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全国消費者団体連絡会
各政党の消費者政策に関するアンケート集約結果
 

【趣旨】

 衆参両議院全会一致で設置が決まった消費者庁と消費者委員会。8月11日の閣議で9月1日の発足が決まりました。

 消費者庁と消費者委員会の設置にあたっては、衆参両議院で長時間にわたり、消費者をめぐる現状と問題が論議されました。

 今年は立法の場で消費者問題にスポットが当てられ、新しい機関が作られて消費者行政が大きく変わる年です。更には衆議院選挙も実施されます。新たな仕組みに魂をいれ、設置目的の実現のために正しく行動するかをチェックするのは、政治の重要な役割です。

 そこで、全国消費者団体連絡会は、立法府に集う政党が消費者をめぐる様々な問題をどう捉え、その解決に向けてどのような方針や政策を持たれているのかを改めて知ることが必要だと考え、基本的な消費者政策、地方消費者行政の強化、消費者庁と消費者委員会など、政党の消費者政策アンケート調査を実施しました。

 衆議院選挙を控えて大変お忙しい中、ご回答いただいた政党には改めて御礼申し上げるとともに、すべての政党に消費者問題の解決に向けて、引き続きご尽力いただくことを、心より要望いたします。

 アンケート用紙をお送りした政党

自由民主党、公明党、民主党、日本共産党、社会民主党、国民新党、改革クラブ、新党日本、新党大地

 ご回答いただいた政党

自由民主党、公明党、民主党、日本共産党、社会民主党、国民新党

アンケート期間

7月29日発送−8月7日回答

【アンケート集計結果】

 設問の順に並べ替えていますが、記述内容は原文のままです。

1.貴党の基本的な消費者政策についてお教えください。
(1)国全体を通じての消費者政策についてお聞かせください。
自由民主党  近年、中国製冷凍ギョウザ事件、ガス湯沸かし器による一酸化中毒事故、こんにゃく入りゼリーによる窒息事故、牛肉やうなぎの産地偽装など相次ぐ食品表示偽装、高齢者を狙った悪徳商法など、国民の身近なところで大きな不安をもたらす問題が相次いで起こっている。
 消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に向け、消費者行政の司令塔として強力な権限をもつ消費者庁を2009年9月中に発足させる。
 また、国民の誰もがアクセスしやすい一元的な消費者相談窓口の構築のため、都道府県に造成される基金を活用し、地方の消費生活相談体制を強化するなど、地方消費者行政を抜本的に強化する。
 さらに、消費者が被害にあわないようにするため、消費者教育を推進する。
公明党  食品等の表示や製品の安全性、多重債務などの消費者問題に対して、真に生活者の立場に立って解決を図るための体制整備が必要。このため、縦割り行政を廃した消費者庁を2009年9月中に発足させる。
 また、消費生活センターなどが、障がい者、高齢者を含めたすべての消費者にとって分かりやすい相談窓口となるよう万全を期すとともに、相談員の能力向上を図るための教育・研修の拡充や、人件費の拡充などの処遇改善を図る。
民主党 (1)地方消費生活相談行政の強化、拡充
 2009年の171回通常国会で消費者庁及び消費者委員会設置法、消費者安全法など消費者関連法が与野党修正協議の結果、成立しました。これまでの省庁縦割り・業者行政に対し、「監視」の視点で横串を通し、消費者目線に立って業者に対する規制権限を適切に行使する中央行政組織がスタートします。
 民主党は、消費の現場で発生する問題の「相談」「あっせん・解決」を実効的に行う地方消費生活センターの強化、拡充を進めます。そのため、消費生活相談員の権限、地位、処遇の改善について法的整備も含め取り組みます。また、各自治体における地方消費者行政の充実を図るため、条例制定や議会決議を促進する運動を進めます。

(2)危険情報公表法の制定
 自動車や回転ドア、公園遊具など、消費者に危害を及ぼすおそれのある製品・物品等に関する情報について、消費者の立場に立って企業に公開を義務付ける「危険情報公表法」を制定します。これにより、一般消費者には製品等の危険情報が迅速に提供され、被害の発生を防ぐことができます。

(3)消費者団体訴訟制度の充実と違法収益はく奪制度の創設
 消費生活相談の過半を占める財産被害の救済と、消費者団体訴訟制度を実効性のあるものにすることが喫緊の課題です。
 民主党は、消費者の立場に立って消費者団体訴訟を支援し、悪徳業者が違法に収集した財産をはく奪する制度作りに取り組みます。また、消費者契約やカード利用等に関する知識も含め、消費者教育の充実を図ります。

日本共産党  消費者被害の背景には、政府が企業のもうけのために「規制緩和」をすすめ、従来の「事前」規制をやめて、問題が起きてからの対処に重点を置いた「事後」チェックへ切りかえたことがあります。日本共産党は、消費者の安全・安心よりも、企業のもうけを優先する政治をきりかえ、国、地方自治体、企業の責任で、「事前」の規制も「事後」のチェックもきちんと実施させて実効ある措置をめざし、安全・安心をはじめとした「消費者の権利」をまもります。
 そのためにも、
 (1)食の安全をまもる輸入食品の検査体制や、製品の安全をチェックする体制の強化、
 (2)最前線で消費者問題に当たっている消費生活相談員の劣悪な待遇の改善など、地方消費者行政の人員・予算の拡充、
 (3)違法収益の剥奪とそれを原資にした消費者被害を救済する制度の拡充、
 (4)団体訴訟制度拡充やPL法の拡充、消費者庁の所管する法律の整備・拡充など、消費者の権利を実現するための総合的法整備、
 (5)消費者教育の充実
 などをすすめます。
社会民主党  中央省庁は、産業育成や事業者規制中心の発想が主で、消費者の視点というのが残念ながら弱く、社民党としても、消費者の目線で考え、生活者の利益を追求する消費者庁的な行政機関の創設を求めてきました。社民党は、長年活動してこられた消費者団体、法曹界、消費者行政を草の根で支える相談員の皆さんと連携しながら、修正協議を速やかにまとめ、実効性ある消費者庁を早期に発足させるべきという主張を行い、積極的に取り組んできました。国会審議においても、社民党の粘り強い努力で与党に清水の舞台から飛び降りさせ、民主党にルビコン川を渡らせることができたと受け止めています。もちろん、消費者庁の設立は、消団連、日弁連、ユニカネットはじめ多くの市民の皆さんの運動の成果でもあります。
 国の行政は、生産・流通・消費という全般にわたって、バランスのとれた対応と対策が必要です。しかしながら、これまでは、ややもすると行政は生産者団体の声を優先するきらいがありました。生産活動と消費活動は、お互い持ちつ持たれつの関係にあり、消費者庁の設置によって、公平、公正な視点での行政が進むことを期待します。消費をめぐるトラブルや悲劇を未然に防止するために、情報の収集と開示が必要であり、そのことは、結果的に生産者にとってもプラスに働くことになります。
 縦割り行政を打破し、総合的・統一的な消費者行政を可能にし、消費者庁が本当の意味で消費者の立場でその権利利益を実現するものにしていかなければなりません。同時に、他の省庁の行政についても産業や業界優先ではなく消費者優先の発想で組み替えていくことも必要です。そういう意味で、消費者庁の任務、消費者委員会の権限・独立性、そして自治体における消費者行政の充実については、今後の活動のなかで検証されなければなりません。

(国による消費者政策について)

 社民党は総選挙政策で以下の点を訴えています。

  • 生活環境の中で使用されることによって起こる化学物質の被害を未然に防止するため、「生活環境で使用する殺虫剤等の規制に関する法律」を市民とともに制定
  • 高齢者や障がい者も気軽に買い物を楽しみ、社会参加が行われることを目指し、地域福祉拠点施設としての「ショップ・モビリティ」(街の中心部に事務所を設け、電動スクーターや車椅子などを無料で貸し出し、必要に応じてボランティア等の付添いも行うことによって、移動が困難な人が自由に商店街の中をみて回ったり買い物をしたりできるサービス)を推進
  • 携帯電話の基地局建設等への基準作り及び電磁波が人体に与える影響の調査
  • 悪質商法への規制強化
  • 消費者教育の充実
  • 製造物禁止法の見直し
  • 消費者の権利の拡大(消費者の権利(CI「8つの権利」=(1)基本的必要が満たされる権利、(2)安全の権利、(3)知らされる権利、(4)選ぶ権利、(5)聞いてもらう権利、(6)救済を受ける権利、(7)消費者教育を受ける権利、(8)健全な環境を享受する権利)を消費者基本法の中にいかし、消費者の権利保障、情報公開、透明な取引ルール、トラブル解決システム、被害者への補償、環境保全への配慮等を盛り込んだ消費者関連法の整備・拡充)
  • 「消費者団体訴訟制度」の拡充(損害賠償制度の導入や適格団体への財政的支援等を盛り込むことや、特定商取引法や景品表示法への団体訴権導入に続いて独占禁止法や割賦販売法、個別の業法についても早期導入をめざします。消費者の権利拡大と被害の予防、救済を図るため、消費者契約、広告、訪問販売、金融商品、消費者金融、不動産、通信販売、電子商取引など広い分野で団体訴権の導入をめざします)
  • 消費者被害の情報収集啓発を行う消費者団体に対し、関係する情報を提供するとともに、活動のための施設や資金の確保等の環境整備
  • 国民生活センターの強化(予算・人員をしっかり確保し、権限と直接相談、商品テストの機能を維持・強化)
  • エレベーター事故をはじめとする生活空間事故をまとめた調査機関をつくることを検討
  • 鉄道営業法の改正
  • 警察、消防、保健所などとの連携

 など

国民新党  日常生活に必要な財・サービスの消費者は、市場経済の仕組みを通じて、多様性・利便性・快適性・選択の自由等の豊かな生活環境を享受する半面、事業者と比べて情報や交渉において構造的弱者の立場にあり、近代史において数多くの被害や犠牲を経て今日に至っていると言えます。消費者政策はこうした格差是正の視点に立ち、自由放任の市場から、強者と弱者の存在を前提とした市場のルール作りを目指して組み立てられてきました。
 最近は、耐震偽装、ガス湯沸かし器事故、保険金不払い、食品の表示・原産地偽装など、国産・輸入品ともに消費者が危険にさらされる事件が絶えません。国民生活の安心・安全のためには、国による明確な消費者政策の策定が必要であると考えます
(2)地方消費者行政充実強化のための貴党の政策をお聞かせください。
自由民主党  消費者の安全・安心を確保するためには、国に立派な組織ができるだけでは不十分で、地方の現場における消費者行政の強化も不可欠である。
 このため、今後3年程度を地方の消費者行政強化のための“集中育成・強化期間”と位置付け、国から交付金を配分して都道府県に基金を造成し、消費生活センターの設置・拡充、相談員の配置・レベルアップなどに取り組む地方公共団体を支援することとしている。
 また、国民生活センターにおいても、経験豊富な消費生活相談員が市町村窓口でOJTを実施するほか、相談員養成のための研修の拡充等を行うこととしている。
 さらに、地方公共団体の自主財源を拡充するため、消費者行政に係る地方交付税措置を平成21年度に倍増している。
公明党  消費者の安全・安心を確保するためには、国に立派な組織ができるだけでは不十分で、地方の現場における消費者行政の強化も不可欠である。
 このため、今後3年程度を地方の消費者行政強化のための“集中育成・強化期間”と位置付け、
 (1)国からの交付金をもとに都道府県に基金をつくり、消費生活相談窓口を強化しようとする地方公共団体を支援する
 (2)国自らの支援として国民生活センターを活用し、経験豊富な消費生活相談員が市町村窓口を巡回訪問して支援するほか、相談員研修の充実を図る。
 なお、消費生活相談のための財源が拡充されるよう、消費者行政に係る地方交付税措置を平成21年度に倍増している。
民主党  消費の現場で発生する問題の「相談」「あっせん・解決」を実効的に行う地方消費生活センターの強化、拡充を進めます。そのため、消費生活相談員の権限、地位、処遇の改善について法的整備も含め取り組みます。また、各自治体における地方消費者行政の充実を図るため、条例制定や議会決議を促進する運動を進めます。
日本共産党  消費者からの相談が増えているにもかかわらず、各地の消費者センターでは人員が増えず、相談員の待遇は年収150万円未満が45・6%であるなど劣悪です。また、消費者相談が複雑で多岐になっており、消費生活相談員には専門的な知識が必要であるにもかかわらず、現在の消費生活相談員のほとんどが非常勤であり、5年などの雇い止めもあります。研修の機会も不十分です。消費者行政の最先端にたつ地方自治体の消費者予算・人員の増加と相談員の待遇改善はまったなしです。消費者庁法案審議でも主張し、修正案にも盛り込まれた人件費への国からの財政措置を具体化し、補助金を実現・拡充します。
社会民主党  地域の現場で消費者本位の行政が行われる必要があり、本丸であり第一線の地方消費者行政・相談機能を強化していくことがなによりも不可欠です。今回の消費者安全法によって、地方の消費者センターの法的位置づけが明確となります。しかし地方消費者行政や相談機能は、ここ10年の「行革」や財政難もあり、予算も半減し惨憺たる状況といっても過言ではありません。消費生活センターなどの相談窓口がなかったり、あっても相談員が一人だけだったりする地域も少なくありません。さらに、現場で消費者のため、熱意や正義感、使命感で何とか持ちこたえている消費生活相談員の身分や処遇も劣悪な状態にあります。消費生活相談員は非常勤が多く、3〜5年で自治体などが契約を打ち切る「雇い止め」も問題となっています。本当に頭が下がる思いがします。
 地方消費者行政の充実には、まず何よりも自治体や現場における取り組みが欠かせません。各自治体において、国会における地方消費者行政の充実に向けた附帯決議や国会答弁、また地方消費者行政活性化基金や「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」(1兆円)、地方交付税措置の増額を活かしながら、創意工夫をこらして予算確保に努め、消費者行政に携わる人材の支援・育成、相談体制の強化、相談員の処遇改善消費者行政の総合的な事業拡大、相消費生活相談窓口の整備、アクセスの改善及び法執行を担う行政担当課との連携強化などを進めていきます。
 常設の消費者相談窓口を設置していない自治体においては、常設の消費者相談窓口を設置するよう求めていきます。まわりの市町村と連携し、消費生活センターの共同設置を追求します。県と市町村の消費者行政担当による協議会の設置、消費生活相談員の事例研修会等の開催など、相談員の専門知識や相談能力の向上を図る機会を設定するように求めます。
 地方の声、現場の声を国の消費者行政に反映させていくため、「消費者安全の確保に関する基本的な方針」についての都道府県知事による変更提案(消費者安全法第7条)を活用し、消費生活相談等の事務の実施を通じて得られた知見に基づき積極的な提案を行うよう求めていきます。また、当該都道府県の区域内における消費者被害の発生・拡大阻止を図るために行う、消費者安全の確保に関する必要な措置の実施要請(消費者安全法第21条)の規定を活用するようにします。
国民新党  地方消費者行政を国が支援する目的で、地方消費者行政活性化基金として平成20年度補正予算で150億円が交付されたが、人件費に充てられないとの運用規定により相談員の処遇改善には役に立たず、また平成21年度補正予算での110億円の交付金も人件費の一部に充てることができると緩和されたが、追加人員あるいは超過時間への運用にとどまり、相談員の非正規職員、平均年収160万円という「ワーキングプア」問題を改善するには無力な内容であったと言えます。
 これから消費者行政の第一線に立つ相談員が 使命感をもち職務を全うするには、優秀な人材の確保とそれにふさわしい待遇条件を早急に整備する必要があると考えます。
2.消費者庁について
 消費者庁の機能としては、○消費者関連法を所管する、○所管しない法律については、所管官庁に司令塔の役割を果たす、○所管する官庁がない(すき間)事案には直接対応する、○法律がない場合や不十分であるなどの場合についての企画立案とされています。そして7月1日に設立準備参与が任命され、消費者庁の機能と役割について審議が始められています。
(1)設問1.でお答えいただいた貴党の消費者政策を実行するにあたり、消費者庁には具体的にどのような機能と役割、人員体制が必要だとお考えでしょうか。
自由民主党  消費者庁は、「消費者を主役とする政府の舵取り役」として、地方の消費生活センターや保健所、警察、消防、病院等の関係機関からの情報を一元的に集約・分析し、迅速、的確にこれを公表、消費者への注意喚起を行う。また、こうした情報をもとに、司令塔として迅速に対応方針を決定する。具体的には、自ら所管する法律により対処可能なものは迅速に対処することは言うまでもなく、各省庁の所管法律による措置がとれるものについて必要な場合は当該措置をとるよう各省庁に要求する。さらに、いわゆる隙間事案において緊急の場合に自ら措置を講ずる。
 こうした機能と役割を果たすため、所要の機構、定員、予算を各府省から移し替えを行うこととしているが、さらに専門的な知見を有する非常勤職員を確保し、常勤職員とあわせて、消費者庁の機能を十分に発揮できる体制とする必要がある。
公明党  消費者庁は、地方の消費生活センターや保健所、警察、消防、病院等の関係機関からの情報を一元的に集約・分析し、迅速、的確にこれを公表する。消費者被害の防止のための措置としては、(1)消費者への注意喚起を行う、(2)各省庁の所管法律による措置がとれるものについて必要な場合は当該措置をとるよう各省庁に要求する、(3)他の法律の規定に基づく措置がないような、いわゆるすき間事案において緊急の場合は、事業者への勧告、従わない場合の命令、急迫した危険がある場合に譲渡を禁止するなど自ら措置を講ずる。
 こうした機能と役割を果たすため、専門的な知見を有する非常勤職員を確保し、常勤職員とあわせて、消費者庁の機能を十分に発揮できる体制とする必要がある。
民主党  消費者庁及び消費者委員会の機能・役割また人員体制については、171国会にて修正成立した「消費者庁及び消費者委員会設置法」はじめ関連法の内容、そして衆参両院における90時間に及ぶ国会審議、さらには57項目の附帯決議に、国会としての意思が集約されていると思います。
 その基本方向に則り、消費者政策の充実・強化のために取り組むべきだと考えます。
日本共産党  消費者庁には、消費者行政の「司令塔」として、まさに消費者の視点から、政府全体の消費者行政の実効ある一元化・強化を推進していくことが求められます。
 具体的には、まず、法律に規定された役割を積極的に果たすことですが、そのためにも、消費者庁や各省庁の消費者行政部門、地方自治体、消費者団体に寄せられる消費者被害や事故情報を一元的に収集し分析・公表を徹底することです。
 消費者庁が、消費者の目線の行政を行っていくためには、必要な人員を配置するとともに、実際に消費者相談など現場の経験をもつ方々などによっても構成される必要があります。
社会民主党  縦割り行政を打破し、総合的・統一的な消費者行政を可能にし、消費者庁が本当の意味で消費者の立場でその権利利益を実現するものにしていかなければなりません。消費者庁職員の大部分を独自のスタッフとして身分保障すること、有能な人材を民間から大胆に登用することが必要です。
 また、今後、法律の共管を極力なくし、できるだけ多くの法の所管を消費者庁に移管していくことが必要です。
国民新党  消費者庁の設置は、消費者行政の司令塔として、消費者の利益を第一に考え、その意見や苦情の窓口となり、政策に直結させる目的とともに、省庁の縦割りを是正する狙いもあります。発足一ヶ月余りに迫っている現在、内閣府・公正取引委員会・農林水産省など9府省1委員会から業務や人員が移って新設する外局は1971年の環境庁(現環境省)以来38年ぶりであり、準備作業が急がれています。組織が準備されても、実際に息を吹き込むのはトップの長官であり、国民本位の行政の旗印として発足する消費者庁の権限のあり方や長官の人選が何より重要となります。他の省庁に対して毅然とした態度で臨むことができる人物であるとともに、官僚主導と批判されない人選が期待されるところです。また、人員体制においては、官庁として最小限の200人余の職員規模、また寄せ集めという環境条件ですが、選りすぐられた人材でスタートを切るべきであると考えます。
(2)貴党がお考えの消費者庁の機能と役割、人員体制の実現に向けて、貴党として実行していること、もしくは今後取り組もうとお考えになっていることは何ですか?
自由民主党  我が党では、一昨年に消費者問題調査会を設置し、消費者庁及び消費者委員会の設立に関し、積極的な取り組みを行ってきたところ。
 消費者庁が「消費者を主役とする政府の舵取り役」として、十分な機能を果たせるよう、我が党としても支援してまいりたい。
公明党  消費者庁が、真に生活者の立場に立って、十分な機能を果たせるよう、我が党としても支援してまいりたい。
民主党  消費者庁及び消費者委員会の体制について、政府は9月1日のスタートを想定し準備を進めているようです。しかし、麻生政権が選挙管理内閣となっている現在、総選挙後の政権体制がどのような形になるのかも分からない中で、拙速に組織を発足させるべきではないと考えます。
 そのため、民主党は7月16日政府に対し「消費者庁及び消費者委員会委員の再考を求める」談話を表明し、さらに8月5日には、立法府の意思を踏まえた国民の期待に応えうる新組織をつくるため、次期政権発足まで十分な準備期間をとるよう、河村官房長官に申し入れを行いました。
日本共産党  消費者庁が、その役割をはたしていくためには、二つのことが必要です。一つは消費者庁自身へのチェックです。私たちはこれまで、各省庁の消費者行政を厳しくチェックしてきましたが、今後は、消費者庁が、消費者の立場から消費者行政の司令塔の役割をはたしているかどうか厳しくチェックしていきます。もう一つは、消費者庁の機能拡充です。事業者への調査権限の強化や父権訴訟など、消費者庁が実効ある消費者行政を推進するための法整備の検討をすすめていきます。
社会民主党  官僚主導の人選ではなく、消費者本位の消費者庁、消費者委員会の発足となるよう、申し入れを実施しました。全会一致の修正で成立した法律であり、附帯決議も数多く付されているのであるから、国会審議と決議を踏まえた人選を行うべきだし、各会派や運動団体にも説明や理解を求めるべきです。
国民新党  現在実行していることはありませんが、今後取り組みを進めていく方針です。
3.消費者委員会について
 衆議院と参議院の附帯決議で「消費者委員会は、自ら積極的に調査審議を行うとともに、内閣総理大臣等への勧告・建議を始め、その与えられた機能を積極的に行使し、消費者の利益の擁護及び増進のため、適切にその職務を遂行すること。(衆議院2項、参議院3項)」とされています。そして7月1日に設立準備参与が任命され、消費者委員会の機能と役割について審議が始められています。
(1)設問1.でお答えいただいた貴党の消費者政策を実行するにあたり、貴党として消費者委員会には具体的にどのような機能と役割、事務局体制が必要だとお考えでしょうか。
自由民主党  消費者委員会は、消費者の意見が直接届く透明性の高い仕組みであり、かつ、消費者庁を含めた関係省庁の消費者行政全般に対して監視機能を有する、独立した第三者機関となる。
 具体的には、消費者の利益の擁護増進に関する基本的な政策等に関する重要事項について、自ら調査審議し、関係大臣等に建議するほか、関係大臣等の諮問に応じて調査審議するとともに、消費者安全法の規定により内閣総理大臣に対し必要な勧告をし、これに基づき講じた措置について報告を求めること等の業務を行うこととされている。
 消費者委員会に課されたこれらの役割を果たすためには、十分な運営体制が必要であり、これに対応できる事務局体制が必要と考えている。
公明党  消費者委員会は、消費者の利益の擁護増進に関する基本的な政策等に関する重要事項について、自ら調査審議し、関係大臣等に建議するほか、関係大臣等の諮問に応じて調査審議する。また、消費者安全法の規定により内閣総理大臣に対し必要な勧告をし、これに基づき講じた措置について報告を求める権限をもつ。消費者委員会に課されたこれらの役割を果たすための十分な事務局体制が必要である。
民主党  消費者庁及び消費者委員会の機能・役割また人員体制については、171国会にて修正成立した「消費者庁及び消費者委員会設置法」はじめ関連法の内容、そして衆参両院における90時間に及ぶ国会審議、さらには57項目の附帯決議に、国会としての意思が集約されていると思います。
 その基本方向に則り、消費者政策の充実・強化のために取り組むべきだと考えます。
日本共産党  消費者委員会には、消費者の目線で、消費者庁および政府全体の消費者行政を厳しくチェックすることが求められます。具体的には、まず、法律に規定された大臣への勧告権などを用いて、その役割を積極的に果たすことです。同時に、さらなる機能強化が必要と考えます。たとえば、消費者委員会が、問題となっている事業者を調査することができるような権限強化などです。
 また、役割を果たす上で、消費者庁に集約される消費者被害や事故情報についての消費者委員会独自の分析が必要です。事業者への調査や委員会自身による分析を十分に行える事務局体制の整備が必要です。
社会民主党  消費者委員会は、自ら積極的に調査審議を行うとともに、内閣総理大臣等への勧告・建議を始め、その与えられた機能を積極的に行使し、消費者の利益の擁護及び増進のため、適切にその職務を遂行することが求められています。「消費者Gメン」的な機関として、委員会の機能が果たせるよう、人員を含め十分な事務局体制を確立すべきであると考えます。消費者委員会の独立性を担保するため、その事務局については財政上の措置を含めた機能強化を図るとともに、職員については専任とするようにしなければなりません。また、事務局職員の任命に当たっては、多様な専門分野にわたる民間からの登用を行う必要があります。
国民新党  消費者委員会は消費者庁の「お目付け役」として、10人以内の委員で構成され、消費者被害の事件等において首相に勧告すること、委員会独自の判断をするために各省に資料提出を要求できることなど、強力な権限を有します。行政側の対応の遅れや過ちなどを、行政内部から監視して防止する重要な役割を持っていると言えます。この委員会が十分に機能すれば、消費者被害の拡大を防止できるということを考えれば、権限と責任の重い委員の人選において、すぐれた見識と経歴の人材を公正に選出することが重要であると考えます。
(2)貴党がお考えの消費者委員会の機能と役割、事務局体制の実現に向けて、貴党として実行していること、もしくは今後取り組もうとお考えになっていることは何ですか?
自由民主党  我が党では、一昨年に消費者問題調査会を設置し、消費者庁及び消費者委員会の設立に関し、積極的な取り組みを行ってきたところ。
 消費者委員会がその業務を円滑に実施できるよう、我が党としても支援してまいりたい。
公明党  消費者委員会がその業務を円滑に実施できるよう、我が党としても支援してまいりたい。
民主党  消費者庁及び消費者委員会の体制について、政府は9月1日のスタートを想定し準備を進めているようです。しかし、麻生政権が選挙管理内閣となっている現在、総選挙後の政権体制がどのような形になるのかも分からない中で、拙速に組織を発足させるべきではないと考えます。そのため、民主党は7月16日政府に対し「消費者庁及び消費者委員会委員の再考を求める」談話を表明し、さらに8月5日には、立法府の意思を踏まえた国民の期待に応えうる新組織をつくるため、次期政権発足まで十分な準備期間をとるよう、河村官房長官に申し入れを行いました。
日本共産党  当初の政府案では、消費者庁のなかに消費者委員会がありましたが、議論の結果、全会一致で消費者庁の外におき、権限強化を盛り込みました。これを実効あるものにするために、日本共産党は、委員の人選のあり方、運営のあり方、事務局体制の強化をはじめ、一つひとつの事案で「消費者の権利を実現する」ことが貫かれるように奮闘します。委員会の監視機能を高めるための調査権限の強化などの検討も行っていきます。
社会民主党  官僚主導の人選ではなく、消費者本位の消費者庁、消費者委員会の発足となるよう、申し入れを実施しました。全会一致の修正で成立した法律であり、附帯決議も数多く付されているのであるから、国会審議と決議を踏まえた人選を行うべきだし、各会派や運動団体にも説明や理解を求めるべきです。
国民新党  現在実行していることはありませんが、今後取り組みを進めていく方針です。
4.その他、消費者行政の充実強化に向けて、補足のご意見などございましたら、お聞かせください。
自由民主党  これまで、我が国の行政の仕組みは、生産者利益中心の行政であり、消費者に対しては、製品やサービスの生産者・提供者に対する所管官庁の規制を通じて、産業振興の補完的な範囲内でのみ、「消費者保護」を行うという体制だったといえる。このため、これまでは産業ごとの縦割りで消費者行政を担当してきた。
 しかしながら、グローバル化、複雑化した社会においては、消費者問題は省庁をまたがって発生しており、従来の縦割り行政では、対処することが難しくなっている。社会が成熟した今、国民が安全安心や豊かな生活を重視するようになり、我が国の行政のあり方は大きな転換を迫られていると言える。
公明党  悪徳業者などの「やり得」を許さず、被害者の泣き寝入りを防ぐため、不当な収益の散逸の防止・剥奪により被害者を救済する制度の実現が重要。
民主党  171国会における衆参両院の消費者問題特別委員会での議論、また両院で57項目にも及ぶ附帯決議などで数多くの問題が指摘されました。問1での回答にも関連しますが、民主党は、地方消費者行政の充実・強化や、消費者団体訴訟制度の拡充、さらには違法収益はく奪制度の創設など、今後とも重要な課題解決に向け取り組んでまいります。
日本共産党  消費者庁とともに、恒常的な委員会として消費者問題特別委員会が設置されました。消費者行政をチェックし、法律や仕組みを有効に機能させ、また、不備な点の拡充や法律の見直しをする上で重要な委員会です。この消費者問題特別委員会をはじめ、各委員会で、消費者庁、各省庁の消費者行政をチェックしていきます。産業優先や規制緩和で、企業よりに制定されてきた法律を見直し、地方の消費生活相談体制、輸入食品や製品の安全をチェックする体制を強化して、消費者・国民の安全・安心を確保していきます。
 日本共産党は、国民のみなさんのご意見や要望、運動とごいっしょに、消費者行政を実効あるものにすすめていきたいと思います。
社会民主党  相談員の処遇改善も含めた自治体の消費者行政への支援、被害者救済制度、消費者基本計画のありかた地方消費者行政支援策について、地方消費者行政活性化事業終了後の4年後以降のあり方、消費者団体訴訟制度への損害賠償請求権の導入や違法収益の剥奪に関する検討、消費者団体訴訟制度を担う適格消費者団体や消費者啓発を行っている消費者団体への助成、消費者団体向けの研修などの消費者団体の育成・機能強化について、今後も論議を深めていかなければならないと考えています。
 各省庁に消費者政策専任セクションを設置するなど、各省庁の行政執行全体における消費者視点の強化策を講じます。
 今回の法案成立を踏まえ、各地で活動している消費者団体・相談員団体・弁護士会・司法書士会などとも十分連携をとりながら、自治体議会における質疑や問題提起、対自治体要請(消費者行政担当課だけでなく財政担当や首長にも)などの取り組みをいっそう強化するよう、各地方組織や各自治体議員に徹底しています。
国民新党  この度の消費者庁設置において、消費者の不利益となる各省庁間の縄張り争い的関係、「屋上屋を架している」などの批判を受けることがないように、国民新党はしっかり見守って行きたいと考えます。