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3月28日(金)10:00〜12:30 プラザエフ5階会議室において 参加は消費者団体、生協関係者、食品事業者、マスコミ関係者など70名でした。 食品防御(food defense)とは、「人為的に食品に毒物等を混入することへの対応」のことである。被害者は数100万人に上る可能性があり、その規模の大きさから国際的にも大きなテーマになっている。これは、フードセキュリティ、フードセーフティとあわせて重要な考え方であり、WHOからもガイダンスが発表されている。 米国では、食品防御は「食品テロ」とみなして対策をとっており、HACCPを徹底すること、監視・検査を徹底することにより対応している。米国で監視が行われる理由の第一はユーザーの希望である。そういう意味で、日本の消費者はもっと声をあげていくべきだと思う。流通業者、製造業者に対して意見を伝えることによって、制度を作ることができる。 それに比べて日本は食品防御に対する対応が遅れている。日本にも大規模食中毒が発生した経歴があるが、いずれも「原因は特定しており、特殊な事例である」として扱われており、「一時期に大量の被害者が発生した場合」への対応について、救済措置を含めて議論がされていない。 日本でHACCPが定着しない。日本ではHACCPのために第三者の認証を求めたがるが、必ずしもそれは必要でない。認証を得ることよりも、その後の管理のほうが大切なことを認識すべきだ。HACCPとはむしろ安全な食品を供給するために事業者が実施すべき内容だという理解が必要だ。 日本において、公衆衛生を管理するべき保健所の機能にも課題がある。「公衆衛生」という概念が日本には少なく、専門家教育がすすんでいない。また、保健所は地方自治体が管理しているが、地方自治体の役割として正しく機能しているか検証するシステムがないことも課題だ。アメリカでは学校の出欠状況や薬品の販売状況、公園の衛生状況など異変をいち早く察知するためのサーベイランスが行なわれている。 中国の餃子事件については、中国側に言い分もあるだろう。しかし、この件について、夏にオリンピックが開催されることや、中国の国内施策として食品の安全に言及していることも原因だろうが、中国が日本に対して協力的である。生協の会長の発言に「今事件のそもそもの発端は昨年10月に宮城県で起きた『油のような染み』から原因を追求できなかったこと」とあった。これは非常にアメリカ的な発想で、食品を扱う事業者は、被害が起きる前に「普段とは異なる事象」に対応するような姿勢を作っていくことが必要だ。 経済的な格差について、中国内の食品産業の労働環境なども理解しなくてはいけない。 講演後の質疑応答ではHACCP等システムについての具体的な質問が多く出されました。 (○:会場からの質問 ●:講師回答)
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