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ホントのことを知りたい!!学習シリーズ
「トクホ」と「エコナ」学習会その2 開催報告

 12月24日に東京四ツ谷の主婦会館プラザエフにて表記「トクホ」と「エコナ」学習会その2が開催されました。消費者庁食品表示課課長の相本浩志さん、花王株式会社の執行役員安川拓次さんと品質保証本部本部長理事青木秀子さんを報告者としてお招きしました。東京・四ツ谷の主婦会館プラザエフ5階会議室で開催されたこの学習会の参加者は52名でした。学習会の司会進行は全国消団連事務局長阿南久が担いました。開会にあたり、全国消団連の「エコナ問題に関する意見・要望」を紹介し、今回の学習会の開催趣旨を説明しました。以下今回のホントのことを知りたい学習シリ−ズ「トクホ」と「エコナ」学習会その2の概要を記します。

報告1:「健康食品の表示をめぐる現状」

 消費者庁食品表示課課長の相本浩志さんが「健康食品の表示をめぐる現状」と題して報告しました。I.「健康食品の概要」、II.「健康食品の表示制度」、III.「健康食品の表示の取締」、IV.「健康食品の国際ルール」の四項目に沿って説明があり、新たに消費者庁の許可事務となった特定保健用食品の許可手続きについても詳しく説明が行われました。報告への質問があり、以下そのいくつかを紹介します。

〇印は質問・意見、→印は回答です。

{消費者庁の「特保」の許可の現状やコーデックスの「健康強調表示の科学的実証に関する勧告案」についての質問。日本の「特保」制度への疑念や再評価・許可取り消しの必要性、申請者のデータを予防原則に従って評価すべきとの意見要望。機能性の効果判断についての質問。食品表示の一本化への意見、映像CMの検証の要望。}などの質問意見を踏まえて相本さんから以下の発言がありました。
この制度については健康食品が2万〜3万と溢れているなかで、一定の科学 的根拠があれば表示を認めよう、底上げをはかろうという判断もあったのではないか?「特保」の許可を一度受けたらそのままでなくて新しい科学的な知見や積極的な再評価をすべきとのご意見はあるし、許可の際のデータ−がメーカー提出のデータ−に頼りすぎではないかとの批判もあります。今でも、メーカデータを外部の第三者研究機関からとしている場合もあるのでこれらをどのようにルール化するのかが論点のひとつになります。特保以外の健康食品では健康機能の表示は出来ないはずですから、消費者誤認を与えていると言うことがあれば、情報提供いただければ対応します。テレビCMについても印刷メディア、インターネットと同様に監視指導しているつもりですが至らないところがご指摘いただき、健康食品の表示検討会でまとめ、論点整理し、消費者委員会にも伝えて行きたいと考えています。

{健康食品に頼って正しい医療行為を受け入れない人が増え、被害に遭っている人も多いのではないかと考えています。}とのご意見があり、これに対して相本さんから要旨以下の回答がありました。
健康上の障害を抱えている方は、健康食品と医薬品との飲みあわせなど、医師や薬剤師などの協力を得るべきですし、広い意味で情報提供をしっかり行い、健康食品との付き合い方をどうするのか考えていけるようにしたい。

{食品会社にとって「特保」指定の意味はどんなものがありますか。}との質問が花王の報告者の一人である安川さんにあり、以下の要旨で回答がありました。
「我々としては世界に先駆けて薬とは違う食品の機能を評価して、表示して、 それを健康改善に役立てていただく」と理解しているので、非常に意味があると思います。いくつかご指摘の今回の問題点は制度を改善すべく、努力しているのであって、この制度は止めるべきではなく、より良いものにすべきと考えています。

報告2:「『エコナ』のその後―第1回学習会参加者からの質問を中心に」

司会進行の阿南から「ホントのことを知りたい学習シリ−ズ 『トクホ』と『エコナ』学習会その1」で出された質問について取りまとめて紹介し、それを受ける形で今回の報告2が行われました。花王株式会社の執行役員安川拓次さんと品質保証本部本部長理事青木秀子さんから、2009年10月23日に開催された「トクホ」と「エコナ」学習会その1で出された参加者からの質問に改めて答える形で報告がありました。
前回の質問は22項目に整理され、さらに「グリシドール脂肪酸エステル、エコナの安全性、花王の対応、特保」の四つに分類し、それらの質問への回答として「(1)グリシドール脂肪酸エステル(GE)の発ガン性の可能性について(2)グリシドール脂肪酸に関するドイツの状況について〜ドイツにおける3-モノクロロプロパン-1,2-ジオール(3−MCPD)とグリシドール脂肪酸エステルの対応状況〜(3)“念のため”のジアシルグリセロールの発がんプロモーション試験について(4)エコナの安全性に関する弊社の試験について(5)グリシドール脂肪酸エステルに関する今後の研究について」と題してそれぞれにつき、丁寧な報告が行なわれました。

ドイツの体内動態についての動物実験といわゆる「念のため試験」の評価への意見や安全性評価の仕方についての質問があり、花王の安川さんから以下の趣旨の回答がありました。
{ここに示したドイツのプロジェクトは定量、低減を主体にしています。体内動態については別の機関で取り組まれており、かれこれ3年が経過するが、十分な結果は得ていません。そこに関してはウオッチが必要ですし、最終的にどのようなリスクの判断になるのかを見ていく必要があります。いわゆる「念のため試験」についても審議途中であり、資料に記載したように、どういう結果が出るのかを見届けて行きたいし、それらを踏まえて、全部見た上で再申請をしようと考えています。
{効果の判断については「特保」は人に食べていただいて、臨床的な試験の中で立証し、有効性を評価する、そういう制度になっています。}

再審査に向けての今後のコミュニケーションプランはどうなっていますか?}との質問があり、花王の青木さんから要旨以下の発言がありました。
{丁寧に詳しくご説明させていただかないとなかなか全容が伝えきれないなと感じています。出来るだけ個別にお話しする機会やきちんと意見交換の出来る場があれば参加したいと考えています。情報は全部出したいと思いますので、皆さんの協力も得てもっとより良い方法を検討したいと考えています。}

{データの客観性の担保は今までどうしていたのか?今後はどうするのかについて教えていただきたい。}との質問に消費者庁の相本さんから要旨以下の回答がありました。
{今後どうするかについては、これ以上コストをかけてという選択はないと思います。どれだけデータに透明性を持たせるかだと考えています。外部に委託する場合の基準とか審査の際により解かりやすい形での提供を求めるとかを今後検討していきたいと思います。}

  10名の参加アンケート記載がありました。このうち3件の感想を紹介します。
行政、メーカー両方からの意見を聞くことができ、参考になった。行政の立場からすると具体的な内容は答えられない。今までの法解釈が中心となり物足りなさを感じた。
消費者庁のリスク管理機関としての安全性を確保するリーダーシップを望みます。グレーゾーンにある問題には予防的視点が必要です。
丁寧に健康食品、特保、食品の健康強調表示、発ガン性とリスクの大きさ(ハザードと暴露量)の説明はわかりやすくてよかった。花王さんはねばり強くわかりやすい資料をつくってくれて、ありがたい。よく理解するには時間がかかります。

 司会進行の阿南から「この学習会のまとめとして、ある地域の地方消団連が前回のその1の学習会をヒントに地元で「トクホ」と「エコナ」学習会を実施しました。

 そんな形で各地での学習会が取り組まれと、より広い消費者にきちんとした情報が伝わっていくと思います。それぞれ工夫して学習会を取り組んでいただきたいと思います。全国消団連としても「その3」の学習会は企画を工夫して、皆様にお声がけさせていただきます。本日はご参加ありがとうございました。」と閉会の挨拶がありました。