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日清製粉(株)鶴見工場を見学しました。

 昨年12月10日、日清製粉(株)鶴見工場に7名で訪問しました。日清製粉では、商品の多くが業務用であるため、顧客といえばパンや麺などの業者であり、一般の消費者の見学は行ってきませんでした。また、消費者からの要望もなく小麦粉の工場を見ても面白い訳ではないし、菓子工場のようにお土産に菓子をもらえばうれしいけれど、小麦粉をお土産にもらってもうれしくないという認識から、見学者を意識しての工場建設をしていなかったこと、また小学生等の見学も危険予防の観点から実施してこなかったそうです。その結果、小麦粉がどのように生産されているかを知っている消費者は非常に少ないという問題意識から、日清製粉の小麦粉を購入しているパン屋や製麺業者だけでなく、消費者にも小麦粉の製造過程を知ってもらいたいとの趣旨から、今回の見学会を実施することになりました。

 日本で消費される小麦粉は年間500万トンから600万トンだそうですが、鶴見工場だけで60万トンを製造しているとのことだけあって、敷地だけでも横浜国際競技場の1.6倍もある広大な場所でした。

  1. 原料到着 大型貨物船が接岸できる埠頭があり貨物船から巨大な掃除機のようなニューマチックアンローダーで直接吸い上げ、小麦サイロに入れます。小麦の輸入先はアメリカ、カナダ、オーストラリアで約86%です。大型地震に対する供給責任を果たすため、現在埠頭とサイロの周囲を耐震補強の工事を行なっているとのことです。
     
  2. 製粉ライン 原料タンクから送られた小麦は粉砕する前に、まず精選して茎などの異物をとり除きます。ロール機で粉砕した小麦を胚乳部とふすまに分けそれを更にピュリファイヤーという機会で3段階の目の篩にかけます。この技術で小麦粉の品質はとても良くなったそうです。
     
  3. 品質管理 小麦の水分、灰分、吸水、蛋白等の基本的データ収集に加え、実際に食パンを焼いたり、ラーメン・うどん・パスタなど麺類にも加工して品質を見ているそうです。勿論、農薬のポジティブリスト制にも対応した検査もおこなわれていました。
     
  4. 小麦粉の保存 巨大な立体自動倉庫はその大きさに圧倒されました。業務用の小麦粉(25k入り)50万4,400袋収納可能だそうです。この工場では卸先に合わせて250種類の小麦粉を製造しているとのことで、コンピューターで管理されているこの倉庫から自動制御で小麦粉は出荷されていました。

 この工場では品質管理の国際規格であるISO9000を2004年に取得し、AIB(アメリカパン研究所)の食品安全監査では2007年にスーペリア(1000点満点中900点以上)を取得しているそうです。また食品安全システムの国際規格ISO22000の認証も受けるなど、外部監査機関の監査を積極的に受けて、製品安全の向上に努めているそうです。

 参加した一同が感心したのはAIBのシステムに組み込まれている自動ねずみ検知の装置です。ねずみが通過した痕跡があったらすぐに駆除の対策を取れるようにするための予防のための装置が、要所要所に置かれていました。機械類や消火器にいたるまで、掃除がしやすいように、ほこりがたまらないように設置されていました。ISOとAIBが大きく異なるのはAIBが現場の清掃が基本に考えられていることだそうです。

 巨大な工場であるにも関わらず、働く人が少ない印象でしたが、小麦や、小麦粉についての基礎的な知識も含め非常にいろいろなお話をうかがうことができました。

消費者団体からの質問に答えてくださる日清製粉担当者 ねずみが通った痕跡を調べる装置 毎日実際にパンを焼いて製品の品質を調べている