[このページについてのご意見、お問い合わせなどはメールにて webmaster@shodanren.gr.jp までお送りください。]

全国消団連・トップページへ戻る


「消費者のためのFTA/EPA学習会」開催報告
 

 7月6日(金)全国消団連では「消費者のためのFTA/EPA学習会」を行いました。参加者は約60人でした。午前、午後の2部構成で、外務省、経済産業省、日本経団連、農林水産省、北海道、東京大学大学院教授の鈴木宣弘さんからご講演いただきました。参加者からはFTA/EPAについて理解が進んだとの感想が多く寄せられました。

 第一部は開会挨拶、趣旨説明を神田敏子事務局長が行った後、外務省の経済局経済連携課大鷹正人課長からEPAとはどんなものか、WTOとの関係、交渉相手国決定の基準や流れといった基本的なことを説明いただきました。さらに日豪でのポイントである経済関係がどうなっているか、豪州の対中貿易などと比べながら、この交渉の必要性などお話いただきました。

 次に経済産業省の通商政策局経済連携課中山正幸課長補佐からEPAの意義や目指す内容やEPAの経済効果について、日豪政府の共同研究による試算の数字などもとに説明をいただきました。又これまでのEPAによる経済効果や、資源エネルギー供給についての説明もされました。

 (社)日本経団連からは国際第一本部金原主幸本部長より日本経団連と日本商工会議所、日本貿易会連盟の提言として、このEPAの有効性と、配慮すべき点についてご説明いただき、消費者にとってのメリットなどの率直にお話いただきました。

 第二部は東京大学大学院 農学生命科学研究科農業国際専攻鈴木宣弘教授より「食料貿易自由化をめぐる極論と誤解」というタイトルで講演いただきました。

 最大の問題は議論のなかで消費者が不在であることであり、自給率が低く食料の多くを輸入に頼っている日本の関税率が高いわけがないこと、豪州と日本の農業条件の違いをどう見るか、食料自給率がさらに下がることは他国と比べて国家の安全保障上の問題がないのかなど述べられました。又国土の環境や国民の健康問題について、これ以上輸入が増えることで懸念されることをデータを使って説明されました。第一部で参加者からの質問への回答でも、デメリットは示されませんでしたが、教授からは消費者では読み取りにくいデータなども示されました。最後に消費者、国民の視点での議論がもっと必要で、充分議論し尽くされた上で、日豪の協議が行われることが望ましいと締めくくられました。

 次に農林水産省の大臣官房国際部三浦進参事官より、農業問題の現在の情況について日豪の比較から今後どうなっていくかという見通し、EPA交渉での農業分野においては、農林水産委員会で決議された内容に沿って粘り強く交渉することなど説明いただきました。

 最後に北海道農業・農村確立連絡会議を代表して北海道 農政部農業経営局橋本博行次長より、モデルの町での農業がもたらす経済効果の試算など用いて、今後北海道が受けるかもしれない影響について説明いただきました。

 第一部では参加者から、消費者へのデメリットはないのか、豪州は干ばつなのにEPAを結んでも大丈夫なのか、農業分野抜きのEPAはできないのか、現在エネルギー資源等関税がないのも同然だが後は農業分野しか残っていないのではないか、WTOから農業分野をはずせないのか、相手国にメリットはあるのか、といった質問が出されました。

 それに対して、共同報告書によれば日本の農業がセンシティビティーであると豪州は理解している、WTOから農業分野をはずすことは不可能である、どの国にも得意分野があり自国に優先的なことばかりは言えないがお互いに生産に影響のない程度の配慮はする、他国に他国とEPA結ぶなとは言えない、長期的な視点でみても日豪EPAは国家的戦略として重要だ、などの回答がありました。