地域の状況に応じた消費者政策を進めるために
消費者基本法制定や消費者被害・相談の急増を受けて、多くの県で「消費生活条例」の改正が行われ、事業者指導の強化など各地での取り組みが進んでいます。条例の活用をさらにすすめ、具体的に推進していくことが重要になっています。
[1]消費者基本計画の策定による、消費者行政の計画的な充実強化を
「消費者基本計画」が策定された(予定含む)のは17都県にとどまり、条例に策定の規定がない県が27道府県にもなります。消費者政策の推進にあたって計画ありきでないことは言うまでもなく、臨機応変で柔軟な対応も重要です。しかし、計画を策定し重点施策を決定するということは、行政が施策実施について意志を持つことであり、誰が、どこまでのことを、いつまでに行うのか、という具体的な推進方策を広く示すことになります。また、計画策定によって、その実施状況の検証・評価・監視が行われ、新たな施策につなげることが可能です。さらには、そこに消費者が参画し、意見表明を行うことも消費者の役割として重要です。
[2]消費者の申し出制度の活用促進を
ほとんどの県で、消費者の意見に積極的に答えるための制度として「申し出制度」(条例に違反する事業者の行為があるとき、または条例に定める措置が講じられないときに、措置を講ずるよう申し出ることができる)が規定されていますが、この3年間に申し出があったのは7都道県22件にとどまっています。活用されてこその制度であり、その活用を図ることは消費者・消費者団体の役割です。使い勝手が悪いなどの障害があるのであれば、その問題提起をしていくことも必要です。
[3]県域を超えた交流で、取り組みの普及を
消費者被害・トラブルは県域に関係なく、悪質な事業者の手口は共通するものも多くあります。そのような中で、被害の未然・拡大防止のための各自治体のさまざまな工夫・取り組みは、他の自治体にとっても参考となるものが多くあり、施策の交流を通して学び合い、先進的取り組みを普及していくことが必要です。
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