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「都道府県における消費者行政を考えるシンポジウム」開催しました
 

3月16日 主婦会館

 2001年より全国消団連が毎年実施している「都道府県における消費者行政調査」(以下「調査」)の、06年度の調査結果を受けて、シンポジウムを開催しました。調査結果、相談現場や行政の現場からの報告や問題提起を受けて、意見交換を行い、今後の消費者行政の更なる充実に向けて、どう取り組んでいくことが大切なのか考え合いました。各県の職員や消費生活センター職員・相談員、各県消団連・生協連をはじめ、研究者やゼミで市町村の消費者行政を調査する学生など、79名参加。

●2006年度調査を終えて

全大阪消費者団体連絡会
飯田 秀男さん

 消費者相談の現状からは、あっせん解決率の低下、時間を要する相談の増加、苦情処理委員会などの活用が見られない、不当な取引行為に関わる行政処分は、近年各県で強化して取り組まれている、消費相談業務の委託の動きが進んでいる、消費生活相談員の人材育成はされているものの、機会が少ないとの声もある、などがわかりました。

 消費生活条例については、「消費者基本計画」が位置付けられている県は多くなく、「申し出制度」の活用がされていないことがわかり、また、事業者への指導強化、消費者への情報提供、行政の計画・指針の策定が、条例の実効性確保で重視されています。

 市町村の状況は、消費生活相談窓口が設置されているところは、全市町村の半分以下でした。

 県の職員数、予算は減少傾向が続いています。

<問題提起> 別紙

●消費生活相談の現場から

東京都町田市消費生活センター相談員
林 弘美さん

 東京都の消費生活相談の概要からは、高齢者、特に高額被害に会う詐欺的な相談が増えています。被害の実感がない、契約書がない、など聞き取りに時間がかかるとともに、あっせんが必要な事案が増えていると実感しています。行政が行う相談の限界は、指導や強制はできないことですが、説得して、あっせん解決をしていくことはできると考えます。

●消費者行政の現場から

佐賀県くらし環境本部くらしの安全安心課課長
船津 悦子さん

 私の一日は行政職員本課と「NPO法人消費生活相談員の会さが」とのミーティングから始まります。前日の相談事例の共有化を計り、情報発信が必要なものは、各市町村、弁護士、福祉関係施設、消費者団体等へネット配信します。それらを通して「相談・カウンセリング」「啓発」「事業者指導・処分」というトータルな取り組みができると考えています。

 全市町村で窓口を開設。消費対策会議には警察も入っています。九州北部悪質事業者対策会議を年数回開催しています。きっかけは学生アパートの水道メンテナンスの広域的被害で、4県が同時に行政処分を行いました。高齢者、障害者、DV、多重債務など、センターだけでは解決できない事例も多く、福祉部門との連携が欠かせません。今後、その事例を積み重ねていきます。

第2部 ≪意見交換≫

 弁護士の池本先生をコメンテーターに、飯田さんのコーディネートにより、意見交換しました。

  1. 「斡旋解決率」向上を図る方策
  2. 「事業者指導の強化」に向けての課題
  3. 県と市町村との連携を図る上での課題

≪まとめ≫

弁護士
池本 誠司さん

 市町村の窓口の充実は大きな課題です。人員・情報の不足をどう補うのか、県と市町村とでの情報交換や事例検討、意見交換などが大切です。また、高齢者被害の解決に向けての福祉部門との連携は始まったばかりです。その実態の把握も必要です。都道府県の状況も、条例ができたから、こうなったから良い、ということではなく、継続して監視していくことが必要です。委託についても議論が必要です。

≪アンケートから≫

  • 調査をもとにいかに行政といっしょにやっていくかが大切。行政の方もいろいろな制約の中で、悩みながら進めているのだから、それを側面から消費者団体が支援していくことが必要