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第13回消費者政策検討会開催報告

開催日 2012年4月18日(金)
会場 主婦会館プラザエフ5階 第1会議室
参加者31名

 

 全国消団連では、昨年度より「消費者政策検討会」を設定し、国の消費者政策的課題について、会員団体の有志の皆様と意見交換・検討を重ねています。
 今回は、消費者庁から、

  1. 「地方消費者行政活性化基金の上積み(地域の多様な民間団体の活動支援)」について
  2. 「公共料金に関する研究会」について
  3. 「消費者関連三法案・消費者教育推進法の進捗状況」について
  4. 「国民生活センターの国への移行を踏まえた消費者行政の体制の在り方に関する検討会」について

 の4課題についてご説明いただき、参加者の皆さんと意見交換しました。


1. 地方消費者行政活性化基金の上積み(地域の多様な民間団体の活動支援)」について
消費者庁からの説明のあらまし

 「平成24年度予算に、「地方消費者行政活性化基金」(以下 基金)の上積み・拡充として、5億円が計上されました。今回の上積み分と合わせてこれまでの基金についても「食の安全・安心に関する事業」「地域の多様な民間団体による活動への支援事業(消費者団体等の活動支援)に使えるよう、補助要領を変更しました。消費者庁は、地方自治体に積極的に活用していただくよう働きかけています。  
 4月23日には自治体からの申請の締め切り、5月のG.W.明けには各自治体へ配分する金額が決定する予定です。
 今回の基金の上積みが、補正予算でなく当初予算に組み込まれることは、平成25年度の予算を検討する上で、地方への財政支援確保についての議論の足がかりになり、実績が上がれば平成24年度末に終了する「基金」後の地方消費者行政への財政支援論議の素材になるものです。消費者団体の皆さんも、各地の自治体に、消費者団体支援等に使うことを働きかけてください。

<主な質疑応答>

全国の自治体で使うには、上積み分5億円では足りないのではありませんか。
今回の上積みは、今後の財政支援を考える上でのスタートアップ的なものです。今後、次の財政支援はこれまでと同様に、様々な段階の自治体に対して一律の支援でいいのか等、支援の在り方についても議論していきたいと考えています。

2. 「公共料金に関する研究会」について
消費者庁からの説明のあらまし

 今回、東電の電力料金の値上げ問題を契機に公共料金に関する関心が高まり、消費者庁は「公共料金に関する研究会」を立ち上げました。また、消費者委員会も「公共料金問題についての建議」(2月28日)を出しました。
 過去、政府や関係省庁からの報告書や意見書の中で、多くの課題や改善点などを明らかにしてきました。しかし、その後の検証もなく、改善されてきませんでした。今回の「公共料金に検する研究会」では、今まで出されてきた課題や改善点に加え、現在ある新たな問題点や課題も含めて検討し、実効性のある報告書を作成することを目的としています。
 第4回研究会で「公共料金の決定の在り方について」中間取りまとめを策定しました。その内容は、1.料金改定の手続と継続的な検証、2.公共料金の水準・内容、3.消費者への分かりやすい情報の公開、4.制度改革と技術開発、5.更なる制度改革のために、の5つの項目で構成されており、料金決定の在り方、考え方についての方向性をまとめました。更に、物の価格が下がる中で、公共料金の値下げに関してもしっかり評価するような改善や、形骸化している料金改定プロセスでの消費者参画に実効性を持たせる、といった手続きの整備も必要だとまとめています。今後は、中間取りまとめをもとに具体的な検討をすすめ、今夏を目途に、最終的にとりまとめを行う予定です。

<主な質疑応答>

総括原価方式は、見直せないのですか。
電力料金の算定に使われている総括原価方式は、事業者が掛かった経費を全部上乗せできる制度です。経費をまとめて書き込まれてしまうと、全容が見えません。方式そのものを見直す前に、原価の内容を見直し、どこまでを原価として認めるかなど、原価の範囲を変えることはできると思います。

3. 「消費者関連三法案・消費者教育推進法の進捗状況」について
消費者庁からの説明のあらまし

 「消費者安全法改正案」については、閣議決定して国会に法案を提出しました。
 「特定商取引法改正案」は、4月11日に参議院で大臣より法案を提出いたしました。
 「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度」については、パブリックコメントを募集し、現在分析をしているところです。消費者団体等からは、早期成立を願う声が多く寄せられました。事業者からは、濫用への懸念や慎重な立法を求める声が多く、「中小零細事業者にとっては、情報開示や救済命令が出たときの労力や費用負担が大きく、倒産してしまう」「呼びかけのための広報の費用負担は申立て団体が行うべき」等の意見がありました。この法案は、新たに法律を作るもので、条文も100条を超える大部なものであり、法案準備に時間を要しています。
 「消費者教育推進法」は、議員立法として提出される準備が進んでいます。

4. 「国民生活センターの国への移行を踏まえた消費者行政の体制の在り方に関する検討会」について
消費者庁からの説明のあらまし

 現在、国では、(1)国民生活センターを平成25年度目途に国への移行、(2)消費者庁設置法附則三項に基づき、消費者委員会、消費者庁、国民生活センターもあわせた消費者行政全体の在り方を検討しています。
 今回の「独立行政法人改革」で示された「新たな独立行政法人」は、民間型で自己収入がないと成り立たちません。運営費の96%が国の交付金である国民生活センターに対して、消費者庁「国民生活センターの在り方の見直しに関する検証会議」の議論でも新たな法人にするべきだという意見はありませんでした。そして、検証会議での「国への移行が現実的だ」とのまとめから、政務三役の判断で国への移行が前提となり、それ踏まえた検討を改めて行うこととなりました。そこで、後藤副大臣を座主とした「国民生活センターの国への移行を踏まえた消費者行政の体制の在り方に関する検討会」(以下 検討会)内閣府に立ち上げました。検討会では、(1)国民生活センターの機能を担う国における組織の具体的在り方、(2)消費者庁設置法附則三項に沿った、消費者庁、消費者委員会その他の消費者行政に係る体制の在り方について、の検討を重ねています。
 検討会では、これまでは自治体職員、相談員、消費者団体、事業者などからのヒアリング、また、当事者である消費者庁、消費者委員会、国民生活センターからのヒアリングを行ってきましたが、今後は具体的な検討に入ります。

<主な質疑応答>

国へ移行すると、各省庁への提言や問題提起に時間がかかるのではありませんか。
現在、消費者庁と国民生活センターが一体となったときの試行を行っています。消費者庁と国民生活センターが連携、共同で、危害情報等を消費者委員会に伝えています。そして、監視機能を持つ消費者委員会から各省庁を呼び出し問題提起する形で進めているので、以前より早くなっています。