三菱自動車等最近の製品の安全性をめぐる事件の多発を契機として、
製造物責任法の改正・安全行政の強化を求める提言
私たちがPL法(製造物責任法)を求める運動を開始したのは、1990年でした。それから14年が経ち、今年はPL法制定、10周年を迎えました。PL法の成立は、運動に参加した者にとっては、これで消費者被害は救済されやすくなり、製品の安全性も高くなるだろうと大きな期待を寄せたものです。
しかし、最近、私たちの期待を裏切る事件が次々に発生、露見しました。雪印乳業食中毒事件、浅田農産の鳥インフルエンザ事件、遊園地での連続指切断事故、回転ドアによる死亡事故、さらに、三菱自動車のリコール隠し・欠陥車放置事件など、消費者の生命や健康を脅かす事件が連続して発覚しました。これらの事件の多くは、過去に同様の事故が発生していながら、人命や健康の危機に至るまで対策が講じられなかったケースと言えます。PL法制定の趣旨を正しく理解せず、相変わらず企業利益を優先し、消費者の生命・健康を軽視していると言わざるを得ません。その一方で、PL訴訟件数は極めて少なく、欠陥製品による被害者が救済されずに放置されてきたことは明らかです。
このような状況を変えるには、
(1)PL法上の責任を追及しやすくするため、証拠開示制度を改善し、欠陥や因果関係の推定規定を導入し、リコール隠しのような悪質な企業には欧米のように懲罰的賠償を命じる必要があります。私たちは、すでに2002年にこれらを盛り込んだPL法の改正案を提案しています。
(2)製造物の安全の確保は、消費者の生命・身体の安全に関わる問題であり、行政による事前規制は欠かすことができません。事故情報の収集や、それに伴うリコール制度を見直し、危険な欠陥商品が消費者によって購入・使用されることのないようにします。事故発生後、安全基準を作成、見直しするのではなく、事故の未然防止が重要です。そのために、行政は安全規制を強化し、生命や健康を第一の優先課題として、取り組むべきです。
いま、必要なのは、製品の安全性を軽視すれば、消費者の信頼を大きく損ない、その存在さえも問われる社会にすることが求められます。
私たちは、この度の安全軽視事件の多発を契機に、改めて、消費者の安心・信頼を高めるために、PL法の改正、行政の監督強化を強く求めます。
2004年7月2日
|