「コラーゲン」についても話題に上りました。そして高橋先生は、現在上梓されている2000種類以上の「トクホ」商品すべての調査からわかったこととして、その商品のどのような成分が「トクホ」として認められているのか、一般の消費者にとっては非常に分かりにくいこと、また、同一カテゴリーの商品のほんの一握りの商品を「トクホ」とすることで、消費者はそうでない単品も含めてそのメーカーの同一カテゴリーの商品全てを「トクホ」と思いこんでしまうことなど、「トクホ」制度の問題点を指摘されました。

 参加者からは、「表示・標記にまどわされない力を持たなければいけないと思いました。」「簡単な方法で栄養補給ややせることはできないのですね。」「今の日本人がいかに健康に不安を持っているのか改めて考えさせられました。」などの感想をいただきました。

 
熱弁をふるう高橋久仁子先生   真剣に耳を傾ける会員団体の皆さん